9月24日日曜日、朝のニュース番組は衆議院解散と北朝鮮半島情勢のオンパレード。衆議院解散の方は次に回すとして今日は北朝鮮の話。

 トランプ大統領は金正恩北朝鮮労働党委員長を「ちびのロケットマン」と蔑み、金委員長はお返しにと、トランプ氏を「老いぼれ」とこき下ろし、互いに中傷合戦を繰り広げている。

 論議のあり方としては双方とも大人気ない。公の場で国の代表という立場の者が相手を名指しで罵るべきではない。また「ちび」とか「老いぼれ」とか人の身体の一部の特徴を侮蔑する発言はパワハラやセクハラに通ずる。

 吠える犬は弱いという。吠えている間は戦いの準備期間かそもそも戦う気がないかである。本気になったとき人は黙する。静謐な目をした格闘家は相手の隙きを見つけた瞬間、手足から強烈な一撃を繰り出す。強い者には言葉は要らないのだ。

 だから非難合戦が続いている現段階においては、ただちに朝鮮半島に武力衝突が起こるということはないだろう。

 国家とは自国の利害で動く。損得勘定で国の舵取りを考える。善悪ではない。

戦争とは人を殺すことであるから悪に傾く。道徳的に善ではない。

 しかし太平洋戦争でみたように政治の現実は違う。アメリカは原子爆弾を落とし一度に何万人もの命を奪っておきながら悪だとして裁かれたことはない。日本は戦争を引き起こした「悪人」となり戦争犯罪者として多くが裁かれた。

 原子爆弾投下を承認した当時のアメリカのトルーマン大統領が述べているように「戦争を早期に終わらせるためだった」という主張は損か得かの計算に立ったものだった。さっさと対日戦争を終結させないとスターリンのソ連軍が対日参戦を強行する。戦勝国のひとつとなれば降伏後の日本のアメリカ単独統治が難しくなる。ソ連と対峙することは何としても避けたい状況だったのだ。

 北朝鮮で戦争が起こって「金王朝」が滅んだらいったい誰が得をするのだろうか。

 国境を接する中国、ロシア、韓国の利害得失が錯綜とする。アメリカは韓国に軍を駐留させそれこそ第一の当事者となって関係を複雑化させている。

 朝鮮半島の有事のあとをどうする? アメリカの影響下で北朝鮮を自由主義体制に移行させるのか? それとも中国の影響下に? ロシア?  

 第二次大戦後のベルリンのように国を三つに分割して共同統治するのか。国連の委任統治? 何らかの方策があるのかも知れないが私には他の選択肢は思いつかない。

 戦争とは戦争に勝ってからのことを考えて始めるものだ。今のところ、戦後処理が一気通貫に見通せない情勢だ。だとしたらアメリカは北朝鮮の挑発行為に乗って攻撃を始めるだろうか。

 アメリカが戦争に踏み込む目的が何か他にあるだろうか。イラクでのアメリカの関与の理由が石油の利権がひとつだったように、北朝鮮に地下資源があるのだろうか。工業生産や軍需産業に必要なレアメタル。北朝鮮には大量に埋蔵されているそうだ。アメリカはこれを狙っているのだろうか。

 われわれ一般市民に明るみになっているのは北朝鮮から中国に大量に輸出されているのは石炭だということ。中国は制裁措置としてその対中国輸出を禁じた。だが北朝鮮と中国にとって貴重なのは大量のレアメタルであって石炭禁輸は隠れ蓑なのではないのだろうか。

 アメリカの狙いはレアメタル。それを奪う。 

 だがそんなことになれば米中全面対決となってそれこそ朝鮮半島有事はあり得ないという結論になってしまう。

 ややこしい。複雑である。ただ非難合戦が終わって互いにだんまりを決め込んだら怖い。恐ろしい。そんなことは考えたくもない。