そんなわけでわが友人夫妻の

お子さんはその後無事に退院しまして

現在は時々小児病院に顔を出し

治癒過程に問題がないことを

確認してもらっている状態です。

 

たぶん次の診療で

「もう来なくて良し」と

言われるのではないかと。

 

さてところでかのお子様の

入院が決定したその日

己の役立たずぶりを嫌というほど味わった

デクノボウ世界王者決定戦北半球代表の

スコットランドのひきこもりNorizoさんは

汚名返上というか名誉挽回というか

とにかくもう少しマシな人間を目指して

彼女の通院日には送迎を買って出ております。

 

今はもうね、私ね、

グラスゴー小児病院に

車で行くの、結構得意

 

問題は小児病院周辺以外の

グラスゴーの道はまったくわかっていない点で

一度ちょっと高速道路の降り口を間違えて

それはそれは大変な思いをしたことは秘密です。

 

 

さてところでこの小児病院、

入院病棟には専属の道化師がいる

子供の心への気配りなのでございますが

外来も外来でなかなかに気合が入っています。

 

総合受付で予約を確認して

次に外来窓口に行って、の

この外来窓口がすごいんです。

 

窓口の看護師の服を着た

お姉さんの挙措というかノリが

病院関係者のそれではなく

幼稚園の先生的というか

娯楽遊戯施設の係のお姉さん風というか

「あの、外来の待合室はここでいいんでしょうか」

 

「はい、お名前いただけますか、はい

・・・そうです、ここですよー!

そこに座ってお待ちください、

患者さんはこの子?ひゃだカワイイ!

何このつぶらな瞳!すごくカワイイ!

いやーん、私、許されるならこの子を

自分の家に連れて帰ってしまいたいー!

ちょっと抱っこさせてもらっていいですか?」

 

そして彼女は本当に

わが友人夫妻の子供を抱き上げると

同僚の看護師さんたちのほうに歩みより

「ねえ見てー!この子すごくカワイイー!」

 

そう言われた同僚嬢も

「やだホントー!ねえ、私、この子が

『音の出るおもちゃ』で遊ぶところを

見てみたいー、今持ってくる!」

 

私と友人夫妻、茫然。

 

見ていると窓口の彼女は

これをすべての

小児患者にやっているんです・・・!

 

「さ、最近の看護師さんはすごいな!

私が知らないだけで英国の看護師さんの

小児患者に対する態度ってああいうものなの?」

 

「いえ、どの看護師さんも子供には親切で

優しくて色々構ってくれるけど、でも彼女は

何かさらに一線を越えた熱意があるわ・・・!」

 

友人夫妻のご細君のほうと

こそこそ感動を共有しておりましたら

ご夫君のほうが横から小さい声で

「僕は彼女のバッジを見たんですけど

彼女はどうやら看護師さんじゃないみたいですよ」

 

「えっでも明らかに病院職員じゃないか」

 

「ええ、でもたぶん専門は

『看護』じゃないんだと思いますよ」

 

本人に確認していないので

もしかしたら間違っているかもしれないんですが

彼女の仕事はどうやら外来窓口で

『子供と遊んでリラックスさせる』こと、みたいなんです。

 

それが彼女の役目みたいなんです。

 

そして彼女の存在が

この病院の待合室の雰囲気を

格段に良くしていること

もう疑いの余地がないんです・・・!

 

実際こちらの小児病院、

受付からして病院というよりは

どこぞのエンタテイメント施設みたいな作りで、

壁という壁に子供用の遊具が設置してあり

外にも当然『遊び場』が作られていて

大病院によくある威圧感、重圧感

みたいなものがまったくない。

 

英国の小児医療への理念と情熱、

みたいなものをひしひしと感じる施設です。

 

なんかもう、本当に色々と感動しました。

 

すごく大きな病院なんですけど

入り口にはいつもボランティアTシャツを

着た人が立っていて道案内をしていて

何かしらこの利用者に愛されている感。

 

私も何か人の役に立つことがしたい、

帰り道にいつもそう思ってしまう私です。

 

すごい施設です。

 

 

『子供リラックス係』のお姉さんはね、

とにかく子供を褒めるんですよ

 

患者である子供たちに対し満面の笑顔で

これでもかと賛辞を降り注ぐんです

 

そして子供達を褒めることで

保護者の心を救っているんです

 

見たこともないような装置に

体や顔の色々なところを繋がれて

車椅子の上にぐったりとしている子に

彼女はそっと近寄るとぱっと顔を輝かせて

「あー!親指の爪のシールがまた

新しいのになってる!今日のもすごくカワイイ!

あなたの爪にすごくよく似合う!

あなた爪の形、とってもいいものねえ!

お母さんがつけてくれたの?いいなあ!

すごく似合うよ、お母さんは

あなたに合う色を選ぶのが上手だねえ!」

 

私はね、もう個人的にね、これからは

子供を見かけたら脊髄反射的に

とりあえず褒める人間になる

 

無差別的にそうする

 

相手が子供となったら何があろうと

褒めるポイントを見つけそれを口にする

 

北国発、子供無差別賞賛運動

皆様も是非ご参加ください

 

感動が変な化学変化を起こしたらしい

Norizoさんの心理的安定を願いつつの

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