2017年エジンバラ・タトゥー

Edinburgh Military Tattoo)。

 

我らが日本隊(耽美浪漫系)と

米国隊の演奏

(痛快エンタテイメント路線)の後は

『ジャコバイトの乱』の寸劇を

歌あり踊りありでどうぞという流れ。

 

 

「途中過激な演出もございます。

感受性の高いお子様の耳と目は

ご両親の責任でおふさぎください」

みたいな事前アナウンスがありまして

まあ成程、剣劇あり銃撃戦あり

最後にはお城の大砲まで

火を噴きの大騒ぎ

・・・しかしあそこで『政府軍』を

演じていたのはロイヤル・

スコットランド連隊だったと思うんですが

あれはアリ・・・なのかしら・・・?

 

いえ、ほら、色々と、立場的に。

 

あとあの「感受性の高い

お子様」云々の警告は

自衛隊中央音楽隊のアレの前にも

入れるべきだったように思うんですけど

どうなんですかね、日本国外の皆様には

あの『浪漫』を追求しすぎて

『怪奇』の領域に

片足を突っ込んでしまった

大人の暴走(注:私は褒めています)が

幼児の潜在意識に与えるであろう

衝撃の深さがわからないものなんでしょうか。

 

ともあれ続いて会場に出てきたのが

英国空軍のヘリコプター。

 

 

「僕はあれがバリバリと夜空に

飛び上るものとばかり思っていましたよ」

とはわが夫(英国人)の弁。

 

「流石に主催者側もそこまでの

リスクを負いたくはなかろうよ。

離陸に失敗したら大惨事だぞ」

 

・・・でもあれ、あそこでヘリが飛んだら

それはそれは格好良かったでしょうね・・・

 

いえ、私も少し期待していたというか・・・

 

こう考えると会場上空にヘリを飛ばして

そこからパラシュート降下をしてみせた

ロンドン五輪開会式演出陣は

勇気というか蛮勇があったなあ

(しかも落下傘降下したのが

『女王陛下』という突き抜け方)。

 

音楽も照明も格好悪くはなかったものの

それでも会場全体に広がる

「あー・・・やっぱヘリは飛ばないんだ・・・

牽引車に引かれてぐるっと会場を

一回りするだけなんだ・・・」の落胆。

 

なまじエンジン音とか無線音声とかの

効果音に凝ってしまったのがまた・・・

 

ともあれこれにて個別演目は終了。

 

ここからがタトゥーの神髄、

参加全隊が隊伍を組んでの合同演奏。

 

 

今後タトゥーを観に行くご予定のあなた、

これ!これを観ないと意味がないのよ!

 

終電を逃しても

この閉会場面は目にすべき!

 

 

それにしてもこれだけの大集団が

一斉に同じ曲を奏でるのですから

拍子と旋律を合わせる苦労たるや

それは我々素人の理解の範疇を

越える難しさなのではないかと。

 

実際時々リズムが狂う

瞬間もございましたしね。

 

そして恐ろしいことにリズムが崩れると

旋律も当然のように乱れていくもので。

 

中央一段高いところにいる

指揮者の指示する通りに演奏すれば

いいだけでしょ、という方も

いらっしゃるかもしれませんけど

会場が恐ろしく細長いうえ

『拍子の取り方』って結構

集団によって

癖があるじゃないですか。

 

些細な差異ではあるものの

バックビート風であったり

ダウンビート風であったり

譜面通りに1拍目を打ち込む組もいれば

ちょっと遅れて趣を出すことに

粋を見出す隊もいて、しかし何が怖いって

たぶんこういう癖は無意識のものなので

矯正しようにも同調させようにも

たぶんあの打楽器隊は各隊が

「ウチのやり方が一番『イイ』から!」

と頭から信じていて・・・しかしそこは

百戦錬磨の玄人集団、

曲を進めるうちにそこらへん

見事に折り合いをつけてしまう。

 

たぶんこれは集団の中で

もっとも堅実に、遊び心に走ることなく、

ひたすら譜面と拍子と指揮に忠実に

音を打つことに集中してる打楽器隊に

他の人たちが合わせているんだな、

となるとその音の中心になっている

打楽器隊の腕が優れているということだな、

その打楽器隊はどこだ?

 

白いキノコ帽子のあの隊か?

水兵帽のこっちの集団か?

 

ところで今は亡きわが祖母は

孫に対する贔屓の引き倒しの

引き倒し具合が

ただ事ではなかったご婦人で、

あれはいつだったでしょうか、

私がとある合唱団に参加した時

100人近い合唱団員が舞台に上がり

歌をうたうのを聞いて言ったセリフが

「Norizoの声は通るわねえ!

あれだけ人がいても私、

Norizoの声はすぐにわかったわ!

一番上手に歌えていました!」

 

「・・・お祖母ちゃん、私が

どのパートを担当していたかわかる?

ソプラノかアルトかメゾか」

 

「そーいうのはわからないけど

私にはちゃんとNorizoの声が

聞こえていました!とても上手でした!」

 

「お祖母ちゃん、私はアルトなので

声がそこまで目立つのは逆に

よろしくないという立場なのだけど」

 

「悪目立ちはしていなかったわ、

控えめで、他の声を立てていて、

でもそこがとても上手でした!」

 

人間、愛が暴走すると怖いなあ、と

すっかり達観していたつもりの

当時の私でございましたが、

この日の私は本気で背後に

祖母の霊がくっついていたのか

『上手な打楽器隊』を探す目が

我らが自衛隊組の列にとまるなり

・・・あれよ!あの子達!

あれだけの集団の中で

一番上手に乱れなく

真面目に音を出しているのは

背中に羽のついたあの隊よ!

 

 

いえ、でも本当に

上手だったんですよ、

自衛隊打楽器隊。

 

 

膝でリズムを取りながら

弾むように太鼓を叩くドラマーも

私は個人的には大好きなんですが

楽器演奏に必要な

上半身の筋肉だけを使って

無駄な動きを一切見せず

器械のように正確に拍子を刻む集団には

職人の技と心意気を見る思いでした。

 

相当な美意識がないと

あの精度の高さは目指せない。

 

本当にもう、

皆(演奏者全員)いい子たちだけど

うちの子たち(自衛隊中央音楽隊)が

一番いい子っていうか

褒めやすいっていうか

Norizoお祖母ちゃんは

こんな偉い孫を持って幸せよ!

 

(Norizoさんはタトゥーの痺れが

とうとう脳に回ってきた模様)

 

 

締めの一曲は当然『ほたるの光』、

日本の卒業式用のローテンポではなく

軍艦マーチ風に景気よくアップテンポで

朗らかに謳い上げるのが本場の味。

 

 

そして花火、栄光の

『ローンパイパー(Lone Piper)』のソロ、

招待軍楽隊の退場、

残されたバグパイプ隊による

最後の行進。

 

 

なんかもう、お腹いっぱい

美味しい料理を食べたけど、

デザートは別腹、みたいな満足感・・・!

 

 

皆様、やはりタトゥーはいい。

 

これから暗く寒く湿った冬を迎える

北国の人間の心の健康のためにも

末永く続いてほしい夏のお祭り騒ぎです。

 

 

わが夫(英国人)は

 

モーターバイク隊によるアクロバットや

軍の精鋭による器械体操の妙技披露

今回なかったことに不満な様子

 

「・・・国防費の予算カットの影響が

こういうところに出てきているんですかねえ」

 

残念ながらわが夫は

ブラスバンドや楽隊行進に

あまり興味がない模様です

 

人は人、我は我、されど仲良し

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