7.24.2013

ビッグダディどころじゃない “STARBUCK”



見る前から結論づけるな、 っていう邦題だが、 原題はSTARBUCK、 カフェではなく、 男が精子提供の際に使った偽名。 提供されたものは実際に使用され、 男は初めて誕生を見届けようとする子が恋人のお腹にいるが、 実はすでに533人の息子・娘がいたという話。 最近、 試験管ベビー的な話は聞かないせいか一昔前の映画を見ている気にもなるが、 この分野の現状はどうなのだろう。

男が小銭欲しさに輸血感覚で病院に通ったのは80年代で、 今ならDNAの解明が進んで却下されそうな素性の男ではあるが、 映画のポイントは医学的な問題でも法律的な問題でもなく、 この男の人柄の描き方にある。 男は家族経営の精肉店に勤め、 借金をかかえるサエない男ではあるが、 情に厚く、 憎めない奴。 子どもたちから集団訴訟で匿名権の放棄を要求されるが、 原告団のファイルから一人一人を訪ねて歩き、 こんな親父ですまないと感じながら密かに見守ってしまう。

子どもたちはすでにそれぞれに成長していて、 ある者はプロサッカー選手だったり、 ある者は薬物依存だったり、 またある者はゲイだったり、 ある者は障害を抱えていたりする。 しかし自分の血を引いているという愛おしさからか、 放っておけない。 あるいはこの男の場合、 たとえ血のつながりがなくても出会った者に対してはそうしたかもしれない。 そして最後は人類みな兄弟、 ブラボー!

物語的な破綻はいくつも見つけられることだろう。 しかしまあ、 それにも増してブラボー!な気分になれる作品ではある。 人には、 思いもよらない可能性がある。 確かにそうだろう。 これから子どもを持とうとする人に見てもらえばいいのか、 やめといたほうがいいのかは微妙なところだが。 。


人生、 ブラボー! STARBUCK (2011カナダ) 日本公開2013年1月 公式サイト
監督 ケン・スコット 
パトリック・ユアール アントワーヌ・ベルトラン ジュリー・ルブレトン 
サラ=ジャンヌ・ラブロッセ 

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