トーキョー・スラム・エンジェルス@青山円形劇場~舞台から4列の客席へ突き付けられる演技の凄み | 覆面調査員A子の一日

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2014年度中に国立総合児童センター「こどもの城」が3月31日をもって閉館となるそうですが、それに伴い、青山円形劇場も来年2015年1月11日に閉館となるそうです。

…ということで見納めがてら先日、青山円形劇場で

テアトル・ド・アナールTheatre des Annales
「トーキョー・スラム・エンジェルス」を観て来ました。

出演:南果歩、山本亨、古河耕史、山崎彬、加治将樹、一色洋平、井上裕朗。


トーキョー・スラム・エンジェルス_表トーキョー・スラム・エンジェルス_裏

円形劇場はその名の通り完全円形オープンスペースで、
360度すべての方向から観客の視線を受けるという非常に変わった劇場です。

南果歩さん、良い女優さんですね。
長台詞をまったく噛むこともなく、
劇中ラーメンをすするシーンでも本気で召し上がっていらっしゃり
2時間10分以上の長舞台を熱演していらっしゃいました。


内容は▼を参照して欲しいのですが今の時代よりももう少し後の時代設定です。
私たちの子ども、孫の世代が主役の話と言って良いかも

読売新聞レビュー
金まみれの現代に異議(テアトル・ド・アナール)


<あらすじ(公式ページより)>

今より少し先の日本。

2020年東京オリンピックをピークに、景気の波は引き始め、日本の「ほころび」が顕わになり出した。

人口は1億1000万人まで減少し、その1/3が高齢者。
そのほころびは周辺からじわじわと、しかし確実に中心にも侵食しつつある。
生活苦にあえぐ民衆は格差是正を求めるデモ活動を展開し始めた。
人口減の煽りを受けて空き家率は増加の一途を辿り、東京都内にもシャッターを下ろした商店街、無人のまま放置された空き家の集まる地区が生まれつつある。
そこには失業者や浮浪者、不法滞在外国人などが集まり、独自のコミュニティを形成していた。
ある小説家は皮肉を込めて、その地域をこう呼んだ。
「トーキョー・スラム」──。
成功した証券ウーマン・オガタ(=南果歩)は、別れた夫・ヤマネ(=山本亨)との間に生まれた一人息子がしばしばトーキョー・スラムに出入りしていることを知り、20年振りにヤマネの営むラーメン屋を訪れる。
しかしそこに、店はもうなかった……。

資本主義の未来は一体どうなる? お金って一体、何? 日本はこの先、どうなるの?
──あり得るかもしれない日本の未来を、壊れた家族が直面するお金と経済、そして愛の話を通じて描く、テアトル・ド・アナールの最新作。



かなり重い内容で重い石をどんどん背負わされていくような圧迫感を感じる内容です。
でも観た後、「このままでは有り得るかもしれない」と思うようにも。

今年度の生活保護予算は3.7兆円。
年間一人あたり3.万、家族3人で年間9万の負担。
一方で真面目に何十年も働いて積み立てているはずの年金は
高齢化に伴い、どんどん国の財政を圧迫していて支給基準が厳格化。
医療費も併せ考えると
「年金を払わないで生活保護を貰い続ける生活の方が得なのでは?」と
私たちの世代ですら思えて来ます。

生活保護も年金も、自分のためではなく、
「今もらっている人間を支えるために支払わされている」と、
私たちの子どもの世代の若者が感じた時、
そして、負担額が増えて行った時、
その不満はどんどん膨み、若者は労働意欲を失うのではないか…なんてね。

円形劇場の座席はたった4列。
4列だからこそ、演技に嘘はつけず、
ラーメンから立ち上る湯気やたばこの煙から
怒り、嘆き、絶望まで、すべてが会場の隅々にまで伝わってくるようでした。
それは観ると言うより、突きつけられる感覚。

舞台は本日まで。