テーマ:洋楽(3285)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
特徴が凝縮されたサード作
ライ・クーダー(Ry Cooder)は、1947年ロサンゼルス生まれのギタリスト、ミュージシャン。1970年にデビューし、70年代~80年代に主要ソロ作を制作したが、本盤『流れ者の物語(Boomer's Story)』は三作目に当たり、1972年にリリースされた。これといったセールスを上げることはなかったが、後から振り返ってみれば、ライ・クーダーの基本となるスタイルや特徴がうまく詰め込まれた名盤だと言える。 ライ・クーダーは、自分で作詞作曲して演じる(シンガーソングライター)というタイプではなく、既存のものを取り上げてきて、得意のスライド・ギター演奏も含め、アコースティック・ギター、エレキ・ギターの音で独自の解釈を示すのを得意とした。1970年代に差し掛かり、多くのアーティストがルーツ音楽やブルースなどに根ざして現代的解釈をしようとしていたが、ハード・ロックの流れに顕著にみられるのとは全く逆の解釈の仕方もあったことをライ・クーダーは体現していた。この盤はそのスタイルが如実に示された1枚である。 注目曲をいくつか挙げてみたい。インストルメンタルの2.「チェリー・ボール・ブルース」は、デルタ・ブルースの曲であるが、べったりブルースなのではなく、さらりと聴かせる巧妙な解釈を見せる。また、同じくインスト曲として演奏される6.「ザ・ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリート」では、スライド・ギターの演奏が聴きどころとなっている。 4.「アクス・スウィート・ママ」は、1930年代に活躍したテネシー出身のブルース・シンガー、スリーピー・ジョー・エスティス(1899年?生まれ、1977年死去)のナンバーで、マンドリン演奏が印象的。なおこの人物は9.「ケネディ大統領(プレジデント・ケネディ)」でヴォーカルとギターで参加もしていて、同曲でもライ・クーダーはマンドリンを披露している。 表題曲の1.「流れ者の物語(ブーマーズ・ストーリー)」は、放浪癖が身に沁みついた男の物語で、アメリカを旅してまわり、死んだ際には汽車の行き交う線路脇に葬ってほしいとさえ願う男の物語が余裕たっぷりに演奏される。そして、アルバムの最後を飾る10.「グッド・モーニング・ミスター・レイルロード・マン」も、ゆったりとした雰囲気の中、列車で放浪する男をテーマとした詞の内容の曲の演奏で締めくくられているのが興味深い。 [収録曲] 1. Boomer's Story (流れ者の物語) 2. Cherry Ball Blues 3. Crow Black Chicken (ブラック・チキン) 4. Ax Sweet Mama (スウィート・ママ) 5. Maria Elena 6. The Dark End of the Street 7. Rally 'Round the Flag (旗のもとに集まろう) 8. Comin' in on a Wing and a Prayer (翼と祈りに支えられ) 9. President Kennedy (ケネディ大統領) 10. Good Morning Mr. Railroad Man (ミスター・レイルロード・マン) 1972年リリース。 Forever YOUNG::流れ者の物語 [ ライ・クーダー ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017年12月11日 06時24分22秒
コメント(0) | コメントを書く
[洋ロック・ポップス] カテゴリの最新記事
|
|