「今年こそ」といろいろ思うところがある方も多いでしょう。私が一番目にするのは新年早々、住んでいるコンドミニアムのジムで見かけない人が汗を流していることでしょうか?そして私の経験が正しいならばひと月続く人は1-2割程度でしょう。何故続かないかといえば根気の問題もありますが、もともと設定した目標が高すぎるのだろうと思います。

今まで何もやっていなかった人が突然何かに目覚めて新しいことをするのは結構なことだと思います。しかし、宝くじに当たってその瞬間人生が激変するのと違い、新しい経験を積み上げるというのは並大抵のことではありません。だからこそ、すぐに成果を期待するのではなく、まずは続けることを目指したらよろしいかと思います。

ビジネスでもそうです。私は新規ビジネスについては初めの3年は売り上げの目標を立てません。それは試行錯誤の連続で初めに描いた通りにならないことが分かっているからです。まずはそのビジネスを1年続けながらどう改良していくか、続けるための施策を考えます。2年目で赤字をどう減少させ、顧客の不満をどう減らしていくか考えます。3年目でビジネスとしての体裁を整えながら向かうべき中期の目標を設定し、それが長期的に繁栄するビジネスか判断します。4年目に入ることが出来ればある程度目途が立ったということでいよいよ売り上げの目標なり、利益設定をする手筈となります。

このストーリーには経験という積み上げが内包されています。つまり、ある日突然起業してもすぐに花開くことはない、仮に開いたとしてもそれは本物ではなく、たまたま時流に乗ったのだ、と3歩ぐらい引いて考えた方がよいのです。それと経験を積み上げることでビジネスの細かいところまで良く見えてきます。トラブルの経験数も増えていくでしょう。よく失敗の数が多いほど成功する、と言います。

私が4年前に立ち上げたレンタカー事業はなかなか生みの苦しみがありました。盗難が2回、事故が1回、その他小さな破損などはずいぶんあり、従業員が配車の際、ぶつけたことも2回ありました。顧客とのやり取りもカナダならではでいろいろな国の人がいろいろな目的で借りて頂いています。怪しい問い合わせに引っかからないノウハウもどうにか蓄積してきました。

もしも事業計画で車の購入代金、売り上げの予想、運営費用だけをパソコンで計算して儲かる、儲からないという話だけをしていたらこの事業は絶対に実現していません。早朝、深夜でも次の客の為に車を洗車しなくてはいけません。全然楽じゃない仕事ですが私が期待が持てると思ったのは「シェアリングエコノミー」の時代背景、周りにある高級コンドミニアムの所有者は主たる居住目的ではないため車を持っておらず、十分な潜在需要があること、巨艦ホテルの目の前にありながら他のレンタカー店は一切そばにないことで完全独占できるシナリオがあったからです。

2000年代初頭、レバレッジのビジネススタイルが流行りました。てこの原理のごとく、要領よく様々なことをこなして一の力で十をこなすといった発想です。私もその影響を受け、持てる24時間を48時間、72時間に増やす効率化を追求してきました。ですが、それだけではダメだということに気が付いたのは自分に専門性が養われないからであります。表面ばっかりさらっていてはダメ。もっと奥底の真のプロにならねばいけないのです。

よく経営のプロという言葉を聞きます。GEからLIXILを経て今回退任する藤森義明氏やローソンからサントリーに移った新浪剛史氏などはその筆頭に挙げられましょう。プロは理論武装に経験を積み上げ、普遍的な解を求めることが出来ます。だからこそ、様々な異業種でも経営ができます。日本の多くの企業経営者は一業種に限定されその会社の生え抜きとしてトップに立つケースが多いと思います。アルバイトから社長になったことを美談とすることもあります。しかし、それでは本当の経験値を積み上げているとは思えません。だから日本の経営者はプロになれないのでしょう。

同じことは我々一般人でも同じで自分の経験を過信しすぎるきらいがあります。ところが世の中は超特急で動いています。10年前の経験はほとんど役に立たないかもしれません。カナダで1月1日に店舗はどこでも普通に営業していることを10年前誰が予想したでしょうか?5年前にクリスマスの日にレストランで食事が出来ると考えたことはありませんでした。

何事も積み重ねた上で最新の経験値にアップグレードしていくプロセスが必要なんです。そう考えるとレバレッジであとは放置プレイという簡単なシナリオにはならないことに気が付くでしょう。

私は数多くある事業をざっくり週5日を午前と午後で合計10コマとしてこの事業に1コマ、この事業には3コマ…という具合で時間配分しています。決して放置しない、そしていつも愛着を持ち続けます。いろいろな事業をしているから面白い切り口のアイディアも出てきます。これを何年も続けていると常識の殻を破ることが出来るようになると思います。

一年の計は、そうです、まずは無理をせず続けながら経験を積み上げ、プロになることを目指すことではないかと思います。ちなみに私の今年の仕事以外の目標は料理がもう少しうまくなれたら、と思っていますが。

さてさて。

では今日はあたりで。

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また明日、お会いしましょう。