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『ギリシャと地方創生①』三橋貴明 AJER2015.6.16

https://youtu.be/kDM_C2YUqHU

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 「亡国の農協改革(仮)」の〆切が迫り、どたばたしております。本ブログが追いかけていた話題が佳境に差し掛かりつつあるため、本日はギリシャ&上海の二本立て。


 ギリシャ議会が昨日未明、欧州連合(EU)などが金融支援の条件として示した構造改革案の是非を問う国民投票の実施を、賛成多数で承認しました。国民投票は7月5日に予定されています。


 さらに、EU側がギリシャ支援打ち切りを決定したため、金融支援プログラムは明日30日に失効することになります。6月末が支払い期限となっている、国際通貨基金(IMF)からの約15億ユーロ(約2100億円)の借金の返済は、これでほぼ不可能となりました。ギリシャが債務不履行(デフォルト)状態になる可能性は極めて濃厚です。


 チプラス政権は、昨日、ギリシャ国内の銀行の営業停止と、資本規制導入を決定しました。


『ギリシャ、資本規制導入=銀行業務を休止―生活・経済を直撃
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201506/2015062900012&g=int
 ギリシャのチプラス首相は28日、欧州連合(EU)など債権団との金融支援交渉が決裂寸前となり、国内金融システムへの不安が急激に高まったことを受け、ギリシャの銀行の営業停止、預金引き出しや送金の制限など資本移動規制を導入すると明らかにした。週明け29日から適用する。パニック回避を狙い「未曽有の措置」(首相)に踏み切ったが、市民生活や経済活動が大きな打撃を受けるのは必至。世界の金融市場にも影響が出そうだ。

 ロイター通信によると、銀行休業は6営業日続く見込み。29日は現金自動預払機(ATM)を含め、金融サービスが全面的に止まり、30日以降は一日の預金引き出し額が60ユーロ(約8300円)に制限される。アテネ証券取引所も29日は休場となる。』


 ギリシャの場合はかつて(1927年)の日本の昭和金融恐慌時のように、
「日本銀行が日本円の札束を刷って、銀行のカウンターに積み上げ、預金者を安心させる」
 といった手法はとれません。何しろ、「共通通貨ユーロ」の加盟国です。しかも、ECBがギリシャの各銀行への資金融通を停止する可能性も高いため、「パニック回避」の資本規制を導入したとしても、普通にパニックが起きるような気がします。


 結局、失業率26%を超える国において、政府に通貨発行権がない、財政政策も自由にならない、というギリシャの構造的欠陥といいますか「ユーロ・グローバリズムの欠陥」が、今回の混乱を招いたということになります。実際、失業率26%超であるにも関わらず、通貨発行権や財政主権がなく、雇用対策が打てないならば、政府はいりません。国民も税金を支払う気にはなれないでしょう。


 さて、ギリシャのニュースのおかげで影が薄くなってしまいましたが、先週もまた、上海株が下落しています。


中国株:急落、上海総合7.4%安-モルガンSが買い控えを助言
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NQJAYP6JIJUO01.html
 26日の中国株式相場 は急落。上海総合指数は約5カ月ぶりの大幅安で、弱気相場入りの一歩手前となった。信用取引で買っていた投資家がポジションを縮小したほか、モルガン・スタンレーが本土株の買いを控えるよう顧客に助言し、バリュエーション(株価評価)が高過ぎると警告する他社と同様の見解を示した。

 上海総合指数 は前日比7.4%安の4192.87で終了。今年の高値からの下落率は19%となった。ヘッジ需要の急増で、中国の株価指数先物は1営業日の値幅制限いっぱいの10%安となった。(後略)』


 何度か書いていますが、6月12日までの中国株の上昇は、主に中国人民の「信用買い」によって支えられていました。すなわち、借り入れによる株式購入です。


 中国中国人民銀行(中国の中央銀行)は、28日から金融機関の貸し出しと預金の基準金利をそれぞれ0.25%ずつ引き下げるなど、追加の金融緩和策を発表しました。実体経済が落ち込む中、何とか「金融経済」を維持したいという意図が見え見えですが、信用買いで膨らんだ株式バブルが、果たして金融緩和のみで崩壊を防ぐことができるかどうか・・・。


 何しろ、信用買いで株式を買った人は、株価が下落した際に追証を求められることになります。中国人民に余計なカネはありませんので、当然ながら「他の株を売却し、追証を支払う」にならざるを得ません。そうなると、他の株式の価格までもが下がる悪循環に突っ込んでいくことになります。


 ギリシャと上海のダブルショックで、本日の日経平均も下落は免れないでしょう(これで日経平均が上昇したら、凄いのですが)。
 
 さて、ギリシャや中国のみならず、現在の世界「経済」において共通する問題は、実体経済の軽視と、金融経済の重視(極端な重視)になります。ここでいう実体経済とは、国民が働き生産した付加価値(モノ・サービス)が購入され、所得が創出される「GDPになるプロセス」です。逆に、金融経済は為替、株式、土地、先物、債券等、購入されても所得が創出されない(手数料収入除く)おカネの動きになります。


 ギリシャが典型ですが、債券(ギリシャ国債)のデフォルトという金融経済の話が重視され、緊縮財政により、実体経済の縮小が放置(事実上)されてきました。結果的に、金融経済もまた、危機に陥ろうとしています


 ギリシャの「債券」という金融経済を救いたいならば、まずはギリシャの実体経済をデフレから脱却させ、名目GDPや税収を増やし、ユーロを返済させなければなりませんでした。ところが現実には、債券問題を理由に緊縮財政が強行され、実体経済が痛めつけられ、状況がひたすら悪化していったわけです。


 似たような問題(融経済を実体経済より重視し、事態が悪化する)が、世界各国で起きています。


 逆に言えば、主要国の中で最も早く「実体経済」を重視し、正しい経済政策に舵を切った国こそが、次の世界の経済的リーダーになるのではないかと予感しています。


「安倍政権は実体経済重視に舵を切り直せ!」に、ご賛同下さる方は、

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