<伝わりやすい声かけ>
http://omemedo.tanba-sasayama.com/new/koukai/koekake.pdf
あんまり声かけ、声かけいうのは、やめてもらいたいというのが、本当のところですが、ベースの表現だけはマスターください。
(pdfファイルにしています。ご自由にお使いください)
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健常児のお子さんのように、声かけだけで動いてもらう、理解してもらうのは、お互いにとてもたいへんですし、誤解の生まれる原因にもます。けれども、音声言語は、私たちからすれば、楽なもの、つい、それですませてしまいがちになります。
それで、声をかける場合、以下の「基本」を守っていただければ、通じやすくなります。
Ⅰ 自閉症の障害特性から、考える声かけのポイント
-視覚的、具体的、肯定的な声かけ-
1.視覚的に声かけしましょう。【視覚優位】
・子どもが見て判断できるように、声かけしましょう。
例:「この赤い箱に入れましょう」
「椅子に座りましょう」
「机で、自由帳にお絵かきしてね」
2.具体的に声かけしましょう。【抽象的な言葉がわかりにくい】
・それだけでは映像化出来ない言葉は、単独で使わないようにします
例:「これ」「あれ」「それ」といった指示代名詞
「しっかり」「きちんと」「ちゃんと」「ゆっくり」「さっさと」「よく」などの副詞
「優しく」「きれいに」「正しく」「ひどい」「まじめに」「無駄だ」「急に」「自由に」「丁寧に」などのたくさんに意味のとれる形容詞、形容動詞
・ 何をするか具体的な事柄を伝える。
例:「きれいにしてね」→「水を拭いてください」
「ちゃんと片付けます」→「カバンはマークを前に棚においてね」
「優しくおいてね」→「音なしでおきます」
3.肯定的に声かけしましょう。【求められていることがわかりにくい】
・否定的な声かけだけで、終わらないようにします。
・×には○を用意します。または○だけで示しましょう。
例:「登りません」→「下りましょう」
「しゃべらない」→「お口はチャックですよ」
「走らない」→「歩きましょう」
1,2,3を合わせて表現すると、子どもにとって一番わかりやすい表現になります。
Ⅱ その他のヒント
1.こちらに注目できる(している)時に、声をかけます。
後ろからや、気の無いときに声かけしても、驚くだけです。
2.逆オウム返し→子どもの発語に共感します
言葉がオウム返しとか、音声が出始めた頃には有効です。ただし、年長になると嫌がるし、失礼なのでやめましょう。
3.同じような抑揚や言い方をまねて表現します
子どもの発語の要素は本人にとっても聞き取りやすい可能性があります。子どもにとって理解しやすいコミュニケーションのストライクゾーンを利用しましょう 。ただし、年長になると嫌がるし、失礼なので、やめていきましょう。
4.「○○しなさい」と「○○しない」は一字違いで大違い!の内容になるので、子どもによっては、聞き取りにくいかもしれません
例:「トイレに行きなさい」→「トイレに行きましょう」
「着替えなさい」→「着替えましょう」「着替えてね」
5.抽象的な言葉やわかりにくい言葉を使うときは、子どもに具体的な行動が表れているときに表現します
例:家に帰ってきて、ぐったりしているときに→「疲れたね」
正しく座っているときに→「きちんと座れているね」
おふろから上がったときに→「サッパリしたね」
外での活動のときに→「お花見(秋見つけ)しているね」
6.誉めるときはわかりやすく!また、途中には、励ましの言葉を添えましょう
・誉めるとき…子どもの行動に値打ちがあることを伝えるため
例:「やったー」「すごい!できたね」「完成!」「終わったね」「上手」「ありがとう」他
・励ますとき…子どもに、その行動を、維持してもらう
例:「頑張ってるね」「いいゾ!その調子」「なかなかうまい」
「もう少しだね」「サスガだ」など
ただし、年長になると、幼稚な褒め言葉、大げさな励ましなどが、「うっとうしい」「馬鹿にされている」と、感じてもいきます。
どんな声かけも、年齢の尊重を忘れないようにします。
7.次にして欲しいことのみ、端的に伝えましょう。たくさんのことを一度に言わないでください。
例:「手を洗って、カバンをおいたら、冷蔵庫からジュースをとって、テーブルの上で飲みましょう」→「手を洗いましょう」終わってから「カバンを片付けます」済んだら「冷蔵庫からジュースをとって」出してきたら「テーブルで飲みますよ」
「車に乗ったら、ロックして、ベルトをするのよ。」→「車に乗りましょう」ドアを閉めたら「ロックをしてね」し終わったら「ベルトを付けましょう」
ただし、こういうことは、できるようになると、先先声かけしないようにしていきます。
「声をかけたらする」は、「声をかけないとしない」と同じ意味です。声賭けが過ぎると、結果、指示待ちになってしまいますので、すでに、自分で自発的にできることには、声をかけないが原則です。
(逆に言うと、声をかけないことで、自発的に動くことは、増えていきます)
8.子どもに伝わりやすい声のトーンをみつけましょう
高すぎる、抑揚のきつい声かけは、かえって恐怖感を与えます。また、怒ったようなドスの利いた低い声も、怒られているかのような勘違いを生みます。大きすぎると威圧感を与え、小さすぎると聞こえません。
9.聴覚からの刺激がつらいタイプには、また、なかなか動けないという場合は、声かけを絵や写真、文字表示に変えましょう
少しでも複雑なこと、オウム返しするとき、安易に「はい」や「いいえ」を繰り返すときなどは、文字や絵などで、確認をしてください。言われている意味をりかいしていないの方が多いです。
声かけでわかるようなことでも、見せて伝える方が、むしろ安心感を与えることを忘れないようにしましょう。