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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2015年07月24日
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デルタ・ブルースの末裔、デビュー作


 ケヴ・モ(Keb’ Mo’,本名ケヴィン・ムーア)というアーティストが世にお目見えしたのは、1994年だった。この年にリリースされたデビュー作がセルフ・タイトルの本盤、『ケヴ・モ(Keb’ Mo’)』である。実はこの人物は1980年に本名のケヴィン・ムーアの名義でデビュー盤を出しているのだけれど、ケヴ・モというこの一見奇妙な芸名(といっても、本名を縮めたと言われれば納得だけれど)では、ここで取り上げる盤が最初のアルバム作品となった。

 本盤の特徴としては大きく二点が挙げられるように思う。一つめは、“力強さ”である。演奏面もさることながら、彼のヴォーカルもそうである。メッセージをしっかりと伝える声の確かさ、力強さ、とでも言えばよいだろうか。ただし、ブルースと聞いて典型的に多くの人が思い浮かべるような、ある種の荒々しさを備えたヴォーカルというのとはちょっと違う。それは、以下の第二の特徴とも関係あると思われる。

 二つ目の目立った特徴としては、“ブルースとしての柔らかさ”が挙げられる。“モダンさ”と言い換えてもいいかもしれない。つまるところ、ベッタリとしたコアなブルースを期待してしまうと確実に裏切られる。それほどに彼のブルースは現代的で、“清い”もしくは“きれいな”ブルースでもある。

 全体的にはここまで述べてきたような印象だが、個々の曲には、カントリーっぽい要素やヴォーカルの比重の高いものから、ややブルース色の濃いものまで、なかなかヴァリエーションに富んでいて興味深い。全編通して聴くたびに感じるのは、このケヴ・モというアーティストの懐の深さである。

 なお、否が応でも注目が集まってしまう曲として、9.「カモン・イン・マイ・キッチン(台所に入ってきなよ)」、12.「カインドハーテッド・ウーマン(心やさしい女のブルース)」というロバート・ジョンソンのカバー曲がある。前者は現代風にアレンジされているところが注目点で、後者の方は逆にシンプルなギター伴奏でのカバー。この2曲の対比においても、やはりケヴ・モの懐は深く、ワンパターンに陥らない引き出しの多さが窺われるように思う。



[収録曲]

1. Every Morning
2. Tell Everybody I Know
3. Love Blues
4. Victims of Comfort
5. Angelina
6. Anybody Seen My Girl
7. She Just Wants to Dance
8. Am I Wrong
9. Come On in My Kitchen
10. Dirty, Low Down and Bad
11. Don't Try to Explain
12. Kindhearted Woman Blues
13. City Boy

1994年リリース。





 
Keb Mo ケブモ / Keb Mo 輸入盤 【CD】





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Last updated  2015年07月24日 07時25分20秒
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