循環 南風一
学年が上がって行くように
上がっていくことがただそれだけで
進歩か成長の証となる年頃がある
大人になるための予行演習だから
まだ何者でもないし
何かを成し遂げた
というものでもない
大人になると
日々暮らしを立てて行くことに追われる
社会の一構成員として
働いてお金を稼ぐ必要もあるし
税金を納める必要もある
子どもを作って
子どもも親と同じような暮らしを続けるために
親と同じように学校へ行って
生計を立て家族を養えるような大人になることを
期待される
お爺さんお婆さんから
お父さんお母さん
お父さんお母さんから
娘や息子へ
娘や息子はお爺さんお婆さんの孫でもある
そうやって家族が何の変哲もなく
続いていくだけのことに過ぎないのに
ただ営々と続いていくことが
家族にとってどれだけたくさんの幸福をもたらすものか
朝が来れば起きて働いて
夜がくれば寝る
たまに休んで子どもや孫と遊ぶ
それだけの繰り返しに過ぎないのに
そんな平凡な営みが家族の幸福な姿であることに
若い頃はなかなか気づかない
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