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『2014年4-6月期のGDP改定値を受けて①』三橋貴明 AJER2014.9.16(11)

http://youtu.be/4toOUMcHQ5o

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 本日は文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演したわけですが、ショッキングなニュースがいくつかありました。

 中でも、個人的に衝撃を受けたのは、以下の記事です。


8月首都圏マンション発売は49.1%減、契約率19カ月ぶり70%割れ
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0HB09P20140916
 民間の不動産経済研究所が16日に発表したマンション市場動向によると、8月の首都圏マンション発売戸数は前年比49.1%減の2110戸となった。前年比での減少は7カ月連続。首都圏のマンション契約率も69.6%で、好不調の分かれ目とされる70%を19カ月ぶりに下回った。
お盆休み期間を含む端境期で新規大型物件の供給がなく、消費増税前の駆け込みがあった前年8月からは大幅な落ち込みとなった。首都圏は引き続き7割以上の契約率となっている半面、埼玉、千葉など郊外での契約率の落ち込みが目立っている。

不動産経済研究所では「高額物件は引き続きいいが、一次取得者の動きが鈍い。消費増税で需要の先食いが見られた可能性がある」とみている。(後略)』


 マンションの発売戸数の前年割れは、実は7か月連続です。しかも、8月の49.1%減というマイナス幅は、リーマンショックがあった08年9月(53.3%減)以来、5年11か月ぶりの大きさになります。8月としては、1974年(50.1%減)以来の落ち込みになります。


 1974年がいかなる時期だったかといえば、もちろん前年(73年)のオイルショックの影響で、実質GDPがマイナスに落ち込み、しかも物価上昇率が20%を上回り、日本が(一時的に)スタグフレーションに突っ込み、高度成長が終焉を迎えた年でした。14年8月のマンション発売戸数の落ち込みは、高度成長期の終わり、あるいはリーマンショックに匹敵する惨状という話になります。


 また、「寺ちゃん」でも語りましたが、個人的に注目しているのは、8月の「新車販売台数」が前年同月比9.1%減となり、11年8月以来、最悪となってしまった事実です。
 逆に、7月の全国スーパー売上高は、前年比2.1%減と、落ち込みが「緩く」なっています。食品スーパーに限って見ると、前年同月比0.2%「増」でした。特に、畜産品や水産物、惣菜の売上が好調でした。
 食品が対前年比並の売上になっている反対側で、日用品や化粧品はやはり低調です。

 すなわち、消費税増税後の日本国民の消費は、「必需品」に絞られていることが分かります。そして、商品が高額であればあるほど、マイナス幅が大きくなるという、実に納得がいく消費行動を日本国民は取っているわけです。
 

 さて、わたくしは今回の日本の消費税増税について、「ユーロと同様に一種の社会実験である」と何度か語ってきました。デフレの国が消費税増税を断行すると、どうなるか。国民の支出を減らし、結果的に所得が減り、さらに支出を絞り込む悪循環、つまりは再デフレ化に突っ込むと増税前から予想し、何度(というか、何百回も)警鐘を鳴らしてきたわけですが、今のところ予想通り(一部は予想以上)の悪化となっています。予想が当たっても、全然、嬉しくないのですが。

 アメリカのノーベル経済学者ポール・クルーグマン教授は、現代ビジネスのインタビューで、現在の日本の消費税増税路線について「(安倍政権が)しでかしてしまった」と表現しています。本日のタイトル「日本経済は消費税10%で完全に終わります」は、クルーグマン教授のインタビューのタイトルになります。


