ふと書きたくなったので歴代ドラえもん映画レビューその1 | ピカチュウと天狼(シリウス)の徒然日記

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かつて栄えていた「ウルフラブ」という奴のブログ。消えてしまった奴に代わりフェリルが管理していた夢の跡地。2008年から長い間のご愛顧ありがとうございました。

私が影響を受けた作品は数多くあり、その中で現在最大手となるのはやはりポケモンです。が、ポケモンと出会う以前に特に大きな影響を与えたシリーズが4つ存在します。それが「ディズニー」、「ムーミン」、「鬼太郎」、「ドラえもん」です。大半が親の受け売りではありますが、それぞれが絶大な影響を私に与えた作品群です。ディズニーとムーミンに関しては以前ディズニーランドの記事とブレスオブザワイルドの記事で若干語り、鬼太郎はアニメのおかげで現役コンテンツなので今回は「ドラえもん」に絞って語っていきます。

最初にリアルタイムで見始めたアニメで、覚えてる範囲では1997年頃からです。TV版も結構ハマってましたが、それ以上に影響が大きかったのが「劇場版」です。実はこの劇場版ドラえもんは今でもポケモン映画以上に気に入ってるシリーズで、数年に一度全部見直すほどです。最近また劇場版を一作目から全部見直して感極まった結果どうしてもまとまった感想を書きたくなったというのがこの記事の発端です。

 

新旧含め全部で37作品(最新作の宝島は見ていないため除外)あってとても1つの記事で書ききれないので、全5回に分けます。第1回の今回は1作目の「のび太の恐竜」から8作目の「のび太と竜の騎士」までをレビューします。それではどうぞ!

 

レビューと一緒に作品と主題歌の評価を簡単に5つ星で載せておきます。主題歌も粒ぞろいなので同様に語らせてください。

 

1、のび太の恐竜(1980)

 

総合評価:★★★☆☆ 3.0

 

最初の劇場版作品。最初期なだけあって作画が古くてキャストがみんな若いです。物語の内容としては恐竜の化石を見つけてやると意気込んだのび太がホントにフタバスズキリュウの卵を見つけてタイムふろしきで卵に戻して孵化させて「ピー助」として育てていき、やがて恐竜のいた頃の昔に戻そうとしますが、場所を間違えたので当時の日本の場所まで送り届ける間に大冒険になるという作品です。見所は当時まだ恐竜の学説が今と違うところがあり、当時の学説が作品に反映されてるため(特にティラノザウルスの姿とフタバスズキリュウの卵生の件など)こう言うの好きな人には非常に面白いです。あとは珍しくのび太がラジコン操作して恐竜ハンターを出し抜く所なんかも好きですね。面白い作品ではあるのですが後半の畳み方がタイムパトロール(ドラえもん映画におけるデウス・エクス・マキナのひとつと思っていただければ)に任せっきりなのは尺的に仕方ないとはいえなんかあっさりでしたね。要はタイムマシンの故障で空間移動装置が壊れたので日本まで行って時間移動で帰る算段だったので、彼らは自力で日本まで旅するというのが作品の中核だったわけです。まあこの辺は2006年のリメイク版が改善してくれてるのでまた第4回で詳しく語ります。

 

 

主題歌:ポケットの中に/大山のぶ代、こおろぎ'73

評価:★★★☆☆ 3.0

 実にドラえもんらしいキャラソン(?)って感じです。昔小五になったら引き出しからドラえもんが出てくると信じてた幼き私に夢を持たせたきっかけみたいな歌ですからね。大山ドラはこの頃からどこか可愛さがあった気がします。ちなみに作詞はあの武田鉄矢。この人との出会いがドラえもん映画の主題歌を伝説級にしたと言っても過言ではありません。

 

2、のび太の宇宙開拓史(1981)

 

総合評価:★★★☆☆ 3.5

 

第二作。今度はワープに失敗した宇宙船とのび太の部屋の畳の裏が繋がるという夢にあふれすぎた展開からスタートし、開拓星のコーヤコーヤ星を脅かすガルタイト工業と戦う作品。コーヤコーヤ星が地球より重力が小さいためにのび太達の身体能力が飛躍的に向上して「スーパーマン」と名乗ったりする展開が面白いです。あとのび太の射的の才能が始めて活かされた作品でもあります。ただ、大層な戦力として終盤登場した殺し屋ギラーミンがめちゃくちゃ噛ませっぽく描かれてたりで拍子抜けするシーンも。それとガルタイト工業の開拓民へ対する嫌がらせが陰湿極まりないのが人を選ぶ所だと思います。個人的に好きなのは「タイムふろしき」の伏線ですね。一番最初と最後を同じ道具で解決する展開ってなんか好きなんですよね。そして特筆すべきはEDです。

