001 周王朝の時、盧国(現在の河北省河間県)に名医秦越人がいました。彼の医術が優れていたので、皆は彼を上古の黄帝時代の名医「扁鵲」になぞらえて、「扁鵲先生」と呼び、彼の本名は人々から忘れられてしまいました。
002 扁鵲は若い頃賓客の館の館長をしていました。賓客の館には長桑君という医者がいて、医務に忙しくしていました。扁鵲はよく彼を手伝って病人の世話をしていて、二人は徐々に良い友人になりました。
003 ある日、長桑君は扁鵲に、医術を伝授したいと言い、彼にその意思があるかどうか聞きました。この話は扁鵲の意志に合っていて、急いで彼にお礼を言いました。
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長桑君:私の医術は人に伝授したことがないが、今私は老いたので、貴方に伝えよう。
扁鵲:先生がこうして指導して下さるなら、本当に得難いことです。私はきっとご老人のご厚意を無にしません。
◇鋭敏な皆さんは、絵の解説の文字が以前掲載した華佗伝の文字と少し違うとお気づきかと思います。縦書きだとか言わないで下さいネ。
例えば医学の医がこの編では醫となっています。日本の漢字の旧字体に相当します。
現在この旧字体は主に台湾で使われていて繁体字と呼ばれています。一方、中国大陸で使われている文字は簡体字と呼ばれています。
中国大陸でも日本でも繁体字または旧字体を簡略化したわけですが、略し方が異なるために、お互いに読めない漢字があるわけです。
私が中国旅行した時に「〇〇农业大学」という看板を見て、なに大学だろう?と思ったのですが、大学といえば、経済大学、商科大学、工業大学、外語大学、などがありますが、さてこの「农业」をどう読むか?分かったら思わずニヤリとしてしまいました。こういう大胆な略し方があるわけです。ヒントは「大根踊り」です。
さて、それから大分中国語の簡体字を読みましたので慣れて来たのですが、今回の扁鵲は繁体字で書かれていて、日本の旧字体が読めないように、やはり読めないのです。
・・・・・で、結構苦労した・・・・と言いたいわけです(笑)。
初めは台湾の本かと思いましたが、どうやら昔の本の復刻版のようです。
004 扁鵲はこの時から、医学を学びはじめました。彼は昼は長桑君の傍らでカルテづくりを補佐し、実際の経験をしました。
005 夜、扁鵲は灯の下で医薬に関する書籍を研究し、度々本を読んで深夜に及びました。
006 長桑君は扁鵲がこのようによく勉強しているのを見て、とても喜び、自分の知っている全てを彼に教えました。それから長桑君は元気がなくなり、病人が来ると、扁鵲に代診させました。
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長桑君:貴方が治療をしていいよ。
◇やっぱり勉強家だったんですね。。
八王子・日野はり灸マッサージ倶楽部より