奇跡は起こすもの | 月末の勇者達へ  吟遊詩人の詩

奇跡は起こすもの

人知れず 弛まず 自らに挑戦する者がいる

決してブレることのない視点で彼方を見つめ

己だけの胸に秘めた はるかな日の勝利を希求する

暗がりの中を吐くまで走り 極限まで耐える

薄汚れたユニフォームは、継続と積み重ねの証だ


その姿を我々が眼にすることは少ない

なぜなら挑戦者達が求めているものは

鍛錬への労いや共感ではなく

泥臭い日常の中から一筋に見える栄光だからだ


ゆえに我々観衆は何も知らない 知る由もない

 

我々観衆が眼にする多くの映像の中で

稀有な才能を持った人々が

まるで 易々と奇跡のような劇的な勝利を演じてみせる

望んだものを手にしてみせる

 

観衆はそれを奇跡と呼び 喝采を送る

時には、余りの美しき技と富と名声に嫉妬さえ覚える

 

観衆に囲まれ賞賛を受けても 英雄は押し黙っている

真実と誇りだけを胸に 笑顔をみせる。

そして言うのだ 基本を日々積み重ねたおかげだと

ひたむきな日々を支えてくれた皆さんのおかげだと

 

それでも観衆がこの勝利を奇跡と呼んだなら

英雄はきっぱりというだろう


奇跡は起きるものじゃない ”起こすもの”だと

 

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