4月22日、ニカラグア政府は燃え上がる火に、水をかけることを決定した。しかしこれで抗議行動の火が鎮火するかどうかは定かではない。

 

ダニエル・オルテガ大統領は、政府が計画していた年金改革計画の撤回を発表した。改革案は先週に発表されて抗議の波を引き起こし、死者、負傷者を生み、略奪とニカラグアの不安定化を生じていた。

 

国営テレビの演説のなかで、ダニエル・オルテガは、社会保険システムの評議会が、この計画の撤回を決定したことを明らかにした。一方でいくつかの都市において、抗議行動が多数の人々の参加で続けられている。

 

「いまわたしが述べている決定は、すでに社会保険(INSS)の経営評議会が承認したもので、撤回するということ、つまりキャンセル、2018年4月16日の決定は棚上げされた。この決定は現在の抗議行動の事態を引き起こす原因となった」。

 

政府が発表した数字では少なくとも10人が抗議行動のなかで死亡している。しかしながら人権団体によると、その犠牲者の数は25人を上回る。このなかにはフェイスブックにライブで報道していたジャーナリストが含まれる。

 

社会保険が7月1日以降実施しようとしていた新しい制度は、労働者の社会保険への支払いが6.25%から7%に引き上げられる。また年金生活者の年金から、あらたに5%が医療費をカバーするものとして差し引かれる。

 

政府はこの改革が、INSSの破綻を回避するためには「必要なこと」と強調した。しかし抗議行動参加者は、これが貧困を増やすこと、大多数の住民の生活条件を困難に陥らすものであると主張した。

 

オルテガの発表は抗議行動のなかで留保付きで受け取られている。とりわけ学生たちは、引き続き街頭闘争を続けると表明している。

 

ニカラグアの多くのメディアによると、オルテガの演説ののちにも、抗議行動はとりわけ首都において続けられている。また学生のグループは、ニカラグア工科大学の占拠を続けている。ここは抗議行動の拠点の一つとなっている。

 

抗議行動

 

4月18日にオルテガ大統領が年金システム改革の承認をおこなった同じ日に、これを違法なものだと非難して、多数の人々が街頭に出てこれへの抗議行動をおこなった。

 

これに大学生とそのほかの社会運動団体が加わり、警察、軍との衝突が開始された。多くの証人によると、市民にたいして実弾が発射されたようである。

 

政府によると「右派破壊分子」が抗議行動に加わり、略奪をおこない、これにより実力を行使せざるを得なかった;一方で抗議行動側からは、それら行為は政府支持派と警官ら自身によるもので、この状況を利用して混乱状態をつくり商品を奪った。

 

4月22日のオルテガの演説のなかで、かれは警察部隊による暴力の行使を正当化した。これについてはすでにフランシスコ法王、米国、欧州連合、国連そのほかの国際組織から疑問が提出されていたものである。

 

「可能なところまでは警察を使いたくはなかった。しかし残念ながらほかの選択はなかった」。

 

大統領は次の段階は、対話のテーブルを開催すること、このなかで中長期的な社会保険制度の健全化の道について探ることと述べている。ただこの対話にたいして条件付けをおこなうことは認めないと強調している。

 

そのほかの出来事

 

ニカラグアのメディアが指摘しているところでは、抗議行動が開始されてから、多くのテレビ局にたいして検閲がおこなわれ、抗議行動を報道していた何人かのジャーナリストが弾圧された。

 

実際一人の犠牲者は死亡したアンヘル・ガオナである。かれはニカラグアの報道機関『エル・メリディアノ』の編集長で、ニカラグアのカリブ海側の、ブルーフィールドにおける抗議行動を報道していたところ殺害された。

 

「裁かれることをもとめます。証人が複数いて、かれらは殺したのが国家警察の武装部隊であると話しています」。ガオナの妻でありまた仕事の同志でもあったミゲリウ・サンドバルがBBCムンドに語った。

 

報道機関への検閲が明らかとなって、米州報道協会(SIP)代表のグスタボ・モウメは、この行為について「政府の権力主義の仮面がはがれた。かれらは11年間のあいだただ国家を破壊し、自身とその家族の利益のみを追求してきた」と主張した。

 

一方ニカラグアの研究者の何人かは、抗議行動は社会保険制度の改革をきっかけとして始められたが、その要求はさらに進められて、現在は政府の核心に向けられ始めていると分析する。オルテガとかれの妻ロサリオ・ムリジョ副大統領によって構成されている核心に。

(N01733) [BBC Mundo による]

 

    (foto:AFP)