今週は大所高所の話より企業レベルのニュースが多かった週でした。いろいろあります。その中からいくつかをピックアップしてみましょう。

まず、金曜日に飛び出したのはソフトバンクがサウジアラビアの政府系のファンドと共同でIT関連に投資するファンドを設立するとのニュースであります。その規模、最大10兆円。孫正義氏はある意味、日本では比べる相手がいないタイプの事業家であります。一般的経営者ならアメリカのスプリントを買収後、ようやく事業改善しつつある中、英国のアームを買収したばかりの段階でさらに大型ファンドを組成するという発想は出来ません。いろいろなご意見はおありかと思いますが、彼は世界にチャレンジできるまれな才能を持った存在であることは間違いありません。

一つ注目しているのは彼が社長をもう少しやると決断し、ニケシュ アローラ氏と別れたことであります。まるであと10年を自分のマラソンの最終ストレッチのごとく、猛然と攻める姿勢はほかの人にはなかなかできません。ではこれだけ投資事業を続けることができる理由ですが、まずは世界から優秀な人材を集めています。

ソフトバンクからTOEICの報奨金以外、社内英語という話題が出た記憶はないのですが、この会社は端から世界しか見ていないのでしょう。当然上層部になるには英語はマストでありましょう。それと同社は借金も多いですが、キャッシュフローが抜群です。この生まれてくるキャッシュをどう生かすか、多くの会社は借金返済ですが、彼はもっと投資を、と考えるところが強みなのでしょう。大したものです。

では、日本人がもっと注目するトヨタですが、スズキと提携しました。実は私はスズキがフォルックスワーゲン社と株式所有の事件で揉めているとき、スズキに救いの手を伸ばすのは日産と書いたことがあります。何故そう思ったかといえば鈴木修会長は年齢もあり、VW社とのごたごたが片付いた段階で引退するだろう、その際、軽自動車という特殊なクルマに強みがある会社に興味があるのは日系自動車メーカーしかない、そしてトヨタにはダイハツがあるから日産だろう、と考えていました。

ところが日産は三菱と提携して軽自動車を作っていましたが、三菱があんな形になり、労せずして三菱が日産に転がり込んできてしまいました。今、日産にスズキと提携はないでしょうからトヨタしかなかった、ということになります。が、個人的にはダイハツとの関係をどうするのだろうと思います。軽自動車の特殊性と市場性を鑑み、「ニコイチ」にするという発想もできそうです。

企業関係ニュースではそれ以外にファーストリテイリングが2020年売上の5兆円目標を3兆円という現実路線に引き下げた柳井会長らしい軌道修正にも注目しているのですが、それよりアメリカのウェルス ファーゴ銀行の行方はもっと注目に値します。

同行はリーマンショックの時、他行が投資銀行として壊滅的な打撃を受けたのに対し、リテールバンクとして急速に注目されその利益の健全性も含め、高い評価を受けてきました。アメリカの4大銀行の一つですから日本の「メガバンクプラスりそな」と似た構図です。そのウェルス ファーゴは厳しいノルマ制度もあったことから実に架空口座を210万件も作ってしまったというたいそうな事件を起こしてしまいました。

同社のスタンフCEOは辞任しましたが、後任は29年間在籍し法人部門から上がったスローン氏。氏もすでに矢継ぎ早の質問攻勢と消えない疑義の対応で苦戦しています。同社の株価は下がって入るものの今年の株価のピーク50ドルに対して現在は44ドル程度。業績は第3四半期はアナリストの想定を上回り良好でしたが9月に入り新規開設口座が減少に転じていることで注目する向きは多いようです。個人的には顧客を裏切る行為は自殺行為で企業の死さえ招きかねないことを肝に銘じさせたと思います。

今週はサムスンもこっぴどい痛手を被りました。企業運営の難しさを改めて感じさせました。

さて、違うトピに行きましょう。

タイのプミポン国王がお亡くなりになりました。国は深い悲しみに暮れています。70年もの在位も驚異的だと思いますが、その間、国民のハートをしっかりつかんだその象徴であり、且つ、実権者であった点でまさに国家の大黒柱であったと想像します。その点では日本の天皇制度とはだいぶ違うとも言えます。皇太子がそのまま跡をお継になられるわけですが、歴史とパーソナリティが折り重なる中でまだ、政府派、反政府派で完全に二分されている政情をどうコントロールしていくのか、世代代わりの難しさとも言えそうです。

最後に小池百合子氏話題。初の定例議会が木曜日に終わりましたが、驚いたのは都議の小池氏に対する態度の変化。初めは挨拶を受けない、目線を合わせないぐらいだったのに終わってみればこの方々も「百合子コール」をするのではないのかという勢いです。次元が低すぎます。

さてその小池氏、昨日の定例記者会見で面白ことを述べています。都庁職員の長時間労働に関して「...仕事の方法です。そこのそもそも論から変えていかないと、こんな長時間労働をして、みんな文句を言わなくてというのは、私はもうよく分からないのです、そこの辺が。だから、もう一度、人生見直した方がいいのではないかと。(中略)あまり目の前の仕事だけをヘトヘトになってやっているとついていけない人間になって取り残されますから、お気を付けになった方がよろしいのではないでしょうか」。これは個人的には爆笑ものでしたがうまいところついています。

冒頭の孫正義氏もどういう時間配分しているのだろうと思いますが小池知事もいつジャケットを買いに行くのだろうと思うぐらい、時間の使い方が上手です。忙しい時代だからこそ、今やらなくてはいけないのはSNSにしがみつき、新しいものをフォローし続けるのか、発信者側に立つのか、ということです。フォローとは他人のことが気になることです。自分の信念で仕事でも学問でも進めていけば他人のことなど気にならなくなります。間違いありません。その自信を持つことが大事なのでしょう。

では今日はこのぐらいで。良い週末をお迎えください。

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また明日お会いしましょう。