テーマ:洋楽(3284)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
バンド最盛期を締めくくる盤
ハート(Heart)は1975年にデビューし、1970年代後半に着実に人気を固めていった。1980年代初頭にメンバー交代と音楽の方向性の変化があって停滞したが、1985年のセルフタイトル盤、1987年の『バッド・アニマルズ』とヒットを連発する。この黄金期の最後を締めくくる盤となったのが、1990年発表の本作『ブリゲイド(Brigade)』だった。 前2作の人気を引き継ぎ、本盤も大きなヒット作となった。全米・全英ともにチャート3位を記録し、特にイギリスでの3位というのは、このバンドのアルバムのうち最高位である。4曲がシングルカットされた。顕著なヒットとなったのは先行発売のシングルとなった2.「愛していたい(オール・アイ・ウォナ・ドゥ・イズ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー)」だけだった(米と英の双方で2位、カナダやオーストラリアでは1位)。とはいえ、他のシングルも、またシングル以外にも優れたナンバーが多く、この絶頂期の3作の中ではアルバムとしての出来は最も良いと評されることも多い。 その理由は、やはり前作・前々作の商業的成功にあったのだろう。前作(『バッド・アニマルズ』)を取り上げた時、“売れ筋路線に自信が加わった”というようなことを述べたのだが、本作はその自信がもう一段階高いレベルへと上がっている。結果として、“売れ筋”優先で遠慮してきた部分も巧みに織り込まれているように思う。前2作よりもハードな曲や演奏が随所に見られるのはそのためだろう。 冒頭の1.「ワイルド・チャイルド」のシンプルかつカッコいいギター演奏と円熟味が加わってきたアンの歌唱から幕を開ける。2.はミディアム・テンポのバラード調で、上述の通りヒットした。3.「シークレット」はシングルとしては売れなかったが、アンのヴォーカルが素晴らしく、ファンの中には「ディーズ・ドリームス」や「アローン」と並ぶハートのベスト・バラード曲という意見もあるようだ。筆者が本盤中で最も気に入っているのは、4.「いつわりのストレンジャー(トール・ダーク・ハンサム・ストレンジャー)」。ホーンセクションを入れたハードな1曲に仕上がっている。 6.「ナイト」は、ヒット路線転換以前からのハートのファンにも好まれそうなナンバー。7.「おもかげせつなく(フォールン・フロム・グレイス)」は上記4.に次いで筆者のお気に入り曲。いきなりコーラスから始まりポップかと思いきや、案外普通にハードロック調のナンバーで、サミー・ヘイガーがライターと言われるとなるほど納得といったところ。10.「ストランデッド」は本盤中では2.と並んでポピュラーなナンバーで、シングルとして13位まで上昇した。アルバムを締めくくる13.「アイ・ラヴ・ユー」はシンプルで素朴なバラード。ハートのアルバムにはひょっこりこういった曲が光っているというケースがあり、この曲もウィルソン姉妹のソングライティングにアンの秀逸なヴォーカルが光る。 少々長くなってしまったけれど、『ハート』や『バッド・アニマルズ』しか聴いていないというのは実にもったいない。未聴という向きは、ぜひこの盤にも耳を傾けてほしいと思ったりする。 [収録曲] 1. Wild Child 2. All I Wanna Do Is Make Love to You 3. Secret 4. Tall, Dark Handsome Stranger 5. I Didn't Want to Need You 6. The Night 7. Fallen from Grace 8. Under the Sky 9. Cruel Nights 10. Stranded 11. Call of the Wild 12. I Want Your World to Turn 13. I Love You 1990年リリース。 【メール便送料無料】Heart / Brigade (輸入盤CD)(ハート) 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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