一昨日は春分の日でしたが…まさかの雪!
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季節を逆戻りな天気にびっくりしつつ、新国立の「赤道の下のマクベス」観てました←2回目
外は寒いけど、中は南国の物語。夜にマンスリープロジェクトもあったので、1日新国立でした。

今回、浅野さんの山形大尉が切なすぎて…感想が偏ってますが
戯曲はもちろんのことながら、池内さんはじめ本当に良い役者さんばかりだと思います。
誰かの発した台詞の1つ1つが、ちゃんと別の人に届いて…応えが返ってくるんですよね。


連れ戻された春吉は、山形さんを憎むことを生きるよすがにしてた、みたいに言うけど…大尉の綻び(殊更に「日本軍人」でいようとしてた気がするのです)をみて「誰、憎めばいい」っていうときが好きで。
刑務所で彼らを監視・暴行し、死刑を執行する看守たちを憎めれば楽なのかもしれないけど…彼らさえ、かつての南星や春吉たちと同じ「命令されてる側」でしかないのかな、って思います。
丸山厚人さんは舞台はもちろんなのだけど「青春アドベンチャー」でよく耳にする方で、上手いなあ…っていつも聴いていて。今回も、春吉という役の生きる苦しみ、生き残る苦しみが伝わってきます。

山形さん、みんなが笑ってるときに、もっと笑いたかっただろうな…とか。
南星がヤカンのお茶を飲みほしてしまった時に、山形さんもさりげなく責める眼差し向けてるのが楽しかったり。
正蔵さんのネタがしょーーーーもなさすぎて(笑)みんなに抱え上げられた時も、器(アルミかなあ)を手にとって助けようと動いてたりするし。←そして南星になだめられてる

本当の山形さんは、情の深い…優しい人だったと思うのに。それでも(命令でも)捕虜に強制労働や拷問をし…春吉たちを殴らずにはいられなかった。人が人でなくなる、「戦争」という怪物の恐ろしさを思います。
それさえも、人が始めるものだけども。

あと…最後の夜、南星と黒田さんがマクダフの妻子を演じるけれど。山形さんは、自分の妻と子のことを思いはしなかっただろうか…?って思ったり。
黒田さんが「許してくれ」っていうの、ワタシは少しモヤっと(上手く表現できないけど)してしまって。
南星のことを思ってだけじゃなくて…黒田さん自身が赦して欲しくて、いってるんですよね。だから、山形さんはあんな風に動いたんじゃないかと思うのです。「ここは地獄ばい」っていう人が、今なお「信じてる」とはワタシにはどうしても思えなくて。
(心身に刷り込まれている部分はあるかもだけど)
「かつて信じてしまったもの」を、抱えて…敢えて「あの時の日本軍人」として死んでいこうとしてるみたいな。偉い人がみんな、逃げてしまったからこそ。
南星の「死んだら、許してやるよ」がとても好き。大きいなあ…って思います。

翌朝、南星がシャワーを浴びてるとこ、裸体を流れる水がとても綺麗で。生命の美しさを強く感じます。
お腹すいて、喧嘩して、泣いて、笑って「こんなに生きてるのに」って。彼らの「生きてる」姿を目に焼き付けるための、2時間40分なのだと思います。

山形さんが向かうとき、みんなに敬礼するのですが…春吉も敬礼返してるんですよ。゚(゚´Д`゚)゚。
あの瞬間と「二番列車は、わたしね」っていう清々しいまでの言葉の響きに、身体が震えて…涙が止まりませんでした。
取り乱してる正蔵さんのために…南星に「手本見せなきゃ」って言われた通りに、凛として。縄もなく、目隠しもなく。
※「悲劇喜劇」掲載の戯曲では、山形さんも縛られてるんですけど。そこは変わってます。

正蔵さんは、あの戦争で、一番多かっただろう「普通の人」なんですよね。
言われるがまま、命令されるがままに動いて…「友人」と思ってた英兵のアーサーが隠し持ってたラジオを、拷問にあうと想像ついただろうに密告して。彼が拷問を受けるのを、見ていた。
(正蔵さんくらいの兵士が、止めに入って止むようなものではなかっただろうけど)
「無心に」山形さんを慕ってると書きましたが…不安で怖くて堪らないから「考えない」ようにしてるのかな、とも思います。昨年観た、青年座の「旗を高く掲げよ」に出てきたハロルドたちみたいに、考えることをやめてしまったのかなって。

