さわかみ投信 さわかみファンド


さわかみファンド

是非はありますが,投資信託関係者やマニアの間で注目度の高いファンドです。

・早々に長期投資という概念を説いてきたファンド(と創業者)
・主にサラリーマンなどを対象にした長期の資産形成という概念を説いてきたファンド(と創業者)

などと,長期投資や資産形成の草分け的存在として評価する声もあります。
その一方で,口だけで中身の運用は大したことがないというような批判もあります。私もこちら側のスタンスでブログに書いてきたことがあります。 (最後のはフォローかも)

さて,そんなさわかみファンド,ここ最近に興味深い動きが出てきています。


澤上篤人氏とさわかみファンドの距離

まずは,さわかみファンド創業者であり,現在もさわかみ投信の会長である澤上篤人氏のブログ「澤上篤人の長期投資家日記」に8月3日に掲載された「お知らせ」という内容です。澤上篤人氏のブログなのですが,なぜか息子であり,さわかみ投信社長である澤上龍氏の名前で,ブログ方針の見直しとして以下のようなことが書かれていました。
この中で以下のような記述がありました。
「さわかみファンド」との関係性など誤解が生じる恐れがあること
再度、澤上篤人との話し合い(調整)を経て、決めていきたく存じます。
この記述以上のことはわからないのですが,文面を読む限り,澤上篤人氏の行動とさわかみファンドの間に乖離があることがうかがえる内容です。


さわかみファンドの運用方針の転換

さわかみファンドについて興味深いニュースが2つありました。

さわかみ投信、欧米株にも投資 資産の最大5%(日経新聞)
 独立系運用会社のさわかみ投信(東京・千代田)は、運用する投資信託「さわかみファンド」で年内にも欧米株への投資を始める。
当面の投資は数銘柄で、運用する資産全体に占める割合は最大で5%程度にとどまる見込みだ。
今まで日本株だけだったさわかみファンドが欧米の株式にも投資するというのは大きな方針転換です。
今までも目論見書上は日本株以外にも投資できるファンドでしたが,日本企業の海外での活動を通じて世界を取り込めるとして日本株のみに投資していました。それが5%と言え,外国株に投資するのですから,ファンドの性格の変更は大きい。(5%という小さい数字なのは,まずは小さく始めてみて軌道に乗りそうだったら増やすという算段なのか…などと妄想しています)

「さわかみ」イズム継ぐ元俳優運用者、手法でカリスマと一線画す (ブルームバーグ)
さわかみ投信の草刈貴弘最高投資責任者(CIO、37)は就任した2013年以降、追加型の日本株投信「さわかみファンド」の保有銘柄数をピーク時の358社から約100社に減らす一方、1銘柄当たりの投資金額を増やし、保有企業への関わりを強めて成長を促す戦略に転換した。時価総額5000億円以下の企業で、発行済み株式に対する保有比率が1%以上となる銘柄を増やしていく方針で、これまで組み入れ経験のないIT、海外企業も投資対象として視野に入れる。
草刈氏はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、これまでの運用は「バイ・アンド・ホールドで市場にお金を投じるという考えが強かったが、私はあくまで個別企業の株価と企業価値を比べて投資する」と話した。

日経新聞が報じた海外企業への投資にも触れていますが,ファンドの組み入れ銘柄数が100社程度まで絞られていたということは知りませんでした。澤上篤人氏から息子の澤上龍氏へ運用が引き継がれたころには銘柄数も多く「日経平均とあまり変わらない」などと言われたものです。

しかし,100銘柄となるとだいぶ見える風景は変わっていそうです。一般的にアクティブファンドとしてはこの絞り込みは妥当ではないでしょうか。
その一方で,ブルームバーグの中でも触れられているように,強烈なカリスマの後に一般的に正しいことをしていて他のファンドの中に埋没していかないか…というのも気になるところです。


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