庭の片隅にはえている
グースベリー
(和名『セイヨウスグリ』)は
まさに今が収穫時。

しかしこの作業がなかなかに
苦痛を伴うものでして、
吸血虫ミッジ(和名『ヌカカ』)に
顔だの首だのちゅうちゅう
噛みつかれてしまうのは言うまでもなく、
グースベリーそれ自体が全身を
で武装しているツワモノなのです。

チクチク系の草花には
イラクサやバラでそれなりに耐性が
ついているつもりだった私でしたが、
グースベリーの棘はチクチクどころではなく
刺さりどころが悪ければぐっさり
指の一つや二つ貫通しそうな雄々しさで。

ベリー系の植物の基本なのか
グースベリーも成長するにつれ
周囲にツタを伸ばして
自ら領地の拡大を目指す傾向がありまして、
しかし庭の持ち主である我々人間としては
そのような無分別な侵略行為を
おいそれと許すわけにもいかず
伸びたツタをパチパチと
ハサミで切っているのですが
「この切り落としたツタは手押し車で
庭の反対側に運ぶ予定ですけど、
その際手押し車のタイヤが
ツタを踏まないように気をつけましょうね」

夫(英国人)いわく、グースベリーの棘は
あれくらいのタイヤを簡単にパンクさせる
威力を持っているものなのだそうです。

長靴で踏むのも危ないらしいです。

・・・全国の魔女・妖精の皆様、
次世代眠り姫を幽閉するお城の壁には
ぜひグースベリーをご活用なさること
ご考慮くださいませ!

ナチュラルまきびし状態ですよ!

まあ眠り姫を救いにやってくる王子様が
ガチョウ(英名『グース』)をお供にしていたら
果物部分のベリーは奴らにすべて
食べられてしまう可能性は
あるかもしれませんが・・・
でもその場合も棘は残るしな、
うん、保安上の観点からは問題ないな。

というわけで、ガチョウは
グースベリーが大好きです。

ごはんだごはんだ


熟れ過ぎて地面に落ちてしまったベリーを
私は時々ガチョウに投げ与えております。

里子ガチョウ2羽の面倒を見ている
里親ニワトリは基本的に
自分が一度食べて
『安全』と判断したものだけを
里子たちに与えたい様子で、
私が彼らの前にベリーを投げると
まず彼女が前に出て
それをくちばしでつつきます。

するとベリーは転がります。

里親メンドリは今度はくちばしを開いて
ベリーに向かうのですが、
ニワトリのくちばしは結構小型、
おちょぼ口の貴婦人が皮のついたままの
スイカに齧りつこうとして失敗するように
ベリーはやはり転がっていってしまいます。

もうここらへんで里子ガチョウたちは
本能が『あれはご馳走』と叫ぶのか
里親メンドリの抑止が効かない状態になり
我先に駆け出してきて
グースベリーをくちばしに挟み
そのまま首を上にもたげると
ごっくんと果物を丸飲みします。

・・・君たち、それ、
全然味わっていないだろう!

しかしガチョウたちが一心不乱に
あの緑の果物をくちばしで抑え込んでは
一息に飲みこむ姿は可愛いものです。

ええ、もう、庭のグースベリーが尽きるまで
彼らの眼前にあの緑のころころを
投げ続けたい衝動に駆られるほどに・・・!

「・・・妻ちゃん、でも基本的に
このグースベリーは
人間が食べるものですからね!」

グースベリー利権の確保に
わが夫は割と必死な今日この頃です。


緑のルビー


ガチョウは水を飲むときなど
クチバシで水をすくって
その後首を伸ばし
あの長い喉に水を通します

(鳥類はだいたいそうだと思うのですが)

その理論で行くと
肥満者にとって
カレーが飲み物であるように
ガチョウにとってグースベリーは
清涼飲料なのかもしれないです

しかしあんな丸飲みしちゃって
どこかでつっかえたりはしないのか

ガチョウの身体構造は神秘です
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