在宅医療の実話エピソード。早寝して目覚めた夜中、一気に読了(注・漫画です)。
【感想メモ】
余命を告げられた患者に「家で暮らしたい」という思いがあり、家族にそれを引き受ける覚悟がある場合に訪問医療を引き受ける名古屋の杉本由佳医師の実話エピソード。
訪問1回に1時間以上かけるから先々の転帰が見え、家族と先手を打つことができるので、結果として夜間の呼び出しが少ないという。
厚労省の在宅医療推進政策では3人以上の医師がいることを補助金の支払い要件としているが、あえてそれを取らない。初診2時間、訪問1時間といういまのやり方を崩したくないからだそうだ。医師1人、事務員1人だけと小回りの利く運営体制にしているはいえ、これで経営が成り行くのかどうか。
自分も介護する人、される人、看取りを含めていくつもの話を聞いたが、同じ職種でありながら、いろいろな人が入れ替わり立ち代り出入りするのは、本人、家族のどちらにとっても苦痛なものだ。
医師だって、他の医師の対応への遠慮があるだろう。いきおい、顔を見るだけのような形式的な訪問になりかねないのではないか。
国も在宅医療を推進するなら、「医師3人」の枠にとらわれず、ぜひ杉本由佳医師のような、がっつり家族と四つを組める医師をも支援の対象にすべきだろう。
以上、 感想メモでした。
つい最近、マザーテレサの「死を待つ人の家」では、全てが管理されていて、食事や入浴だけでなく「水を飲む時間」まで決まっているという話を聞きました。
お国柄もあるのでしょうが、イメージと違うというか、とても違和感をもっていたところだったので、ひとりひとりの死に際の個性を大事にする「看取りのお医者さん」に共感をもちました。
と、同時に、看取る家族には相当の覚悟がいることも否めません。
国は、今後、高齢者医療の拠点を病院から在宅(サ高住などの施設も含みます)に移そうとしています。
在宅での看取りの実際を知りたい方には、手軽に読めて、リアルにわかる良書です。幾度となく、胸も打たれます。
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