正蔵さんが誇らしげに語る鉄道。それを短期間で建設するために、どれだけの人が犠牲になったか。何をして完成させたのか。
正蔵さんがいた場所は「枕木一本に死者1人」の場所だったそうです。
初日の感想にも書きましたが。山形さんが正蔵さんに、最後の駅名と…その場所に何があるのか話す場面が好きな理由です。

文平役の尾上さん、とても素晴らしかったです
泣き虫で…母親思いの優しい子で。黒田さん、ひっそりニューギニアで戦死した初年兵を重ねてたんじゃないかなって思う時もあります。
南星や文平の想いを、春吉が無事に外へ…次の世代へ語り継げるよう、祈るしかありませんでした。

初日を観たあと、職場で感想を叫んでましたら…昨日、劇場で職場の方に偶然お会いしまして
「話聞いたら、観たくなっちゃって」と言われて。観劇後に「観て良かった」と言っていただけて、ワタシこそ良かったのです…(*´ー`*)♡

マンスリープロジェクトの前には…いつものところで、いつものものを。
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そうしましたら、壁にかかってるサイン入りのお皿が何枚かなく。マスターに「どうしたんですか…?」と伺ったら、お客さんが引っ掛けて、何枚か割れてしまったそう(´; ω ;`)←解せぬ

ワタシの大事な方のは、幸い無事で「安全なところに避難させました」とおっしゃってましたが…大杉漣さんのお皿は割れてしまったそうで。
リニューアル前から10年くらい通ってますけど、こんなの初めてです。゚(゚´Д`゚)゚。

お皿だから、いつかは割れるかもしれないけど…ちゃんと固定されてましたし。「お皿がある」とわかってたから、通る時は気をつけるようにしてましたし。
マスターの好意で飾ってくださってるのに…最近、マナー悪いのかなあ…と悲しくなります。

そいでもって夜のマンスリープロジェクト
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「鄭義信の台詞の世界」観てきました✨
(気合い入れて、一番前の真ん中確保したw)
リーディングで鄭作品を辿る贅沢な企画で…めっちゃ堪能しました!
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出演の役者さんは浅野さん、馬渕英俚可さん、尾上寛之さん、岩男海史さん、中西良介さん。
司会は大堀さん。そして鄭義信さんが登壇されてました。
みなさま白い服で登場されまして。鄭さんが「亡くなられた方に繋がりのある舞台が多いので…」と。韓国では白は祭祀やお葬式の時に纏う、特別な色なのだとか。

リーディング順↓
①千年の孤独
②COUPLES 冬のサボテン
③ザ・寺山
④杏仁豆腐のココロ
⑤カラフト伯父さん←尾上さん登壇で追加になったと
⑥アジアン・スイーツ
⑦パーマ屋スミレ
⑧焼肉ドラゴン
場面を抜粋で少しずつでしたが、皆さま熱演で、馬渕さんは目を真っ赤にして演じられてて。
ほぼほぼ全部で役を演じられてた浅野さん、色んな役をみられて幸せでしたー!
「冬のサボテン」は2シーンあり、浅野さんは花ちゃんとカズ也の二役でした。再演しないかなあ…。
岩男さん、尾上さんも可愛かった

リーディングとリーディングの間に、鄭義信さんと大堀さんがエピソードなどを話してくださったのですが…金久美子さんのことになったときに、言葉にならない鄭さんが、見ていて切なくて堪らなかったです。
ワタシは「野望と夏草」や新感線の「アテルイ」とか…数作しか観ることができませんでしたが、本当にカッコいい、ステキな役者さんだったのですよ…。

先日買おうと思ってた、新国立劇場20周年ベア(SS)を連れて帰りました
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右が新しいこ、左はエドワード二世のときに見つけたこです。←だからヒゲ付きw
紙の王冠もセットになっていて「『ヘンリー六世』のチラシ思い出しますね」って、スタッフの方と話してた思い出。

缶バッチもついてて、とてもお得
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東京は25日までですが、地方もありますので!
楽しい…とは言えませんが、ぜひぜひオススメの舞台です。