里帰りして久々に会う
友人知人親族一同に
「今度スコットランドに来てよ!
歓迎するよ!次はあっちで会おうよ!」
ともちかけますと、
必ずといっていいほど
「うん、ぜひそうしたい!」
と弾んだ声と輝く笑顔を朗らかに
返してはもらっているのですが、
ふと気がつけば私がスコットランドに
居を移して四捨五入するともう10年
・・・あの、私、渡英以来、
日本の皆様の誰からも
訪問を受けたことがないんですけど・・・

これは何か?
私が大人の社交辞令を
理解していないということか?
それとも結局私は
周囲の人に好かれていないのか?
と密かに荒れておりましたら、弟その1が
「お姉ちゃん、まあ今はさ、時期も悪いよ。
ついこの間パリでテロがあったばかりじゃん。
よし!休みが取れた!ならいい機会、
ぜひヨーロッパに行こう!と思う日本人は
現時点では滅多にいないよ、たぶん」

そういうものでしょうか。

今回私は『頑張ろう神戸』ならぬ
『頑張ろうパリ、フランス』の意気込みで
あえてエールフランスを利用して
日本に帰ってきたんですけど、
飛行機・・・かつて経験したことがないほど
空席が目立っておりましてね・・・

「でもさ、スコットランドに住んでいる
私の実感としてはさ、ヨーロッパや
フランスやパリが危ないなら
日本の東京だって同じくらい
危ないような認識なんだけど」

「お姉ちゃん、その感性はちょっと
日本に住んでいる我々のそれとは違うよ。
もちろんこれは日本人の思い込みというか
隙になるのかもしれないけど、やっぱり
日本と欧州各国だったら欧州のほうが
テロの危険性は高いイメージだよ」

「それさ、『欧州の中でも特にパリは
危ない印象』ってこの間ある人に
言われたんだけど、
それも本当にそういう感じなのかね」

「うん、だってパリは実際の
事件現場だったわけだし」

いえ、実は私、そこが正直わからないんです。

パリでテロが起きたなら、同じことが
ロンドンで起きてもエジンバラで起きても
それは不思議ではない、というのが
漠然とした私の感覚であったので。

だからこそあのテロ攻撃には
欧州全体が震撼したのではないかと。

スコットランドの青空です


ともあれ、わが新居をわが友人が
訪ねてくれる日は遠い模様。

一応どの人もこの人も
「休みが取れたらね」とか
「余裕が出来たらね」とか
優しい言い訳をしてはくれるんですけど、
そんな中、約10年ぶりに会った
大学時代の友人は潔かった。

「夏にでもスコットランドにおいでよ」
という私に彼女は真っ直ぐな眼差しを向け
「えっ?スコットランドに?どうして?

「いやいやいや、私に会いに」
「そんなのはNorizoが日本に
帰ってきた時に会うからいいよ」

「いやいやいや、観光がてら。
スコットランドはいいところですよー」
「・・・ごめん、正直に言っていい?
私さ、時々Norizoのブログを読むでしょ?
あの内容を見て『わあっ!スコットランドって
素敵!いつか一度行ってみたい!』って
それは誰も思わないでしょ、正味の話」

はあっ?

私としてはスコットランド観光庁から
功労賞を明日もらっても構わない、
くらいの話だったのでございますが?

「そ、それは私の新居の話とか
そういう私生活ネタを読んでの感想でしょ、
観光地としてのスコットランドは
抜群にいいところよ」

「でも寒いんでしょ?冬」
「うん。寒い」

「暗いんでしょ?」
「うん。暗い」

「天気も悪いんでしょ?」
「うん。悪い」

「それのどこが観光地として
『抜群にいい』の?自分で
何言っているかわかってる?

ひどくない?

10年ぶりに会ってその
歯に衣着せなさはひどくない?

「いや、それは冬の話で!
夏のスコットランドはいいよ、
涼しく過ごしやすく、まあ雨は降るけど」

「どうかな・・・わかった、じゃあ
30秒あげるから
スコットランドの観光地としての
『売り』をプレゼンしてください
私、今、沖縄に住んでいるでしょ?
沖縄に住んでいる人間がそのプレゼンを聞いて
『わあっ!それは沖縄にはない!
これはスコットランドに行かなくちゃ!』
と思える内容をお願いします」

「くっ・・・よし、ではまず、『緑輝く自然』!」
「沖縄にも緑と自然はあります」

「・・・『きれいな空気』!」
「沖縄の空気もきれいです」

「お、お城!」
「沖縄にもお城はあります」

「そういうこと言うんなら何、
もしかして『伝統音楽』も駄目?」
「駄目とは言わないけど沖縄にも
伝統音楽はあるからねえ。
あ、逆に聞くけどスコットランドって
食事はどうなの?美味しいの?」

「よくぞ聞いてくださいました、
当地スコットランドには
フィッシュ&チップスだけではなく
ハギス』なる名物があり・・・」
「それ、美味しい?」

「私は好きよ?」
「健康にもいい感じ?」

「・・・」
「沖縄食は美味しく、かつ健康的と評判です」

「なんの、スコットランドには
ウイスキーがある!
・・・うん、沖縄にも古酒があるねえ」
「追撃をかけるようで悪いけど
スコットランドには海はある?」

「あるよ!きれいだよ!
・・・一般的日本人はまず
海水浴をしようと思わないような
気温の低さと風の強さですけどね、
基本的に、ええ、夏の盛りでも」
「ここまでの会話を振り返ってさ、
どうして私がスコットランドに
行かなくちゃいけないのか説明できる?」

うっうっうっ、スコットランドに
お住いの皆様ごめんなさい、
私はこの北国を南国人に
売り込むことに失敗しました・・・!

しかしこれはスコットランドが悪いのではない、
沖縄が観光地として抜きん出過ぎているだけだ!

沖縄住まいの人間の心を
がしっと掴むスコットランドの観光の目玉、
ご存知の人はお教えください。


エジンバラ夏のフェスティバルには
彼女の食指も動いたようなのですが
そこでまたよせばいいのに私がつい
「でも夜の『タトゥー』を観ると帰り道は
冬のように寒いよ、防寒着必須」
とか言っちゃったせいで
「そうか・・・やっぱり私はいいや」
みたいな結果になってしまい

ああ、アムロ、スコットランド観光庁
功労賞が遠ざかって行くのが見える・・・!

まあ道中に不安がある場合
無理にいらっしゃいませとは申しませんが
本気の話でスコットランドはいいところです

強風曇天荒波に羊と古城、
お好きな方、いらっしゃい

沖縄の青い海を愛する貴方も
スコットランドの灰色の空に焦がれる貴方も
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