4個のたまごを無事に孵した
母ガチョウ(妹姫)に
抱卵を放棄された様子の
たまごナンバー5。

しかし母ガチョウが
たまごを温めるのを止めてから
24時間以内に抱卵を再開すれば
たまごには孵化の可能性があるらしい、と
祈る思いでたまごを巣に戻し24時間後。

(ここまでの経緯の詳細は
昨日の記事などをご覧ください)

妹姫、朝からずっと育児に追われ、
元気に庭を駆けまわり、
もうたまごどころではない様子。

夜の間は温めてくれていた
模様なんですけどね・・・

「妹姫のことは責められない。
今年のガチョウのヒナは4羽だ」

「ええ、当初の予想からすれば
驚きの躍進です。
5個目のたまごに関しては、
これは自然の摂理です」

外で遊ぶのに忙しい
ガチョウ夫婦とその4羽のヒナを尻目に
産屋に再び足を踏み入れた我々。

巣の真ん中に
ちょこんと鎮座したたまごを
夫(英国人)はそっと取り上げて
「ああ、もう完全に冷え切っていますね。
昨日聞こえたヒヨヒヨ声も
もうまったく聞こえませんね。残念です」

せめてこのたまごは
木の下にでも埋めてあげよう、
そう思って夫からたまごを受け取り、
なんの気なしに引っくり返してみると
「・・・なんじゃこりゃ」

たまごの殻の一部が割れ、
そこから奇妙な物体(色は薄い
緑と橙色の混合色)が飛び出ており。

「何でしょう、キノコのようにも見えますね」

一瞬本当にそれが
何だかわからなかったのですが
「ああ、これはあれだ、ヒナのくちばしだ」

殻をここまで割ることは出来ても
そこで力尽きてしまったのか・・・

「仕方ないです。これがこの子の
きっと運命だったんです」

くちばしがここまで出ていて、
あと少しだったのにな、君、と
指の先でくちばしをつつくと
・・・あれ?なんかこれ、動くよ?

「夫!待て!この子、まだ息がある!」

しかし外からの刺激に対して
反射的にくちばしは動かせても
昨日まで出せていたヒヨヒヨ音は
もはや一声たりとも出せない様子。

「息はあっても・・・もうこれは・・・」

「うむ、私ももうこれは無理だと思う、
無理だと思う、が、本当にもう無理ならば、
駄目で元々で人間側で救命を試みても
誰も我々を責めないのではなかろうか」

十中八九もう救えない命、
が、このままにしておいたら
まず間違いなく望みはない。

ならば少しばかり
悪あがきをさせてもらっても
特に罰は当たらないのでは。

もちろんこの子が息を吹き返したら
それはそれで『いつ両親のもとに返すか』とか
『どうやって人間が保育するか』とか
新たな問題はどんどん出てくるわけですが
でもまず目下の案件としてさ!

「妻ちゃん、でも、救命を試みてなお
その子の命が救えなかった場合の
その悲しみに君は耐えられるものですか」

うーむ、それはどうだろう、
しかしそんなことを悩みつつ
飛び出たくちばしの周りのたまごの殻を
少しだけぱりぱりと剥いてあげたら
「・・・動くよ!やっぱりこの子は動くよ!
自然環境における孵化でもこういう時は
母鳥が外から少し手助けをするものだろ?
せめてその『手助け』だけやってみようぜ!」

「ガチョウの母鳥が本当に
そんなことをするのかどうか
僕には確信がありませんけど、
君がそう言うのならわかりました、
もう絶対に駄目だ、というところまで
その子を助ける努力をしてみましょう」

そして我々はこのへんてこなたまごを
再び我が家に招待したのであった!

続く。


いや、本当に見た目が奇妙な
たまごの有様だったのです

どのくらい変だったかというと
あまりに変であったから
写真が撮れなかったくらい・・・

仕方がないのでイラスト図解

図解って貴方


この絵を見てわが夫
「確かにあれはこうでした」

なお、これ、色を可愛らしく
オレンジ系にしてありますが
実物はもっと緑色で
あ、もう血が通っていないな、
みたいな絶望感が
第一印象から溢れていてね・・・

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