カテゴリ:洋ロック・ポップス
デルタ・ブルースの末裔、デビュー作 ケヴ・モ(Keb’ Mo’,本名ケヴィン・ムーア)というアーティストが世にお目見えしたのは、1994年だった。この年にリリースされたデビュー作がセルフ・タイトルの本盤、『ケヴ・モ(Keb’ Mo’)』である。実はこの人物は1980年に本名のケヴィン・ムーアの名義でデビュー盤を出しているのだけれど、ケヴ・モというこの一見奇妙な芸名(といっても、本名を縮めたと言われれば納得だけれど)では、ここで取り上げる盤が最初のアルバム作品となった。 本盤の特徴としては大きく二点が挙げられるように思う。一つめは、“力強さ”である。演奏面もさることながら、彼のヴォーカルもそうである。メッセージをしっかりと伝える声の確かさ、力強さ、とでも言えばよいだろうか。ただし、ブルースと聞いて典型的に多くの人が思い浮かべるような、ある種の荒々しさを備えたヴォーカルというのとはちょっと違う。それは、以下の第二の特徴とも関係あると思われる。 二つ目の目立った特徴としては、“ブルースとしての柔らかさ”が挙げられる。“モダンさ”と言い換えてもいいかもしれない。つまるところ、ベッタリとしたコアなブルースを期待してしまうと確実に裏切られる。それほどに彼のブルースは現代的で、“清い”もしくは“きれいな”ブルースでもある。 全体的にはここまで述べてきたような印象だが、個々の曲には、カントリーっぽい要素やヴォーカルの比重の高いものから、ややブルース色の濃いものまで、なかなかヴァリエーションに富んでいて興味深い。全編通して聴くたびに感じるのは、このケヴ・モというアーティストの懐の深さである。 なお、否が応でも注目が集まってしまう曲として、9.「カモン・イン・マイ・キッチン(台所に入ってきなよ)」、12.「カインドハーテッド・ウーマン(心やさしい女のブルース)」というロバート・ジョンソンのカバー曲がある。前者は現代風にアレンジされているところが注目点で、後者の方は逆にシンプルなギター伴奏でのカバー。この2曲の対比においても、やはりケヴ・モの懐は深く、ワンパターンに陥らない引き出しの多さが窺われるように思う。 [収録曲] 1. Every Morning 2. Tell Everybody I Know 3. Love Blues 4. Victims of Comfort 5. Angelina 6. Anybody Seen My Girl 7. She Just Wants to Dance 8. Am I Wrong 9. Come On in My Kitchen 10. Dirty, Low Down and Bad 11. Don't Try to Explain 12. Kindhearted Woman Blues 13. City Boy 1994年リリース。 Keb Mo ケブモ / Keb Mo 輸入盤 【CD】 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015年07月24日 07時25分20秒
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