ノーベル賞経済学者クルーグマン「日本経済は消費税10%で完全に終わります」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40411
 状況に応じて立場を変える御用学者たちとは違う。俗説に媚びることなく自説を主張し、未来を「的中」させてきた。その冷徹かつ一貫した視線は、いま、日本経済の重大な「変調」を見抜いていた。
◆とんでもない愚策
 私はこれまで安倍晋三政権によるアベノミクスを支持してきました。金融と財政の両面から経済を刺激するというアベノミクスの戦略は、これまでどこの先進国も実行したことがない「経済実験」でした。これを批判的に見る専門家もたくさんいましたが、私は必ず奏功すると主張してきました。
 実際、アベノミクスが実行に移されてから、株価も上昇し、景気も回復基調に入ろうとしていました。しかし、私はここへきて、安倍政権の経済政策に懐疑心を持ち始めています
 というのも、安倍政権はこの4月に消費税を5%から8%に増税し、さらに来年にはこれを10%に増税することすら示唆しているからです。
 消費増税は、日本経済にとっていま最もやってはいけない政策です。今年4月の増税が決定するまで、私は日本経済は多くのことがうまくいっていると楽観的に見てきましたが、状況が完全に変わってしまったのです。
 すでに消費増税という「自己破壊的な政策」を実行に移したことで、日本経済は勢いを失い始めています。このままいけば、最悪の場合、日本がデフレ時代に逆戻りするかもしれない。そんな悪夢のシナリオが現実となる可能性が出てきました。
 さらに、いま世界を見渡すと、先進各国の経済に多大な打撃を与える「危機の芽」が生まれる土壌ができつつあります。詳しいことは後でお話ししますが、日本がその大打撃から逃れられる保証はありません。最悪の場合、世界の危機が日本経済を壊滅的に破壊する可能性すらあるのです。
 安倍政権は、本当に「しでかしてしまった」というのが私の印象です。最もやってはいけない増税に手を付けたことで、日本経済はin suspense(はらはらしている状態)に陥ろうとしています。(後略)』


 後略部で、クルーグマン教授は、
「離陸するには時速300マイルが必要な時に、「それはちょっと速すぎるから時速200マイルで行こう」と吹き込む人がいた」
 と、語っています。財務省、御用学者、一部の政治家、アナリスト、エコノミスト、評論家。色々といましたし、彼らは今でも政権の中枢部に近い位置に陣取っています。


 また、クルーグマン教授は現在の安倍政権について、バブル崩壊から立ち直りかけていたところで、財政再建を旗印に掲げ、消費税増税に舵を切った90年代の政権。つまりは、橋本政権と同じことをやっていると、実に真っ当なことを言っています。


 さらに、今後の日本経済が「惨状」に突っ込むことを防ぐために、クルーグマン教授は、
・増税した消費税を一時的にカット(=減税)する
・財政面、金融面の追加的刺激策をとる
 と、提言しています。


 わたくしは、安倍政権の今回の「失政」を受け、
「消費税の再増税の凍結」
「緊急経済対策」
 二つを繰り返し訴えていますが、もちろん、消費税を5%に戻しても(あるいは、いっそ0%にしても)一向に差支えがありません。と言いますか、そちらの方が望ましいです


 単に、再増税凍結と減税では、必要な政治的パワーが違ってくるため、附則18条もあることですし、
とりあえず、再増税の凍結」
 を、安倍政権が現段階で決断するべきと主張し続けているのです。


 インタビューの後半で、クルーグマン教授は世界各国の経済問題、特に「中国経済の危機」について語っています。特に、夕刊フジの連載でしつこく取り上げ続けてきた、中国のバブル崩壊(及びその後の金融危機)は、疲労困憊の日本経済にとっては大きなリスクです。


 今後、中国のバブル崩壊と金融危機が本格化した場合、恐らく財務省は現在、そして近未来の国民経済の大失速について、
消費税増税が原因ではない。中国危機が主因だ
 と、前回の増税時と同じような言い訳レトリックを構築し、手下の御用学者たちに拡散させまくるでしょう。(前回はアジア通貨危機のせいにされた)


 今後の展開がどうなるかは、たぶんに政治的な問題であるため、予測不可能です。とはいえ、現時点でクルーグマン教授の、
「日本経済は消費税10%で完全に終わります」
 つまりは「消費税増税が原因だった」という認識を国民が共有することで、未来を少しでも良い方向に変えることができるのではないかと考えているわけです。


日本経済を「終わらせない」ためにも、再増税凍結、緊急経済対策を望む!に、ご賛同下さる方は、

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