ローフィス月間?
昨日も確かローフィスだったな…。
アイリスもディアヴォロスとは別の意味で凄い。
人の噂を聞き集め、更に本人の観察を怠らない。
これがあるから、アイリスは常に人より一歩、先んじる事が出来る。
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アイリスはそこ迄思い返し、そっ…と横列ギュンター向こうの、ローフィスを伺う。
一年の平貴族達が
「二年のシェイルは四年義兄のローフィスとデキてる」
とかって噂してたからつい
「それ、本当?」
と会話に割って入った。
彼らは大貴族が気軽に口聞く様に恐縮したけど、アイリスはにこにこと微笑って、彼らの噂話の仲間入りをする。
だから…ローフィスが義兄としての立場を貫きたい事。
でもシェイルは、庇ってくれて護ってくれるディアヴォロスが大好きだけどそれ以上にローフィスが好きで、離れて行って欲しくなくて必死なんだ。
と聞いた時、シェイルがローフィスへ、片思いしてる。
と思ってた。
が、シェイムが言った。
『本気で惚れてるのは、その義兄のローフィスの方でしょうね』
嘘だ。と思った。
が、シェイムが色恋沙汰で、間違うのを見た事が無い。
ローフィスは平静に見えた。
が時折…横のオーガスタスが、労るような視線を向けるのに気づく。
そしてローフィスは、真の気持ち知ってる親友の前で、一瞬“素”を曝すのを、アイリスは見逃さなかった。
…テーブルの上で、握った拳が、震えていた………。
その時アイリスは、途方も無い者を見るように、ローフィスを見た。
本気で惚れてる相手が他の…しかもディアヴォロスと一夜を過ごす。
自分なら心粉々に砕かれ…悪鬼になって、ディアヴォロスに剣抜き一瞬で…果てたかも知れない…。
つい、ぞっ…として顔下げた。
千里眼のディアヴォロスには相手が剣抜くと先に瞬時に解る。
それは…この上無い優位を産む。
だから…斬られた。と気づく間もなく絶命していても、可笑しくない。
アイリスは自分の拳も震えてる。と思い知った。
でもそれは、ローフィスとは別。
ディアヴォロスを敵に回す。と言う最大の恐怖。
けれどローフィスは…例えそれで斬り殺されても、後悔は無い…。
それ程の…ローフィスの、シェイルへの思い入れを感じ、アイリスは深く俯く。
アイリスはやっぱり、心の中で固く決意した。
『ディアヴォロスみたいな相手は絶対!
恋敵にはすまい…』
と。
つづく。