あと2日もすればトランプ大統領の議会演説が明らかになるので敢えてこのような内容のブログを今日、書かなくてもよいのではないか、と思う方も多いかと思います。トランプ氏の言動や政策についてはそれなりに各種情報は目にしているので議会演説でその具体的プランを聞かなくても彼のベクトルは変わらないだろうと想像します。ですので演説前にわざわざ振ってみることにしました。私は彼のマインドを読み取れますことやら。

私は不動産開発業者が背景のトランプ氏の経済やビジネス思考にケインズ的の考え方が影響していないはずはないだろうという前提を持っています。この業界にいる人間の発想は誰も似たようなものです。街をどのように作っていくか、インフラをどう整備するのか、人は何があると幸せになり、どういう動線を作り、どうやって人の流れを生み出したらよいのか、更には魅力があり、集客できる方法は何か、であります。そしてこれがトランプ氏のビジネスのDNAだとも言い切ってもよいかと思います。

アメリカという国を巨大な不動産と見立てればどこにどのような産業を配置し、人が幸福に住む場所を造り、インフラをどうつなげていくか、これぞ現実版の壮大なるシムシティではないかと考えています。

アメリカのインフラは老朽化が進み、橋が崩落するなどの事故も起きています。4-5年前でしたか、カナダからメキシコにつながるアメリカ西部の大動脈、I-5でシアトルから北に100キロほど行ったところで橋が落ちたことがあります。当時インフラの老朽化が大いに問題になったのですが、実際問題として田舎の道ではう回路が限定され、大変な交通状況だったのを覚えています。

これらに資金を投じようとしなかったのは14兆ドルという天文学的な純政府債務残高と債務上限をコントロールするための議会のバトルが手足を縛ってきたとも言えそうです。ここでトランプ氏は100年国債をそのひとつの手法として考えているようです。日本でも一時、永久国債の案が一部から上がりました。永久国債とはある意味、元本返済の必要がない実に都合の良い借金でありますが、100年債も実質的には似たような性格になるのでしょう。

この資金でアメリカの今後の100年を生み出すインフラ整備をするとしたら確かにとてつもない景気刺激策になるでしょう。が、心配がないでもありません。

1930年代の大不況の時、時の大統領フーバー氏は公共事業を通じてこの不況を脱する姿勢を見せました。その大事業の一つが当時の予算で9億ドルもかけて作ったラスベガス郊外にあるフーバーダムであります。ではその時と今と何が違うか、といえばアメリカの景気がどん底に冷え切っていた大不況時と世界がうらやむ景気のしっかりした足取りをたどる現在でありましょう。

私の心配とはアメリカの景気刺激策が行き過ぎて財政インフレが進み、仕事の品質が落ちる可能性であります。不況時の失業者対策であれば人々は一生懸命働きます。今、カナダからみるアメリカは賃金水準が狂っています。特に管理職以上の人材は給与ありきで仕事のクオリティがもはやついていっていない気がします。つまり、雇用状況がここまで良化する中でこれ以上の景気刺激策はキャパを超えてしまい、札束だけが飛び交う「成果なき刺激」になる気がします。

ましてやトランプ大統領は移民政策に対してかなりタイトです。国内産業保護も将来的に視野に入るとすれば「アメリカ経済の独りよがり」とならないでしょうか?一言でいえば「糸の切れた凧」のようなもので海外とのギャップが大きくなればなるほど将来の反動が大きくなるリスクがあります。

つまりトランプ大統領の推し進める経済政策は目先1-2年はよさげに見えるはずです。しかし、その後の恐ろしいほどの反動には十分構えておく必要があるとみています。これがトランプリスクではないかとみています。個人的にFRBは早めに金利を高めに誘導すべきだと思うのはすでに熱くなりすぎつつある経済に水を足してやらねば水は蒸発する点でしょうか。

目先に迫ってきた議会でのパフォーマンス、さて、どうなることでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。