【夕顔78-2】「心づくし」の乱れとは? | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【夕顔78-2】「心づくし」の乱れとは?

源氏物語イラスト解釈ですラブラブ

 

では今日も行ってみましょう~♪

ヽ(○・▽・○)ノ゙

 

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今回の源氏物語

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秋にもなりぬ。人やりならず、心づくしに思し乱るることどもありて、大殿には、絶え間置きつつ、恨めしくのみ思ひ聞こえたまへり。

   上矢印

訳と内容が不明確の人は、まずイラスト訳からどうぞ☆
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これまでのあらすじ

 

天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏

ただ今、「4.夕顔(ゆうがお)」の巻です。源氏が新たな恋人、六条御息所の所に通っていた夏の頃の話。源氏の従者である惟光の母の見舞いに行ったところ、夕顔の咲く隣家の女性と和歌のやり取りをします。

一方、同じく身分のさほど高くない空蝉のことも心に残っており、また、空蝉の身代わりに抱いた軒端荻のことも引っかかっています。空蝉の気持ちを見定めてから…と思っている間に、夫である伊予介が帰国してきました。娘の軒端荻を結婚させ、空蝉を任国へ連れて帰るとのこと、光源氏は空蝉への想いを打ち消せないのでした。

 

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 ☆ 私大対応:古文解釈問題 ☆

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秋にもなりぬ。人やりならず、心づくしに思し乱るることどもありて、大殿には、絶え間置きつつ、恨めしくのみ思ひ聞こえたまへり。

 

問)傍線部は、『古今集』の「木の間よりもりくる月の影見れば心づくしの秋は来にけり」を受けているとされる。この部分の解釈として最も適当なものを選べ。

 

1.葵の上は、光源氏の夜離れが幾度も重なったことにより、左大臣とともにずっと気を揉んでいた。

 

2.葵の上は、左大臣邸になかなかやって来ない光源氏への想いが一層強くなり、心を狂わせていた。

 

3.光源氏にはご執心のお方がいたため、秋の夜長だというのに、正妻である葵の上のもとへも通えなかった。

 

4.光源氏は、秋になって他のお方に心を傾けてしまったため、狂おしいほどのお心で思い乱れていた。

 

5.秋は物思いの季節と言うが、光源氏は個人的な恋の苦しさに心が乱れて、より一層途方に暮れていた。

 

 

 

木の間よりもりくる月の影見れば心づくしの秋は来にけり
   (『古今和歌集』秋上 詠み人知らず)

 

 

 

古今集の詠み人知らずの和歌。

訳さなくても、なんとなく意味が分かりますよね。

(o^-')b

 

 

ポイントは「心づくし」です。

 

【心尽くし(こころづくし)】

【名詞】

 

…あれこれと深く気を揉むこと

 

 *学研全訳古語辞典(Weblio古語辞典)より

   

 

今でいうと、

心を尽くして一生懸命っ;;

…なんてイメージのある言葉かもしれませんが、

 

古文では、「物思いに沈む」イメージの重要古語です。

((((((ノ゚⊿゚)ノ

 

 

 

秋になると、山々や前栽の趣が変わり、

あちらにこちらと、美しく色づきはじめます。

 

夏までは、日の入りも遅く、

夜がそんなに長くは感じなかった人々も…

 

冬場になると、寒いので

早々にふとんに入って寝入ってしまう人々も…

 

 

この、秋の美しい輝きに見入り、

長い夜、寂しくもの思いにふけってしまう…

 

 

それが「心づくしの秋」という感覚☆

 

 

大岡信氏の言葉を借りれば、

「主観的な気分に重点を置いて、実は秋の情感を客観的に深くとらえた含蓄ある表現」

とのこと。

チュー

 

 

なので、源氏物語にも、

この表現がよく用いられています。

ε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ

 

 

ここでは、傍線部に「思し―」尊敬語があるので、

「思し乱れ」ている当人は、光源氏です。

 

 

 

 

1.葵の上は(△主語ズレ)、光源氏の夜離れが幾度も重なったことにより、左大臣とともにずっと気を揉んでいた。

 

2.葵の上は(△主語ズレ)、左大臣邸になかなかやって来ない光源氏への想いが一層強くなり、心を狂わせていた。

 

3.光源氏にはご執心のお方がいたため、秋の夜長だというのに、正妻である葵の上のもとへも通えなかった。

 

4.光源氏は、秋になって他のお方に心を傾けてしまったため、狂おしいほどのお心で思い乱れていた。

 

5.秋は物思いの季節と言うが、光源氏は個人的な恋の苦しさに心が乱れて、より一層途方に暮れていた。

 

 

さらに、

「心づくしの秋」という古文常識を勘案すると、

答えは見えてきますよね♪

(o^-')b

 

 

 

ちなみに、

光源氏は、誰に対して心を砕いているのでしょうか?

 

 

与謝野晶子訳などによると、

 

 

この秋に至るまでに、

光源氏藤壺宮に、何か絡みがあったのではないか

という解釈になっています。

 

 

ですが…

 

直前部分(夕顔第2章)からの流れでいうと、

 

 

空蝉への想いが大きかったのかなぁ…なんて;

(;゚;∀;゚;)

 

 

まあ、いずれにせよ、

この秋、正妻葵の上のもとへは

訪れられなかった光源氏

ここにいるのでした。

(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解…

 

 

 

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