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『2016年第一四半期を振り返る(後篇)①』三橋貴明 AJER2016.4.26(9)
https://youtu.be/zOAOYTdAZyY
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昨日も書きましたが、結局のところ、
「デフレ期に消費税を上げてはいけない」
「経済の不調の真因はデフレであり、財政問題とやらではない」
といった真っ当な議論が十分になされないことが問題なのです。
デフレ環境下であるにも関わらず、2012年に三党合意で消費税が増税されました。14年4月に消費税が増税され、日本は「国民経済の崖」に突っ込みます。
2014年末には、安倍政権が15年10月の増税を「延期」しましたが、
「リーマンショック並の経済危機や大震災が発生しない限り、17年4月には必ず上げる」
と、意味不明な「公約」を打ちました。
すなわち、ネガティブリスト方式の消費税増税です。14年時点で、例えば、
「GDPデフレータベースのインフレ率が2%を超える状況が三年間継続し、失業率が2%前半の完全雇用状況に至り、実質賃金が継続的に上昇しているためにデフレ脱却を果たしたと判断できる」
その場合は、消費税を10%に増税する。といった、ポジティブリスト方式であれば、まだしもマシでした。
とはいえ、ネガティブリスト方式では「基本的に、消費税を増税する」という話になってしまい、「増税前提」で議論が進まざるを得ません。
『消費税増税「2年間延期を」 自民・二階氏、首相に提言
http://www.asahi.com/articles/ASJ5R6FTMJ5RUTFK00Z.html
自民党の二階俊博総務会長は23日、来年4月に予定される消費税10%への引き上げを2019年4月まで2年間延期することなどを盛り込んだ提言を安倍晋三首相に手渡した。党内には予定通りの消費増税を求める意見もあることから、首相が増税時期をフリーハンドで判断できる状況を整える思惑がありそうだ。
提言では、「世界経済の急激な冷え込みに加え、熊本地震が発生した。これらの外的条件の変化を総合的に考えれば、『合わせ技一本』とも言える状況に至っている」とし、首相が示した増税延期の条件は満たされていると指摘。消費増税延期の関連法案を秋の臨時国会に提出するよう求めた。
安倍政権が目標に掲げる「20年ごろにGDP600兆円」を実現するため、今年から20年まで5年間で10兆~20兆円規模の財政出動も主張。災害対応拠点や防災設備の整備を国が地方自治体に代わって進めることで、デフレから「完全脱却」を果たすとした。(後略)』
結局、二階総務会長の提言にしても、「増税前提」になってしまうわけです。これが「増税凍結」であれば、現在の日本経済のデフレ脱却を、かなりの確率で保証する提言となるのですが・・・。
ともあれ、アベノミクスを成功させる会の提言、仮に山本提言としますが、山本提言に比べれば、二回提言の方が「マシ」です。理由は、二年、消費税増税を先延ばしすることで、「消費増税の凍結」を実現するための時間を稼げるためです。
もっとも、二階提言の場合、二年後に増税があるということで、家計の増税予想により消費が抑制されることは避けられません。
「だから、さっさと増税するべきだ。増税の悪影響は財政出動でカバーすればいい」
というのが、山本提言ですが、消費税減税をしない限り、長期に渡り続く消費税増税の悪影響を、短期の財政出動で覆い隠すことはできません。無論、財政出動の「継続的な拡大」を二十年続ける、というならば別ですが、山本提言では三年です。
もちろん、長期の財政出動の継続的拡大など、財務省が受け入れるはずがありません。先日も書きましたが、数百人体制で財務官僚が「ご説明」に回り、政治家をひっくり返していくに決まっています。
それ以前に、
「なぜ、そもそも消費税増税が前提になっているのか?」
という、根本的な議論が放置されているのが、最大の問題なのです。
社会保障の安定化のため、などというのは表向きの建前に過ぎません。そもそも、日本がデフレから脱却し、名目GDPと税収が安定的に増大を始めれば、社会保障など勝手に安定化します。
結局のところ、話は「経済学の間違い」である予算制約式に基づく財政均衡主義と、、長年続いた、
「クニノシャッキンデハタンスル~ッ!!!」
に行き着くわけでございます。
安倍政権はまともな経済政策をほとんどしていませんが、量的緩和により政府の負債を実質的に(15年末までに)130兆円も消し去り、さらに「量的緩和+マイナス金利政策」により、長期金利までもがマイナスに落ち込んでしまっているというのは、これは当初は予定されていなかった「成果」です。
政府の負債が日銀の国債買取により、事実上、返済されていっている。財政破綻(国債価格暴落、国債金利急騰)どころか、長期金利までマイナスに陥ってしまった。
上記二つの現象の「意味」を理解すれば、日本政府に財政問題など存在しないという「事実」が、誰にでも理解できるはずです。
国民の多くが上記の「事実」を理解すれば、そもそも「消費税増税をやる必要がない。それどころか、状況を悪化させるだけ」という世論が形成されると思うのです。
その上で、消費税増税は、最低でも「凍結」に持ち込まなければなりません。消費税増税の悪影響は、「消費税減税」をしない限り、永続するのです。
安倍総理の「適切」な判断に期待します。
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