これまで読んだことがないような時代小説に出会いました。

 

鈴木輝一郎さんの『桶狭間の四人 光秀の逆転』。

 

 

まず、四人とは誰かというと、

織田信長、木下藤吉郎(豊臣秀吉)、松平元康(徳川家康)、

そして明智光秀。

 

サブタイトルからわかるように、この小説の主人公は

明智光秀なのです。

 

しかし桶狭間の戦いのどこに光秀の存在があったっけ?

という疑問が湧いてきます。

そこは「小説」ということで。

著者もあとがきにそう書いておられました。

 

 

さて、私の明智光秀像というと、

小説や時代劇で得た知識によるものがほとんど。

しかもいずれも主役は光秀ではなかったので、

 

キンカン頭、人前で信長公に罵倒されたことでキレて、

「敵は本能寺にあり!!」と謀反を起こしたものの、

豊臣秀吉に追われ、三日天下に終わった……

 

という、浅い人物像しか思い浮かばなかったのです。

 

 

それが、この小説では初っ端から光秀の意外な一面を見ます。

博打が好きなんですって。

賭場に出入りするだけではなく、

いつもサイコロを持ち歩き、

何かにつけて賽を振り、相手に

「さぁ、どっち?」と迫ったり……。

マイダイスを持ち歩く光秀、

まるでミュージカル『Guys&Dolls』で

「クラップしようぜ!」と言っていたビック・ジュールみたい。

一気に感情移入しました。

 

もう1つ、この物語に親しみをもてた理由をあげると、

光秀の奥さまの魅力が大きいと思いました。

出番はさほどではないのですけどね、

「人間五十年」の時代に、四十五歳になっても、

仕える相手が定まらない夫 光秀に

愛想をつかすどころか、励ます奥さま。

大事な髪を売って得た金を、

夫が賭場で擦ってきたら、アナタならどうします?

私なら怒髪天をついちゃいますけどね。

(売ったとは言え、

天をつくくらいの髪は残っているでしょうて)

それなのに、明智の奥様ときたら!

奥様にほだされて、光秀ガンバレ!と思ってしましました。

 

 

それにしても、この小説は、

私が今まで読んだ時代小説と感じが違います。

光秀だけでなく信長、秀吉、家康が、

なんだか隣のおじさんみたいなんですよ。

この親しみやすさは何なのかしら。

著者 鈴木輝一郎さんと四人の距離が近いのかも知れませんね。

 

そして、織田信長があとの三人に向かって垂れる

人生訓めいたセリフが良いです。

例をあげるなら

「努力に酔うな。苦労に甘えるな」

「人生、意外となんとかなる」

(青斜字は本文の引用)

 

実人生でも、どんなことも何とかなりそうな気がして、

目の前が明るくなりましたよ。

 

 

ところで鈴木輝一郎さんはこれまでに何作か

四人シリーズをお書きになっています。

シリーズ最初の作品『金ヶ崎の四人』が、

今週末のFNS二十七時間テレビでドラマ化されるのですって。

 

 

 

 

脚本はバカリズム。

タイトルは『僕の金ヶ崎』に変わってはいますが、

今までになく親しみやすい四人が登場するのではと、

期待しています。

 

戦国ドラマ『僕の金ヶ崎』放送日時

2017年9月10日 AM9:54〜

フジテレビ系列

 

 

 

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