暖簾の姿


手応えや張り合いが無いことの例えとして使われる「暖簾に腕押し」の言葉には2つの語源があるそうです。

ひとつは、言葉そのままに「のれんを手・腕で押すようなもの」として、手応えが無いことを示す一般的なもの。

もうひとつは、「暖簾に腕押し」の「腕押し」の言葉にあり、腕押しとは「腕相撲」のことで「暖簾と腕相撲をするように張り合いがない」と解釈したものになるそうです。

そんな暖簾は、全てのお店に掛けられている訳ではありませんが、営業中の合図のみならず、特に初めてのお店の場合、入店するかしないかの判断のバロメーターのひとつになったりもします。

元々は、建物に直接風や光が入るのを防いだり、外からの目隠しにするためのものだったそうですが、冬は寒風を遮る厚い布をかける「暖簾」と呼ばれ、夏は涼しげな竹や葦を編んだものをかけた「涼簾(りょうれん)」と呼ばれたそうです。

ちなみに「涼簾」の言葉は時の流れと共に寺院などだけに使われるようになり、今は「簾(すだれ)」として継がれているのだそうです。。

屋号・商号や家紋などが染め抜かれていることも多い暖簾の姿には、その店の心意気を感じてしまい、暖簾の姿で店を決めてしまうこともあるのは、ボクだけではないと思いますが、みなさんはどうでしょうか?

心姿の写し鏡


銭湯や旅館の浴場の場には、大きな「ゆ」の文字が染められた「湯のれん」が掛けられていて、さらには「女湯」・「男湯」などの区別も分かりやすく案内板としての機能も果たしています。

飲食店の暖簾においては、お店の「格」を暖簾で知らしめるようなものもありますが、よく耳にする「暖簾が汚れているほど繁盛している店」という教えは、戦前戦後の屋台・飯屋などで、お客が出て行く際に食事をつまんで汚れた手先を暖簾で拭いていくという事もあり、人気店の目安として暖簾の状態で見極めていたそうです。

店構えが古びていてもピシッと糊の利いた暖簾を掛けているお店では姿勢が伸びますし、幾ら綺麗そうな店でもよれよれの疲れ切ったような暖簾が掛けられていれば店に足を踏み入れることを躊躇ってもしまい、正に暖簾は店主に替わっての店の顔の役割を成しているといえるのかと思います。

新しい暖簾


珠を繋げて紐に通して垂らした「珠暖簾(玉暖簾)」。

居酒屋などで、布のかわりに荒縄を横一列に並べて垂らした「縄暖簾(紐暖簾)」。

割れがない大型の一枚布の下を地面の上まで垂らして縄などで縛って固定する「日よけ暖簾」。

暖簾にも色々な種類がありますが、「暖簾に傷が付く」・「暖簾分け」の言葉を思へば、店の顔への想いの深さが窺い知れもします。

長い年月の修業の終わりを告げられ「暖簾分け」で新しくお店を出すことになった後輩の元に新品の暖簾が届きました。

箱を開けて取り出し、愛しむように暖簾に手をやる彼の姿を眺めながら、修行中の苦しみは数々あっただろうなかで、開店・閉店時の区切りの際、きっと多くの事を暖簾に話し掛けて頑張っていたのだろうなと思い、新品の暖簾に軽々と手を伸ばすことは出来ずにいました。

紫地に白い文字で染め抜かれた暖簾を広げて見せてくれたそこには、彼の店への心意気のみならず、お客さんへの思いが染め抜かれているようにも思えました。

「大切に長く使い続けたい」との彼の言葉に、これから多くの人々が暖簾を潜りぬけていく風を感じていたのでした。








笑顔の行方を見つめて

all written by  Career wing  T.Yoshida@ponyo




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