わが前庭の永遠の偶像

橙雄鶏センチネル閣下の訃報

わが夫(英国人)が

その父(白色シュレック)、

すなわちわが義父に告げたところ

「そうか・・・しかしあの雄鶏は

もうかなりの高齢だったしな。

寿命ばかりはどうしようもないことだ」

 

「うん、そうだよね、父さん」

 

「お前の所には雌鶏

あと何羽いるんだっけ?」

 

「2羽だよ、父さん」

 

 

「ふむ・・・その2羽を

そのままにしておくのは

ちょっと可哀そうかもしれんなあ。

雄鶏不在では気も休まらんだろうし」

 

「うん」

 

「ところでお前も知っている通り

我が家には今、独身の雄鶏が

ちょうど1羽余っていてだな」

 

 

「必要ないよ、父さん」

 

「いやお前、年頃もちょうどいい、

悪くない雄鶏だぞ、あれは」

 

「僕はああいう

股下が妙に長いニワトリ

好みじゃないし、

第一あの雄鶏はメンドリ達を

いじめるんで独身なんじゃないか

(現在義父に手によって強制隔離中)。

僕の家の可愛いメンドリを

つつきまわすような雄は要りません」

 

きっぱりとした夫の拒絶に

義父は少し気分を害したのか

「・・・そうか。そうなるとあれだ、

あの独身雄鶏は近いうちに人間に

食べられるしかもう道がないなあ」

 

お義父様ったらその戦略は卑怯よ!

 

しかしわが夫は慌てず騒がず

「そうだね。調理方法としては

カレーがお薦めだよ。

チキンカレーは美味しいからね」

 

それにしても家で余った、もとい、

花の独身生活を謳歌している

妙齢の雄鶏を我が家に

世話したいという人は

実は義父以外にも存在しまして

最近は直接的・間接的

売込みがかなりあり。

 

「そりゃそうか。雄鶏なんて庭に

複数いたら扱いに困るものな」

 

「これからしばらく他所の家で

素敵な雄鶏を見かけても

褒めるのはちょっと

控えめにしましょうね。

たぶん向こうはこれ幸いと

雄鶏をくれようとしますからね」

 

来年の春までは

我が家のニワトリ社会の

構成員は2羽のみの見通しです。

 

 

美貌の雄鶏を愛するあなたも

チキンカレーが大好きなあなたも

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