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『少子高齢化が日本経済を救う(後編)①』三橋貴明 AJER2017.5.30

https://youtu.be/onEQa07GWBM
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 田村秀男先生が、財務省の「御用新聞」に関する記事を書かれていました。(産経新聞も入るでしょうに・・・)


財務官僚御用メディア、経済成長重視に「難癖」
http://www.sankei.com/premium/news/170617/prm1706170005-n1.html
 安倍晋三内閣は9日に「経済財政運営と改革の基本方針2017」をまとめた。来年度予算編成や今後の成長戦略を方向づけるガイドラインで「骨太の方針」とも呼ばれるのだが、財務官僚御用のメディアとアナリストが「難癖」を付けている。
 「歳出拡大に布石を打つとともに、2019年10月の消費増税へフリーハンドを得たとの見方がある」(10日付日経新聞朝刊)が代表例だ。脱デフレと経済の拡大よりも、緊縮財政と消費税増税を最優先した結果、日本経済を「空白の20年」に陥らせてきた路線にいまだに執着しているようである。(後略)』


 ちなみに、わたくしは「プライマリーバランス黒字化目標」が残ってしまった骨太の方針2017について、当たり前ですが全く評価しておりません。


 それにしても、御用学者や御用新聞が「政府の債務対GDP比率」の引き下げが盛り込まれたことについて批判しているのは、確かに難癖としか言いようがありません


 とはいえ、財務省の御用学者や記者たちが、
「政府の債務対GDP比率が骨太の方針に入った。財政健全化路線の後退だ
 と、書きまくれば、多くの国民はプロパガンダに「騙される」という話になるでしょう。なぜ、騙されるのか。昨日の例でいえば、


●恐怖プロパガンダ
●抽象表現の多用


 という、プロパガンダが使用されているためです。

 
 国の借金で破綻する!(←ここが恐怖プロパガンダ) 財政健全化が必要だ! それにも関わらず、安倍政権は骨太の方針に「政府の債務対GDP比率」を盛り込み、財政健全化路線(←ここが抽象表現)を後退させた。

                             
 と、新聞に書かれると、ほとんどの国民は、
「その通りだ。けしからん!」
 と、思ってしまうのではないでしょうか。


 とうわけで、この種のプロパガンダ文章に引っかからないための手法を幾つかご紹介。


言葉の定義をする:とにもかくにも、定義をしなければ始まりません。


 上記の例で言えば、最も重要なのは「財政健全化」の定義になります。財政健全化とは、くどいほど書いていますが、政府の債務対GDP比率の引き下げです。


 とはいえ、財務省やメディアは財政健全化について「政府の負債残高が減ること」と、ミスリーディングを行っています。というわけで、財政健全化の定義を知らない人は、
「安倍政権は骨太の方針に「政府の債務対GDP比率」を盛り込み、財政健全化路線を後退させた」
 というレトリックに騙されてしまうのです。


全体からブレイクダウン(細分化)する


  政府の負債(国の借金、ではありません)の話をしたいならば、とりあえず日本全体の「負債」の話から始める必要があります。すなわち、国家のバランスシート。


【2016年末時点 日本国家のバランスシート(億円)】

http://mtdata.jp/data_56.html#BS16


 図は16年末時点の日本国家全体のバランスシートです。ちなみに「一般政府」には地方自治体が含まれているため、政府の負債が1248兆円を上回っています。

 本エントリーでは、国家のバランスシートに関する解説は省きますが、全体からブレイクダウンしない限り、真実は掴めません。

 上記以外にも、

◆比較する
◆推移を見る
◆関係を見る


 といった手法がプロパガンダを見破ることを可能にします。


 上記三つの内、最も重要なのは「関係を見る」です。関係とは、具体的には「利害の関係」になります


 要するに、そのプロパガンダにより「誰が得をし、誰が損をするのか」を整理すると、実態が見えてきます。(例えば、
公務員に対するルサンチマン・プロパガンダで、得をしたのは誰でしょうか?


 さらに重要な点は、「早々に発言しない」ことです。


 特に、現在の日本はネットが普及し、軽率に「発言」をしてしまった結果、後に引けず、認 知 的 不 協 和に陥るケースが頻繁に見られます。


 人間は、過去の自分の発言に縛られてしまいます。中身を理解しないまま、何となく「ノリ」で発言してしまった結果、間違っていることが分かっていても、詭弁を垂れ流し、自己正当化に必死になる情けない姿を、何度も見たことがありませんか?


 わたくしの場合、特定の話題が登場したとして、それについてすぐに何らかの発言や論評をすることはありません。TPPも、原子力発電所の問題も、わたくしが発言を始めたのは、相当に遅かったはずです。何しろ、自分で完全に理解するまで、一切発言をしないことを決めていますので。


 最近で言えば、豊洲移転問題、加計学園の問題など、当初は何にも発言しませんでした。何しろ、問題の本質が分かりませんから。


 結局のところ、日本で「経世済民を阻害する」という意味でプロパガンダをしている連中も、過去の自分の発言に囚われているわけです。もしかしたら、「御用学者」の連中も、本当は真実を語りたがっているのかも知れません。


 とはいえ、彼らは過去何十年も「財政破綻しま~す」とやってきたわけで、過去の自分の発言により、間違いを認めることなど不可能という話なのです。


 この手の連中のプロパガンダは、厄介です。何しろ、彼らはもはや引くに引けない状況に追い込まれているわけです。


 吉川洋、伊藤元重、伊藤隆敏、土居丈朗といった財務省の御用学者たちが「転向」する可能性は、限りなくゼロに近いのです。


 というわけで、少なくとも「財政破綻」「国の借金」関連のプロパガンダについては、御用学者たちの「間違い」を容赦なく指摘し、批判すると同時に、政治家に正しい知識をインプットしていくしかありません。


 政府の債務対GDP比率が骨太の方針に入ったことを受け、財務省のプロパガンダが暴走し始めている(元々、酷かったですが)ように思えたため、昨日と本日、プロパガンダ手法について取り上げました。
 

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