テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
70年代初頭、スリー・サウンズのピアニストによる過去・現在・未来(後編)
(前編からの続き) ザ・スリー・サウンズで一世を風靡したピアノ奏者ジーン・ハリス(Gene Harris)の1973年の録音盤『イエスタデイ・トゥデイ&トゥモロー』は、前述のように、2枚組の作品だが、CDでは『Vol.1』と『Vol.2』の2枚に分けてリイシューされている。 さて、2枚目の内容を見ていくことにするが、こちらの方は“現在(今日)から未来(明日)”がテーマとなっている。1.「ハウ・インセンシティヴ」はのっけからスペイシーでフリーな即興演奏で聴き手は何事かと思うかもしれない。こういうジーン・ハリスのイメージにはそぐわない部分は意図的に“未来”志向が出ていると言えるが、16分を超える長尺のこの演奏を聴き続けると、ピアノ演奏自体は案外彼らしい演奏が繰り広げられ、温かな音色が存分に活かされている。 その後に続く2.「ジュディ・ジュディ・ジュディ」、3.「アフター・アワーズ」、4.「ソーイン・ウッド」、5.「リル・ダーリン」、そしてラストの6.「モンクス・チューン」(うち2.と4.はジーン・ハリス自身の曲、かつ5.はスリー・サウンズで取り上げたナンバーの再演)へと至る流れを一聴すると、今度は“過去”へ戻っていくのかと感じる人もいるかもしれない。けれども、細部に耳を傾ければ、スタンダードな演奏で終わろうとしない部分が気になり始める。何よりも4.の演奏は、プログレッシヴさとスタンダードな演奏が意図的に組み合わされた印象がする。さらに、6.はファンキーなベースに、ピアノ演奏もエキサイティングな雰囲気を醸し出す。 結局のところ、“未来”という要素にはベースのジョン・ハットンがかなり大きな役割を果たしているように思える。1970年代のジーン・ハリスはあまり評価されないようだけれど、これはこれで、前半(1枚目)だけでも楽しめるし、前半と後半を通して2枚組分でも楽しめるという、面白い作品になっていると思う。 [収録曲] (1枚目=Vol.1) 1. On Green Dolphin Street 2. Hymn to Freedom 3. Trieste 4. Love for Sale 5. Something (2枚目=Vol.2) 1. How Insensitive 2. Judy, Judy, Judy 3. After Hours 4. Sawin' Wood 5. Lil' Darling 6. Monk's Tune [パーソネル、録音] Gene Harris (p, arr), John Hatton (b, elb), Carl Burnett (ds, per) 1973年6月14~15日録音。 CD/ジーン・ハリス/イエスタデイ・トゥデイ&トゥモローVol.2 (期間限定盤)/TOCJ-50570 CD/ジーン・ハリス/イエスタデイ・トゥデイ&トゥモローVol.1 (期間限定盤)/TOCJ-50569 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018年03月17日 22時20分40秒
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