 

主題歌:心をゆらして/岩渕まこと

評価:★★★★☆ 4.0

 

この「心を揺らして」はシンプルな歌詞ながら畳みかけるようにサビを繰り返し、転調までして涙腺を壊しに来る曲です。この曲をバックに押し入れの下のねじれ空間を飛んでいくシーンは非常に印象深く、この作品の要ともなっています。私自身非常に好きな曲のひとつです。

 

3、のび太の大魔境(1982)

総合評価:★★★★☆ 4.0

第三作。のび太が地球にまだ誰にも見つかってない大魔境がないか探し始めるところから始まり、衛星で探していたら謎の石像を見つけます。そこへ行く途中、スリリングな冒険がしたいという理由でいつものメンツで探検隊を結成し向かうも、道中様々な困難があったり、のび太の拾った犬であるペコがその大魔境にある犬の王国の王子だったりして、国に到着して国を乗っ取ろうとする大臣のダブランダーと戦う話。通しての感想はとにかくジャイアンがかっこいい。「ジャイアン映画版の法則」が最も色濃く感じる作品といえます。作品通してジャイアンの心理描写が多く見られたり、ペコが呼びかけたりするのもジャイアンなのでこの映画の真の主役と言えるかもしれません。特に終盤、ダブランダーの火を吐く車に追い詰められた時にのび太達に脱出しろと言い残し一人立ち向かうペコの後を無言で追いかけるシーンは後述する主題歌もあってむちゃくちゃ感動できるシーンです。ジャイアンファンは必見!あと、日本においてきた道具を持って現れる未来のドラえもん達のシーンも熱いです。こうして伏線にしてあった「10人の外国人」が成立するのも面白いです。

主題歌:だからみんなで/岩渕まこと

評価:★★★★☆ 4.0

 

EDの「だからみんなで」は一人だと弱いけどみんなで力を合わせれば強くなれるというシンプルな歌詞をどこかしんみりと歌いきった曲となってます。ただし、前に向かって足踏みしてる謎多きEDより挿入歌としてジャイアン達が立ち上がるシーンに流れてる印象の方が遥かに強いです。このシーンセリフがないので尚更際立つんですよ。ニクイ演出ですホント
 

4、のび太の海底鬼岩城(1983)

 

総合評価:★★★☆☆ 3.0

 

夏休みに海と山に行こうと揉めて、山のある深海にハイキングに行ったら海底人と出くわす。そして彼らのムー連邦に行き、地球の危機を救って欲しいと頼まれてバミューダトライアングルにある鬼岩城に乗り込んでポセイドンを止めに行くという話。実際にあるムー大陸の伝説やバミューダトライアングルの都市伝説などを作品独自の解釈で描いています。こういうのもドラえもんの面白いところだったりします。見どころとしてはテキオー灯(使うと宇宙や海底でも平気でいられる)の効き目があとわずかなのにも関わらずバミューダに向かったスネ夫とジャイアンの痛いとか苦しいなどの生々しいセリフと共にどんどん暗くなる映像がかなりエグいです。幼少期に見てよくトラウマにならなかったなと思いましたもの。思えばこれが定番化するドラえもんにおける怖い描写の始まりかもしれません。あとはドラえもん達の乗るバギーちゃんことバギーが喋れるように改造されてるのですが、このバギーがまた毒舌だったりラストでポセイドンと相打ちしたりと重要な役割を持ってました。一つ気がかりなのは海底人は何故ドラえもん達と同じテキオー灯を持っていたのかということですかね。未来では陸に上がった海底人の技術が応用されてこの道具を作ったとかそういう設定なのでしょうかね?私の評価があまり高くないのはなんかあまり盛り上がらないからです。嫌いじゃないけど好きではないという感じです。

 

主題歌:海はぼくらと/岩渕まこと

評価:★★★☆☆ 3.0

 

EDもなんか前作のEDと聞き分けができないくらい似てて二番煎じ感が否めなくてあまり気に入ってません。ただし歌詞は作品によく合ってます。

 

5、のび太の魔界大冒険(1984)

 

総合評価:★★★★☆ 3.5

 

