いわゆる受動喫煙防止法案

(屋内での喫煙、原則禁止案)について。

 

非喫煙者および嫌煙者にとっては

「・・・こんなに嬉しいことはない!

(アムロ・レイ君の口調で)」という

ニュースである一方、

一部飲食店経営者からは

そんなことをされては客足が遠のく

「偉い人にはそれが

わからんのです!」という

怨嗟の声も出ている今日のこの頃、

ああ、少佐、私はこれ、

覚えがあります、この既視感

何でしょう!(ララァの口調で)

 

わけのわからない書きだしですみません。

 

 

そんなわけで英国では

今から約10年前の2007年7月1日に

『屋内の公共の場』での喫煙が

全面禁止となりました

(スコットランドではそれより1年前の

2006年3月から屋内禁煙法が施行)。

 

当時の飲食店業界からの反発たるや

それはそれは激しいものがありました。

 

特にパブ業界からは

「紫煙とともに酒を楽しむ、という

英国の伝統をないがしろにする気か」

「煙草の煙のないパブなんて情緒がない」

「煙草ののめないパブに客なんて来ない」

「政府は社会からパブを根絶するつもりか」

という血のほとばしるような

必死の叫びが聞こえたものです。

 

そう、当時の英国のパブにおいては

お酒とともに煙草はあって当然の存在、

そこここで白い煙が吐きだされ

天井にはそうした煙がわだかまり

そんな中で人々は談笑し

ビールを飲んでいたものなのです。

 

さようならパブ文化よ、あの煙たき空間よ、

煙草と酒で構成されたあの雰囲気が

お上の命令で失われたからには

世の酒場はすべてひっそりと

息を引き取ることになるでしょう

・・・ところがどっこい。

 

そこで何が起きたかというと

それまで煙草の煙が嫌で

『お酒は自宅でひっそりと』という

楽しみ方をしていた人が今度は

パブに顔を出すようになったのです。

 

だってもう煙草の煙で

目や喉を傷めなくて済むんですし、

酔っ払いが振り回す火に

注意しなくていいのですし、

パブから家に帰っても服に煙草の

嫌な臭いがついていませんし。

 

同時にこれまでパブでビールと一緒に

煙草を口にしていた人も

「まあ煙草は吸えないけどそれは仕方がない、

それはお上のせいでお店のせいではない」

とパブには顔を出し続け、だってどうしても

煙草が吸いたかったらお店の外には多くの場合

『喫煙所』が設置されているんですから

そこで1本煙草を吸ってまた

カウンターに戻ればいいんですから。

 

これはパブだけではなく

喫茶店やダンスクラブでも同じことで

何せ法律で禁じられてしまったのだから

「店内は禁煙になっております」

とお店側も堂々とそう言うしかなく、

またお客側もその方針に従うしか道はない。

 

もちろん一時的には

客足の落ちたお店もあったでしょう、

かくいう私も禁煙法施行以降

とある1軒のレストランには

足を運ばなくなりました。

 

原因は悪臭

 

え、悪臭って何故禁煙法のその後に?と

疑問をお持ちになった方もいらっしゃることでしょう。

 

利用者が煙草を吸っていた頃は

非喫煙者である私も気づかなかったのですが、

というか当時はそれを煙草の

煙の臭いだと思っていたのですが、

紫煙が店内から消えた後、

気を付けて鼻から空気を吸ってみると

何かしらこの変な臭いは、

カビのような下水のような腐ったような、

少なくとも食欲中枢は絶対に

刺激されないようなこの異臭は。

 

しかしこれは当時の飲食店の

ほぼすべてが抱えていた問題かとも思われ、

皆さん、あれよ、煙草の臭いって

あれはあれで強烈な臭い消しなのよ!

 

そんな強い煙草の臭いが薄れてくると

今度はその裏に存在した違う悪臭が

鼻をつくようになるのは当然

(私も実生活で経験あり:詳しくはこちら)。

 

思い返せばあのパブもこのパブも

一時は奇天烈な臭い

満ちていたものでございます・・・

 

しかし心あるパブの所有者は

そこで気合を入れ直し一気呵成に

天井を洗い壁を塗り替え

窓を開けて鬼のように換気をし。

 

現在英国の多くのパブでは

爽やかなビールの芳香と

清潔な室内の香りを

楽しむことが可能です。

 

(私が行かなくなったレストランは

オーナーが『ニオイ』の問題に

どうも無頓着過ぎた模様です)

 

屋内禁煙法が施行されて約10年、

英国の多くの人は

この状況に特に不満を

持っていないように感じられます。

 

また私は以前は

かなりの嫌煙家だったのですが、

屋内喫煙原則禁止法導入以来

「煙草の煙で迷惑をかけられること」が

日常生活でほとんどなくなったせいか

現在は喫煙家の皆様に対し

「まあ個人のご趣味ですから」と

かなり鷹揚な理解を持てるようになりました

この記事を書いた時よりさらに

心は広くなっている実感アリ)。

 

健康に悪い趣味は世の中たくさんある、

問題は周囲の人に迷惑をかけるかかけないか。

 

目指すべきは喫煙根絶ではなく

副流煙という迷惑行為の根絶。

 

屋内で煙草を吸う人のいない社会、

私にはなかなか

過ごしやすいものでございます。

 

 

最近のパブは『食事』サービスに

力を入れているところも多く

食いしん坊には嬉しい限り

 

ただ正直現在の英国において

パブ経営は非常に厳しい事業の一つ

 

でもそれは屋内喫煙禁止が

影響したというよりも

パブで飲むより家で飲んだ方が

ビールの値段が安く済む、という

最近の傾向と(同じビールが

家とパブでは3倍近く値が違う)

飲酒運転の基準が厳しくなったことが

背景にあるのではないでしょうか

 

(仕事終わりに会社近くで

1杯飲んでから車で帰宅、が

以前はお目こぼしされていたのが

現在は駄目、絶対、になった)

 

(まあ当然といえば当然な気もしますが)

 

煙草を吸う貴方も

煙草を吸わない貴方も

煙草で迷惑をかけない・かけられない

気分のいい社会の到来を祈りつつの

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