雨上がりのベランダ
ようやく雨の上がったお店のベランダ。
いち早く飛び出したのはシマポンママでした。
続いてクロちゃんもやってきて、さっそく雑草取りを始めましたが・・・、
チビポンは、まだ出てくる気配なし。
さあさあと、背中を押すとようやくベランダに降りました。
で、どちらに行くのかと見ていると、迷わずクロちゃんの方へ・・・、
それをジーっと見ているシマポンママ。
よく気がつくチビポンはすかさず近づいてペロペロ。
シマポンママの機嫌も治りました。
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涼しくなったので・・・、
今週は急に涼しくなったというのに、
いつものように、めっちゃ君が床で寝そべっていると・・・、
座布団になる危険性をすばやくキャッチしためっちゃ君、
慌てて、一人用の場所に移動しました。
もんちゃん、逃げられました。
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新入り子猫登場!
いつも めちゃもんがお世話になっております、
小麦ちゃんママのところに、新しい子猫達が仲間入りしたそうです。
名前はコタロウとコジロウというそうです。
今度、もっとよく聞いときますね。(^^;)
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というところで、今週の小説は、
「 猫とトキソプラズマとの関係 」という小説です。
3分ちょいで読める小説です。
少しお時間のある方はぜひ読んでいってくださいね。
【 猫とトキソプラズマとの関係 】
「君はジュネーブ議定書を知っているね。だとしたら何故こんなおぞましい物を私の前に出してきたんだ!」
オランフ大統領は提出された書類を見て激怒し、執務室の机を叩いた。
「まあまあ、大統領落ち着いて下さい。君、大統領にお茶でも差し上げて」
ハノーバー上級戦略官が慌ててとりなし、ボーイを呼んだ。
「ティーパーティは好きだが、関税はかからんだろうね」
大統領は少し落ち着き、紅茶を飲みながら冗談を言った。
「まあ、話だけでも聞いてやろう。少しぬるいようだが君も飲み給え」
「ありがとうございます、大統領。では私はコーヒーをブラックで」
上級戦略官は砂糖を断り、芳醇な香を楽しむと一口飲んだ。それからおもむろに書類を広げ、その説明を始めた。
「まず最初に説明をしなければなりません。これは生物兵器ではなく、治療薬です」
「ならばどうして公衆衛生局ではなく君が書類を手にしているんだ?」
「極秘だからです」
「フン、それみたまえ。どうせ軍の研究所から上がって来たものだろう。細菌か?」
「いえ、この兵器もとい治療薬はサトリ茸というキノコが原料で、インド山中のごく限られた地域から取れる貴重な物質です」
「毒キノコなのか? それをミサイルマンじゃなくてコメットマンに飲ますんだろう?」
「ミサイルマンに飲ましても仕方ないですからね。いえ、毒性はありません。また特定の要人が対象でもありません。紛争地域全体にばら撒くのです。培養には成功しましたが大量に必要ですし、容姿という別の問題もあるので煮沸した抽出液を薄めた物になっています。でないと、頭のてっぺんからキノコが生えますので」
「煮沸して薄めた抽出液を、ばら撒くとどうなるんだ?」
「体内に取り込まれると、論理的に話が通じるようになります。寛容さが戻り、中東では一部の先鋭的な教義の流布はなくなり、本来の平和が戻るでしょう。コメットマンは造形技術を活かして北極ではなく、南極1号とか2号を製造するようになるかもしれません」
「そんなバカな。死に至らせる毒ならともかく、人間を操る力などキノコにあるものか」
「そう言われるのではないかと思っていました。そこで補足資料も添付してあります」
そこには『猫とトキソプラズマの関係』と書かれた資料があった。
「キノコではありませんが、生物が特定の物質で人間の感情をも操るという例としてこのトキソプラズマを上げました。これは猫を最終宿主とする寄生虫です。珍しいものではなく全人類の三分の一の体内にもいると言われています。エイズ患者や妊婦などを除けば、ほぼ無害と言われているものですが、ただこれに寄生されますと・・・」
「どうなるんだ?」
「主な症状としては、猫が好きになります。ですからまあ、人間の場合はさほど問題がないんですが、実はネズミにも寄生するんです」
「すると?」
「猫が好きになります」
「何? そうなったら・・・」
「ハイ、猫の前に平気で現れて食べられるという悲劇が起こります。つまりネズミはトキソプラズマにコントロールされ、自ら猫に命を捧げることになります」
「恐ろしいな。ネズミは寄生虫にコントロールされることがあるのか。だが人間は猫が好きになるだけなんだろう?」
「女性の場合には社交的になり、容姿にも気を使い愛情豊かになるそうですが、男性の場合はまれに嫉妬深くなり、規則に従うのを好まなくなる事もあるとか」
「まあ、猫と共生しているような寄生虫だからな。猫の気質を投影しているのかもしれんな。で、君の言ってることを証明するような統計はあるのか?」
「フランスではトキソプラズマを持っている人が80%、日本が低くて20%ほどだそうです」
「説得力があるな。フランスで民主革命が起きたわけも、感染率の低い東洋で人間が従順なのも説明できる。だが、君は先にサトリ茸が治療薬と言ったが、トキソプラズマに害がないのであれば、なぜ今回のプロジェクトを持ってきたんだ?」
「それはですね」
上級戦略官が紫色に着色された顕微鏡写真を取り出した。
「これは最近発見されたトキソプラズマの亜種でシープ・トキソプラズマというものです。猫を宿主とする物とは違い、羊を最終の宿主とするもので、これに感染するとドーパミンが泉のように湧き出てきます。性格も変わり、社会の規範、国際的な枠組みを極端に嫌うようになって、自分達だけが正義だと勘違いするテロリストになります。どの羊にもいるわけではありませんが、特定の地域では・・・」
「なるほど。言うことは分かった。生物が出す物質には感情までコントロールするものがあるというんだな。だから毒には毒というわけか。が、シープ・トキソプラズマの感染者だけにサトリ茸を飲ますという事は事実上不可能ではないのか?」
「ですから抽出液の薄めたものを散布するんです。するとこのキノコの出すアンチヘイトキシンという物質によって、様々な考え方を容認できるようになり、人間が丸くなります」
「しかし、今までの話を聞いているとサトリ茸を飲ますべきは羊由来のシープ・トキソプラズマに脳を侵されたかのような偏狭な指導者や過激思想を持った者だけで、むしろそれにおとなしく従う国民には猫のトキソプラズマをばら撒いて民主主義の力を増した方が効果的なような・・・」
オランフ大統領は、ハッとして目を見開いた。
「待った。まさかとは思うが、だから被験者第一号として私を選んだというオチではないだろうな。例えば先程飲んだ紅茶とかにサトリ茸の薄めたものが入っているとか」
だが、上級戦略官は落ち着いてコーヒーを飲むと、それを否定した。
「いいえ。大統領に薄めた抽出液なんて効きませんよ。貴方には生きたサトリ茸の胞子をたっぷりと飲んでもらいました」
その言葉に大統領は激怒した。
「なんだとハノーバー、貴様自分で言ってる事が分かっているのか!」
オランフ大統領がティーカップを床に叩きつけたその瞬間・・・、
ポンと頭に小さなキノコが開いた。
「許す!」
キノコを頭に乗っけた大統領は満面の笑みを浮かべて戦略官を抱擁した。
( おしまい )
どのような感想も歓迎いたします。(^▽^)
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