本日2回目の更新です。

 

面白い本に出会いました。

 

太田忠司さんの『優しい幽霊たちの遁走曲(フーガ)』。

 

 

主人公は津久田舞々。

職業はホラー小説家で、これまで六作品を世に送り出している。

しかし、最近は、担当編集者の反応も鈍く、

この先新しい作品を出すことができるのか、

不安を感じている。

そんなある日、舞々は編集者から妙な話を持ちかけられる。

「ホラー小説家」を欲しがっている田舎町があるというのだ。

いぶかしく思いながらも、環境の変化が新たな作品のヒントを生むかも…と、

引き受ける舞々。

行ってみると、地元の名士が建てた古い館が住居としてあてがわれ、

食品はその町のとれたて野菜などを随時差し入れしてくれるという。

つまり、食住が保証されているのだ。

求められていることは、その町のことを書き残すことだけ。

こんな話があるのだろうかと、思いつつ館に滞在する舞々。

ある日、意図せず、庭にある祠の封印を解いてしまった。

それがきっかけで、次々に封印を解いてしまう舞々……。

(話のとっかかりをまとめました)

 

タイトルの一部「遁走曲(フーガ)」とは

主題と応答が繰り返されるという音楽用語。

この小説ではタイトルの通り、

舞々が封印を解くたびに異界のものが現れる、という

繰り返しがあります。

そろそろその繰り返しに飽きてきた頃、

ドカーンと、別の展開が訪れます。

 

夢かうつつか、うつつか夢か。

何が真実か、だんだんわからなくなってきます。

それでも何とか一応の決着がついたなと思いほっとしたところで、

最後に「え?!また振り出しに戻るの?!」という場面が出てきます。

 

時空はねじれ、異形のものが登場し、

非日常の世界が展開するのに、

グロテスクな感じではなくて、なんとなくファンタジック。

『千と千尋の神隠し』みたいにジブリで映像化してもらえないかしら。

 

とても不思議な読後感の小説でした。

 

 

 

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