私は大事な食べ物を
可能な限り長く備蓄する癖がありまして、
つまり何か保存の効く食物が手に入ると
すぐに食べてその味を楽しむよりも
それを棚なり冷蔵庫なりに入れて
「・・・今、我が家に、
あの美味しいものがある・・・!」という
気持ちをできるだけ長く楽しみたいというか、
下手をすると賞味期限を多少過ぎようとも
「でも、まだ、消費は可能・・・!」みたいに
倒錯した喜びを堪能してしまうというか。
 
だからといってそのまま消費期限を逸し
食材を無駄にしてしまうのは心底悔しい。
 
女心は難しいですね。
 
そんな私は先日某アジア系食品雑貨店で
『ちょっとお値段高め』のお豆腐を購入し、
その賞味期限が2カ月先だったのをいいことに
しばらく冷蔵庫のオーナメントとしていたものを
このたびお味噌汁の具に使おうと封を開け、
半分をお鍋に投入、もう半分は翌日に
湯豆腐にでもしようかしら、と
水を入れた容器におさめて冷蔵庫に戻し
・・・そして何故かその容器の存在を
すっかり記憶から消してしまってですね。
 
数日後、チーズ壺の奥から姿を現した
お豆腐入りタッパーウェアに
声にならない悲鳴を上げる私。
 
「おお・・・私は久々にやってしまったよ・・・!」
 
膝から崩れ落ちる私にわが夫(英国人)は
「これってもう食べられないんですか」
 
「どうだろう。お豆腐のミソスープ、
我々はいつ食べたっけ。週末?」
 
「中華食材店に行ったのは
もうずいぶん前のことですよね?」
 
日誌を調べたところ件のお豆腐の
封を開けたのは
4日前の昼ということがわかり
「・・・大丈夫な気もするな、そもそも
『賞味期間:2ヵ月』という話なんだし」
 
「君の実家ではお豆腐を買ったら
何日くらいで食べきるものなんですか」
 
「その日のうちに食べきるな。
せいぜい翌日までだ、
お豆腐は新鮮な方が美味しいんだ。
でも鮮度と可食度は違う話だ」
 
「・・・」
 
 
考え込む夫を横目に私は実家の母
(イメージ武将:豊臣秀吉)に電話をかけ
「お母さん、4日前に封を開けたお豆腐、
食べても大丈夫と思う?」
 
「・・・うちはお豆腐屋なんかは
買ったその日に食べるから・・・」
 
「そりゃお宅はご近所に美味しい
お豆腐屋さんがありますから。
しかし我が家は違うのです」
 
「・・・食べたいのね、そのお豆腐を」
 
「そういうこと」
 
「・・・一口舌に乗せてね、
酸っぱかったり苦かったりしなければ
きっと大丈夫。でも少しでも
変な味がしたら諦めなさい、潔く」
 
味見の結果、苦みも酸味もなかったため
その場で湯豆腐の準備に入ったところ
一連の私の素早い動きを眺めていた夫は
顔面の筋力を総動員した笑顔で
「・・・妻ちゃん、そのお豆腐は
君が一人で食べていいですよ。
ほら、納豆や梅干しと同じで
食べ物もその真価を理解する人に
食べられてこそ幸せでしょうし」
 
ありがたく湯豆腐を独り占めした私ですが
・・・うーん、あのお豆腐、
本当に大丈夫だったのかな・・・
 
もしもアレがソレだった場合、
腹痛的なものは
何時間後に起きるんでしたっけ?
 
少し弱気になっている私です。
 
 
・・・そうか、これがいわゆる
『お豆腐メンタル』か!
 
ごめん、今ちょっと
「うまいこと言った」って思っちゃった
 
でもお豆腐は美味しいですねえ
 
白く滑らかで癖がなく栄養価は高い
 
私は最近また絹派になっています
 
木綿派の貴方も絹派の貴方も
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