北国スコットランドにおいては

6月が『盛夏』といって過言ではなく

暑い時は非常に暑い、

しかし寒い時は寒い、本当に寒い、

そこに雨風が加わったらもう逃げ場なし。

 

 

6月下旬のハイランド・ショウ

The Royal HIghlans Show)、

私が悩んだのは服装で

「天気予報は晴れ、となると

ある程度の薄着で

出かけたいところだよな。

でも風は強そうだ・・・

やはり長袖は必須だろうか」

 

「一番下は半袖シャツでも

その上に重ね着できるように何か

上着を持って行った方がいいでしょうね」

 

優しく助言をしてくれた

夫(英国人)にしかし私はつい

「一番下は半袖シャツって君、

まさか君はあの夏のお気に入り

真っ赤な半袖ポロシャツを着るつもりか。

そして下は半ズボンか、さらにもしや

スポーツ靴下(白)にサンダルを

合わせたりする予定じゃないだろうな」

 

「・・・だったらどうなんです」

 

「いや君、庭先や近所をその姿で

うろつくのは構わないよ?

しかしお出かけ先は今回郊外とはいえ

スコットランドの首都エジンバラだよ?

せめて膝は隠した方がいいんじゃないか?」

 

「何ですか、君は僕の夏の普段着に

そんなに思うところがあったわけですか」

 

いや・・・思うところと言いますか・・・

 

何かしら、君のその

夏の定番服ってさ、こう・・・

 

 

 

親切な人がついバタつきパンを

差し入れしたくなっちゃうような・・・

 

「だってほら、君は今回

納屋の修理について専門家と

商談みたいなことをしたいわけだろ?

やはりある程度は

ビジネスパーソン的な、なあ。

ネクタイをしめろとは言わないから」

 

 

そんなわけでわが夫は

長袖シャツに長ズボンという

無難な格好をして出かけたのですが

・・・当日は午前中晴天午後にわか雨、

一日を通して風はなかなかに強く

「少なくとも半袖半ズボンは

避けて正解だったと思います」

 

「そうだろう、妻の言うことは聞くものだろう」

 

「でも周囲をよく見てくださいよ、

皆さん結構な普段着で来ていますよ」

 

まあ確かに催しの性質上か

ドレスコードは『汚れても丸洗い可能な服』

みたいな感じで皆様集まっていらしていて、

まあそうですよね、足元は基本無舗装ですし

工具のデモンストレーションでは木端屑が

家畜展示場では牛や馬の涎が飛んできますし。

 

「ただ時々すごくお洒落な人もいるぞ。

さっき見た男女は頭から足まで

バブアー(Barbour、英国のアウトドア系

お洒落服メーカー)の最新モデルで

かためていたぞ。カタログから

飛び出てきたのかと思ったぜ」

 

「妻ちゃん、僕が思うにそういう人は

また立場が違いますよ。彼らはきっと

スコットランドの北の果てとか島とかから

今日という晴れの舞台に遠征してきたんですよ。

普段は周囲に羊と荒野と曇天しかない人が

年に1度、このショウの日に

花のエジンバラにやって来たんです、

そういう人にとっては今日こそが

力の限りお洒落をする日になるんですよ」

 

それはあれか、

『真の美人は化粧が薄い』みたいな話か?

 

ただ確かにこの感じだと今日は

普段着で参加した方が逆に

お洒落な印象を周囲に与えられる様な・・・

 

 

ところで皆様ご存知の通り私は

脳筋(『脳みそ筋肉』)のケがありまして

時々思い出したように背筋や

二の腕を鍛えて喜んでいるわけですが、

私のような素人はそういう時

せっかくついた筋肉を目立たせようと

同時に痩身を目指したり

鶏肉や豆を食べて

さらに筋肉を膨らませようと健気に

頑張ったりしてしまうものではないですか。

 

でもね、そんな筋肉は所詮お洒落着、

そう、たとえるならば

元々恵まれなかった容姿を厚化粧で

どうにかしようとするような行為。

 

いきなり何を言っているのかと

申しますとね、この日会場で見かけた

『毎日チェーンソーを6時間使っています』

『朝晩2回、牛と本気の相撲をとっています』

『特技は蹄鉄作り、二の腕が

かぼちゃっぽくてすみません』みたいな

普通に無造作に日常を送っていたら

気が付かないうちに体が鍛えられちゃった系の

人々のあの肉体のなんと桁違いに美しいことか・・・!

 

何せ彼らは己の美貌に無頓着なもんだから

ジムでのエクササイズに換算すると

懸垂15回×3を2セット、

腹筋300回×3セットくらいの運動を

夕方あっさりこなした後で

ごくごくビールを飲んでしまうわけですよ。

 

我々お洒落着筋肉派にしてみたら

アンタ何それ勿体ないことしてんの!

せっかくの筋肉が脂肪で

隠れちゃうでしょ!な事態なわけですよ。

 

しかし彼ら普段着筋肉派にしたらそれは

え、勿体ないって何が?くらいの話で

まあ結果としてどの青年も中年も

皆様昭和の時代のプロレスラーのような

立派に丸まっちい、しかし力強い見事な

体型をしていらっしゃるわけでございます。

 

ここが天国か!

 

さらにショウの名称に

『ロイヤル(Royal、王立)』が入っているためか

あっちのガチムチもこっちのマルムチも

基本的にきっちり髭は剃っていて

何なのこの身ぎれいな

丸ぽちゃマスキュラー揃い踏みは!

 

やはりここが天国だ!

 

よく考えると私はこういう

アグリカルチャー・ショウ

(農芸展覧会)に出かけるたびに

英国田園系殿方の魅力に

大興奮しまくっているような・・・

 

「でも仕方ないよな、人間は

自分にない魅力を他者、特に

異性には求めるものなんだから。

私はどんなに頑張っても青魚程度の

体型にしかなれないんだから

そりゃ牛や馬みたいな

むっちりした体の持ち主に憧れるよ」

 

「妻ちゃん、念のために尋ねますけど

最近デスクワーク続きで

腕の筋肉が落ちた分

お腹周りが目立つようになった僕は

君の好みの体型の範疇に

なお属しているんでしょうか」

 

「おいおい勘弁してくれ、当たり前だよ、

私は今日再確認したよ、なんのかんので

私は君の体型が世界で一番好きだよ」

 

「そうですか!」

 

毛を剃られた後の羊っぽいだろ、君。

白くて丸くてむちっとしていて。

牛や馬も悪くないけどやっぱり

羊の魅力には敵わないよな!」

 

夫は微妙な表情をしておりましたが

そんなわけで本日の記事は

ところどころに我が家の種牡羊

(通称『おっさん』)の写真が

挟みこまれているのでございます。

 

 

やはり家畜は羊、羊なら種牡羊。

 

単に慣れの問題なのかもしれませんが

そんなわけでわが夫は素敵な

普段着筋肉系の男なのでございます。

 

 

途中から自分が何を書きたいのか

わからなくなった本日の迷走ぶり

 

どうしたのかしら、7月だから?

 

羊が大きいと書いて『美』

の1クリックを

人気ブログランキングへ