のび太がもしもボックスで科学より魔法が進んだ世界を作り出し、その世界で出会った満月博士と美代子に協力して地球に接近する魔界星を止めるために立ち上がるストーリー。ドラえもん映画としては初の異世界、パラレルワールドモノになりました。サイクリングがホウキング(箒に乗って飛ぶ)になってて魔法の世界感がとても良く出てたり、見事な伏線回収が魅力で、一度タイトルが出て映画が終わりそうになる演出なんかも好きです。メドゥーサが見た目も能力もすごく怖くてトラウマの人も多いらしいですが、私自身この作品旧ドラの中でもたった数回しか見てないためにあまり印象に残ってないんですよね。美代子が中盤頃呪われて猫になったりするので貴重な映画ドラえもんのTF例だったりしますが、その要素に関しては第4回で書くリメイク版の方が印象が強いです。ただ魔界星を冒険するという要素に関しては旧作の方が上です。

 

主題歌:風のマジカル/小泉今日子

評価:★★★☆☆ 3.5

 

そしてこの主題歌、旧作ドラえもん映画でこれだけ版権が切れてしかも色々複雑だったためにビデオやDVD、ネット配信も全て大魔境の「だからみんなで」が流用されているためにこの曲がEDとして流れる魔界大冒険は見たことがありません。なのでこの曲はかなり最近になって聴きました。作品に合ってて良い曲なのですが版権問題のせいで埋もれた名曲となってしまいました。

 

 

6、のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)(1985)

 

総合評価:★★★★☆ 4.0

 

スネ夫達と宇宙戦争の自作ムービーを撮ってたらある失敗から除け者にされたのび太はドラえもんの力を借りてしずかちゃんと共にムービーを作る事にしたものの、その際中に小さな宇宙船を見つけ、さらに自分の星でギルモア軍のクーデターから逃げてきた小さな宇宙人のパピと出会い協力する事に。しかし留守をやられてしずかちゃんが攫われてその身代わりにパピがギルモア軍に捕まり自身の星に連れ攫われてしまったので助けに行こうという話。ポイントとしては所々に洋画オマージュがあるところですね。タイトルはまんまスターウォーズですし、イントロのジャイアンであのライオンやったり、戦車で月の前を飛ぶシーンはおそらくE.T.でしょうし私が詳しくないだけで他にもあるかもしれません。あとスネ夫の戦車のラジコンがこれでもかと言うほど大活躍します。間違いなく今作のMVPです。チャモチャ星到着後はガチな宇宙戦争シーンと潜入からの捕縛とかなりシリアスな展開が続き、重苦しいBGMが緊迫感を途切れさせません。あと敵であるドラコルルがめちゃくちゃ賢く、完全に追い込まれてドラえもんたちは処刑されそうになります。そこを打破したのがスモールライトの効果時間切れという設定です。チャモチャ星自体が小さな宇宙人の星で、パピに合わせるため序盤からずっとドラえもん達はスモールライトで小さくなっており、そのスモールライトは作中でギルモア軍に奪われてしまいますがラストでスモールライトの効果が解けて元に戻ると通常サイズでも巨人サイズになるため、無双して敵を追い込むという爽快な展開がたまりません。改めてよく出来た映画だと思います。それにしてもこのポスター、印刷ミスみたいに見えるデザインしてますよね。

 

主題歌:少年期/武田鉄矢

評価:★★★★☆ 4.5

 

そしてこの主題歌である。旧ドラファンの間でも名曲中の名曲と称される曲で、大人になるほど歌詞がどんどん味わい深くなるため、子供の頃にこの曲を聴いた人は大人になった今改めて聴いて欲しい曲と言えます。サビは今聞くと涙出そうになります。これといいポケットにファンタジーといい、大人になってから響く曲ってホントどれも涙腺ブレイカーばっかりなんですよね。

 

7、のび太と鉄人兵団(1986)

 

総合評価:★★★★☆ 4.5

 

恐らく旧ドラ最大の人気作でしょう。そして地球が過去最高にヤバくなりかけた作品といえます。スネ夫にロボットを持ってないことをバカにされたのび太が偶然北極で見つけた球体を日本に持ち帰ったら、巨大なロボットの部品が次々に送り込まれたので、それらを鏡面世界で組み立てるとガンダムみたいな巨大なロボットが出来上がり、それを「ザンタクロス」の名付けしずかちゃんに自慢するも、兵器であると分かったため本来見せびらかすはずだったスネ夫達も含めて秘密にしました。そこへリルルと名乗る少女にのび太が秘密をバラしてしまい、地球侵略を企む鉄人兵団の手先であるリルルは鏡面世界に基地を作り、入り口をこじ開けようとして爆発を起こし鏡面世界に閉じ込められるも、時既に遅く鉄人兵団が地球めがけて発進したことを知ったドラえもん達は鏡面世界で鉄人兵団と戦うことを決意します。特徴としてとにかくスケールの大きな話です。ガチの侵略者とガチで戦う話で、ドラえもん達は一度完全に敗北しかけますが、寝返ったリルルとしずかちゃんが鉄人兵団の星であるメカトピアを作った神様に直接会って未来を変える事で勝利を収めることができました。この際のリルルが消えるシーンは主題歌も相まってドラえもん映画史上でもトップクラスの泣けるシーンとなっています。その一方で鏡面世界でバーベキューをするシーンやスネ夫の作ったロボットであるミクロスの存在が緊張感を和らげてくれて熱さ、笑い、感動のバランスがとても良い作品であると思います。また、劇場版において初めて過去を変える歴史改変を行った作品でもあります。あとはのび太が鉄人兵団のことを警察や総理大臣に訴えようとした時に言ったドラえもんのセリフ「この映画を見ている人以外は無理だよ」というメタいセリフがお気に入りです。

