陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

日本映画「チーム・バチスタの栄光」

2016-07-21 | 映画───サスペンス・ホラー
2008年の邦画「チーム・バチスタの栄光」は、ドラマ化もされた人気の医療ミステリー。ドラマは観たことがありませんが、タイトルから、天才的な外科医が人命を救う感動的な医療ドラマを想起していました。実際は、医療現場という特殊な専門世界に限られたサスペンスドラマなのですね。医療知識がないど素人には、犯人が当てづらいので、なかなかスリルを味わえるでしょう。

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東城大学附属病院につとめる心療内科医の田口公子は、院内の心臓外科専門の「チーム・バチスタ」の不自然な術中死を巡って、調査を依頼される。
米国帰りで天才的な外科技術をもつ桐生を筆頭に七名で構成された医療班「チーム・バチスタ」は、難易度の高い心臓移植の代替医療、バチスタ手術を成功させてきた世界に類を見ない最高のスタッフたちだった。しかし、そのチームが三回の連続で手術に失敗してしまったのだ。

七名に順繰りに接触を図って探りをいれる公子だが、まったく見当がつかないまま、報告書をまとめる。その矢先、厚生労働省から派遣されたという白鳥が現れ、犯人の洗いなおしを迫られることに…。

きまじめだけど外科手術には専門外の女医と、型破りな職員の組みあわせ。演じたのは竹内結子と阿部寛なのですが、このコンビはどう考えても、あの「TRICK」を思わせます。白鳥の豪胆さとそれに振り回される公子のコミカルパートはどう考えても、素人で好奇心旺盛な主婦が殺人事件を目撃し、探偵役の弁護士なり検事なりの男が解決に導くという土曜ワイド劇場っぽさを踏襲していますね。

天才を妬んだ凡才の助手の嫌がらせなのか、元は桐生に負けず劣らずの外科医だった病理医の企みなのか、それとも執刀医の過失だったのか。真犯人探しは二転三転し、最後には意外な結末に導かれてしまいます。このあたりのもつれた糸を解きほぐす手口が鮮やかではありますが、この真相というのが救いようのないものであるだけに、正直、あまり視聴後感はよくないですね。

原作は海堂尊の同名小説。「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した話題作。著者はなんと現役の医師。
原作を台なしにしたという意見が多いようですね。読んだことはないですが、こういう専門性が光って筆が冴えた小説のたぐいは、たいがい映像にするとだめな気がします。「劔岳 点の記」もそうなのですが、リアリティを追及するために淡々として静謐な医療現場というのは、退屈すぎてたまらないのでは。多少なりともオーバーな演出が必要だったように感じます。この映画のつくりならば、いっそ、舞台劇でもできそうなんじゃないかと。

監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」の中村義洋。
ドラマ版とはキャスティング(主演・伊藤淳史)が異なるようですね。どうして、主人公の神経内科医を女性にしたのでしょう。


(2010年10月3日)

チーム・バチスタの栄光 - goo 映画

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