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『企業の基盤①』三橋貴明 AJER2017.1.24
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さて、トランプ大統領は就任演説において、
『We will build new roads, and highways, and bridges, and airports, and tunnels, and railways all across our wonderful nation.
私たちはこの素晴らしい国の全土で、新しい道路、高速道路、橋、空港、トンネル、鉄道を造ります。(BBC訳)』
と、語りました。
その前には、
『And spent trillions and trillions of dollars overseas while America's infrastructure has fallen into disrepair and decay.
そしてアメリカのインフラが荒廃し衰退する一方で、海外では何兆も何兆もの金を使ってきました。』
とも、語っています。
早速と言うべきなのか、トランプ大統領は昨日、カナダ-テキサス間のキーストーンXLパイプラインの建設を推進する決定を下しました。カナダとテキサスを結ぶ、頂戴なパイプラインの建設は、もちろんアメリカ国民の「雇用」になります。
『トランプ氏、原油パイプライン建設推進 大統領令
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN24H55_U7A120C1000000/
トランプ米大統領は24日、カナダから米テキサス州に原油を運ぶ「キーストーンXLパイプライン」などの建設を推進する大統領令に署名した。オバマ前大統領は地球温暖化への悪影響があるとして、カナダのエネルギー企業トランスカナダによる建設申請を却下していた。トランプ氏は温暖化対策に後ろ向きな姿勢を鮮明にした。』
アメリカの公共投資(公的固定資本形成)は、80年代は対GDP比で5%前後だったのが、現在は3%になっています。
もっとも、アメリカは日本とは異なり、GDPが成長していたため、公的固定資本形成は96年比で1.8倍です。(日本は半分未満に縮小しました・・・)
金額ベースでは、二十年間で二倍近くも公共投資を増やしたアメリカですら、インフラ老朽化やインフラ整備の地方間格差が問題になっているわけです。
インフラの老朽化は、経済成長の阻害要因です。当たり前ですが、高速道路や鉄道、港湾等のインフラが利用不能な地区でビジネスを展開する、あるいは工場を建設する企業はありません。
インフラの老朽化は、
(1) 新たな投資という需要創出を阻害する
(2) 将来的な生産性向上を阻害する
と、二重の意味で経済にダメージを与えます。需要面、供給能力面、共に悪影響を受けるのです。
アメリカ商務省経済分析局によると、アメリカのインフラ投資は歴史的に対GDP比2.5%程度で推移していたのが、2014年には1.9%まで低下。
アメリカ土木学会の調査によると、インフラを「許容範囲」の水準に引き上げるだけで、2013年から2020年までに3.6兆ドルが必要とのことです。とはいえ、現実の予算は2兆ドルにとどまり、1.6兆ドルが不足することになります。
トランプ大統領は、インフラ投資を十年間で1兆ドル実施すると公約していましたが、実はそれでは「老朽化対策」に限っても足りないのです。
ともあれ、アメリカが「需要創出」「生産性向上」という二つの理由から、老朽化インフラのメンテナンスや、生産性向上のためのインフラ整備を推進していくのは、我が国にとってまことに僥倖かと存じます。何しろ、日本の政治家や官僚、経済学者は「アメリカを見倣う」のが大好きなのでしょう?「バスに乗り遅れる」のが嫌なんでしょう?
六年後(2023年)、日本の長さ2メートル以上の橋、約40万橋のうち、43%が建設後五十年を経過することになります。しかも、この数字には、建設年度不明な橋(30万橋もある!)は含まれていません。
トンネルの場合、約1万本のうち、2023年に34%が五十年経過になります。水門などの河川管理施設(約1万施設)は43%、下水道管渠(総延長距離45万キロメートル)は9%、港湾岸壁(約5千氏設)は32%が建設後五十年を経過します。
「荒廃した日本」を避けるためにも、日本はアメリカ同様に、インフラ投資を増やしていかなければならないのです。
「アメリカを見習え!」
が大好きな一部言論人の皆さん、是非とも「アメリカを見習い、インフラ投資を拡大しろ!」と叫んで下さいませ。
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