 

主題歌:わたしが不思議/大杉久美子
評価:★★★★☆ 4.5

 

主題歌も実に泣けます。例のシーンも相まって涙腺に来る曲であることは間違いないです。歌詞としてはリルルやしずかちゃんの心境を歌ってるように感じました。EDへの入り方も実に秀逸で、銀河超特急の次くらいに好きな終わり方です。

 

8、のび太と竜の騎士

 

総合評価:★★★★★ 5.0

 

私が全ての劇場版ドラえもんの中でも特に好きな作品の一つです。現在私が生物史を好きな理由の根源はこの作品にあると言ってもいいでしょう。この作品のワクワク感と伏線回収の美しさは旧作随一だと思います。まずイントロからいきなりギラギラした画面でネッシーの伝説のテキストが不穏なBGMと共に流れてきてインパクトを与えます。テストを隠すためにどこでもホールという道具で世界のどこかの洞穴に答案を隠そうとしたら凄く広い洞穴で、みんなを招待して各々で部屋を作るも、スネ夫が洞穴の中で行方不明になり、どこでもホールが壊れてスネ夫の救出が不可に。しかし偶然拾ったスネ夫のビデオカメラを見たところ川底に落としたラジコンが写っており、川底にあの空洞へ通じる入り口があると結論付けたドラえもん達は川底の地下で白亜紀の森にたどり着き、そこには恐竜が今なお生き続けていました。その森でバンホーと名乗る騎士に出会い、彼の次元転換船で地底の首都エンリルまで行きスネ夫と再会しました。しかし地底人が地上へ侵攻しようとしていると知り、脱出を図りますが追いつかれてしまい、そのまま6500万年前の地球に連れて行かれてしまいそこで地底人と戦うことになります。

作品としては、序盤の伏線が秀逸で、のび太はドラえもんに○×うらないという道具で恐竜が地上にいないことを証明させられ、その裏でジャイアンがスネ夫のラジコンを川に落とします。これが地底人に改造され偵察機になってビデオカメラに映り込み、ビデオカメラを拾って持ち帰り分析し「川底に空洞への入口があるか」を○×うらないに問い、見事当てるというシーンが非常に好きです。また次元転換船の内部の地底の地図で見た四角い空洞を最後にドラえもんが道具で作ったとわかるシーンも「そうきたか!」と言った感じでした。地底人は恐竜から進化した人類で、聖域をドラえもんが作り、そこに生き残った恐竜を住まわせて助けたことから和解が成立したので、悪役がいない珍しい作品でもあります。ちょっと生物史的な説明とかも多い作品なので人を選びますが、逆に私はそこに魅力を感じています。そしてロマンも多いですし。あと地味に初めてレギュラーメンバーが行方不明になって助けに行く展開になった作品でもあります。

 

主題歌:友達だから/大山のぶ代、森の木児童合唱団
評価:★★★★☆ 4.5

 

一作目以来ののぶ代さん担当の歌です。どことなく明るくて楽しそうな曲ですが歌詞が結構切ないという絶妙な曲で、これをドラえもんがかわいい声で歌うと何故か心に刺さるといった曲です。歌詞がのび太と別れる時のことを歌ってると聞いた時はハッとしました。それ以後余計に好きになった曲でもあります。この頃から武田鉄矢の比喩表現の巧みさが目立ち始めました気がします。実に素晴らしい作詞センスだと思います。

 

今回は初期作品をレビューしましたが、記事作成に時間かかりすぎて前半と後半で書き方が変わってるので次回はもう少し簡潔に書けるようにがんばります。次回は9作目の「パラレル西遊記」から16作目の「創世日記」までを書きます。ああ、早く25作目が書きたい…。

 

では、今日はこのへんで!