そんなわけで最近思いのほか

気忙しく生活している私なのですが

気忙しさの原因は主に『夏の家事』

すなわち畑仕事でございます。

 

 

終わらない、もう諸々が終わらない。

 

昨日の午後は人と会う用事に追加して

家の縁(へり)の手入れをすることになり

また畑のニンジンの間引きも忘れてはならず

そして夕食には間引いたニンジンの

大量消費を狙って天ぷらを作る予定で

・・・昼前から仕事手順を考えて

ドキドキしていた私は心配性でございましょうか。

 

 

 

 

縁の手入れは私がこの週末に

夫(英国人)から請け負ったもので、

いえ、本来ならこういう『家の手入れ』は

夫の領分なのでございますよ、

でも、ほら、今わが夫は

己の『プロジェクト』にかかりきりなもので。

 

雨風と冬の冷気そして湿気に

すっかり傷んだ家の外壁の縁部分の

汚れをまず普通のブラシで落とし、

次に鉄(ワイヤー)ブラシで落とし

 

 

 

 

必要な個所にはヤスリもかけ、

もう一度普通のブラシで埃を落とし、

念のため掃除機でさらに埃を取る。

 

 

ヘンリーって日本で買うと高いんですね・・・!

 

この下準備だけで1時間以上を要し

「・・・夫よ、君、縁の手入れの所要時間は

約30分って言っていたじゃないか」

 

「あれは本番のペンキを塗る作業に

必要な時間のことで・・・こういうのは

準備のほうに時間がかかるものなんですよ」

 

「・・・まあいいや、じゃあ次はペンキか?」

 

「その前に防腐剤を塗ります。

防腐剤を塗って、それが乾いたらペンキで、

さらにそのペンキが乾いたら

もう一度ペンキを塗って作業終了です」

 

・・・いや、いいんですけど、いいんですけど

私はこの後畑でニンジンを引き抜きたくてね。

 

ともあれせっせと防腐剤を塗りこんで

「よし、次がペンキか?」

 

「その前に防腐剤を

乾燥させなくてはなりません。

1時間くらいこのままにしておいてください」

 

じゃあその間に、と

防腐剤塗付に使った容器と

ブラシを洗ったところで

待ち時間は残り45分。

 

今のうちにお茶を飲んで休憩しつつ、

そうだ、朝のうちにできなかった

メールチェックをしてしまおう!と

ついでに夫の分もお茶をいれて持って行くと

「わあ!ありがとうございます!

僕、ちょうど喉が渇いていたんです

・・・ちょっと、どこに行くんですか」

 

「いや、私は今日まだPCを開く時間が無くてね。

今のうちにメールを確認しておきたいんだけど。

ついでにブログも更新したいなあ、と」

 

「せっかくなんですから

一緒に紅茶を飲みましょうよ」

 

「いやでも私の紅茶はもう

私のPCの隣に置いてあるし

PCももう起ち上げてあるし」

 

「紅茶を持ってきて、PCは

そのままにしておけばいいでしょう?」

 

「いやでもそれはエコロジー的に・・・

わかった、わかったよ、紅茶を持ってくるよ」

 

しかし夫の隣に私が腰をかけても

夫は自分の『プロジェクト』の

進捗状況の確認に心奪われ

別に私と話をする訳でもなく夢想状態、

おい、これなら私、PCに向かって

一人でお茶を飲んでも同じじゃないか!

 

「なあ、私、自分の部屋に戻っていいか?

だって君、別に私と話したいこともないんだろ?」

 

「どうしてそんなことを言うんですか!

君が隣にいてくれる、それだけで

僕は満足しているというのに!」

 

「じゃあもう満足したな、

お互いお茶も飲み終わったしな、

では私は30分後に

ペンキ塗りに戻ってくるから

それまでしばしの別れを悲しもうな!」

 

「・・・僕、すごく喉か乾いているんで

紅茶のお代わりを飲みたいんです。

2杯目は僕が淹れるから待っていてください!」

 

結局楽しいお茶の時間が終わったのは

ペンキ塗り開始予定時間の20分前で

「・・・妻ちゃん、君、なんかむっとしていますか?」

 

「まあ多少な・・・私はペンキ塗りの前に

メールだの何だのをチェックしたかったからな。

残り時間20分はちょっと短すぎる」

 

「・・・ペンキ塗りの開始時間を

遅らせればいいんじゃないですか?」

 

「そうしたら次の作業に

時間がずれ込んじゃうだろ!

私は今日のうちに

ニンジンの間引きをして

天ぷらを作りたいんだよ!」

 

「その二つの作業は

明日に回したらどうですか?」

 

「明日は雨で畑仕事には不向きなんだ」

 

「・・・僕に何か手伝えることはありますか?」

「君は自分のプロジェクトで忙しいだろ」

 

「でも言ってください!

君の手伝いがしたいんです!」

「じゃあ夕飯を作ってもらえる?」

 

「・・・僕は天ぷらは作れないです」

「天ぷらは明日にして、今夜はトーストと

コーヒーでもいいくらいなんですけど、私は」

 

「・・・」

「まあいいよ、私は20分後に

戻ってくるから、またな」

 

言葉通りその20分で私は

手元に来ていたメールに目を通し

ブログに記事をアップし、

よし、これで後はペンキ塗りと

ニンジン間引きと天ぷら作りだ!と

急ぎ足で作業現場に戻ったら

夫が曲芸を済ませた後の犬のような顔をして

「妻ちゃん!僕、君の代わりに

ペンキを塗っておきましたよ!」

 

・・・はい?

 

「何だって?」

 

「君はとても忙しそうでしたから、

僕が代わりにペンキを塗っておきました!

君がしっかり下準備をしてくれていたおかげで

非常に楽に作業を進めることが出来ました!

さあ君は心おきなくニンジン間引きと

天ぷら作りに取り組んでください!」

 

いや・・・そうじゃない、そうじゃないんだ!

 

 

 

 

ペンキ塗りにのみ関して言えば

私は結構その作業を楽しみにしていたんだ!

 

ペンキ塗りをしたいがゆえに

その下準備を頑張った面もあったというか、

つまりニンジン間引きと天ぷら作りという

個人的に非常に面倒くさい仕事の

一種の前祝い的な作業としてのペンキ塗り。

 

そんなわけで夫の行為を

素直に喜べなかった私は

妻として狭量だったでしょうか。

 

いや、本当にそれなら

ペンキ塗りよりもトースト作りを

担当してくれた方が

私としては嬉しかったんでございますよ。

 

とりあえず昨晩の夕食は

間引きニンジンの天ぷらでした。

 

 

私はどうもこういう

「喜ばせを目的としたサプライズ」

みたいなのが苦手なんですよね

 

喜べないと相手に対しても申し訳ないし

だって相手は厚意でしてくれたことだし

しかし本当に私を喜ばせたいなら

そういう奇をてらってくれるな、という

 

私のこの心の機微がわかるあなたも

わからぬあなたも

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