人に心・技を伝える本気度


この世で「先生」と呼ばれる方々には、眉唾を以って斜に構えて真贋を見極めようとしてしまう癖?があるのですが、「師・師匠」と呼ばれる方には、ある種無条件で尊敬の念を抱いてしまいます。

自分自身で「その心は?」と尋ねてみれば、「先生を選ぶことは出来ないが、師匠は選ぶことが出来る」せいなのかと思ったりもするのでした。

あれもこれも・それもどれも ... み~んなハラスメント行為にまとめてしまうが如くの風潮には些か辟易気味なのですが、そんな世間の状況のなかで「師弟関係」を思う時、落語界の状況は凄いなぁ・・・と、感心してしまう程なのでした。

先ず以って落語界では、上下関係は一門を越えて共通で、師匠は「落語界全体にとっての師匠」、弟子は「落語界全体にとっての弟子」という一面を持つのだそうで、事前に、本来の師匠から了承を得ていれば、弟子は自分の師ではない別の一門の落語家に落語を指導して貰っても良いそうで、その際は、自分の師匠から教えて貰うのと同様に無料で教えて貰うことが出来るのだそうです。

この点は、人材育成を思う時、ライバル会社が別のライバル会社の社員を業界の財産だとして、無償で人材育成のための教育・訓練をしてくれるかといえば、100%あり得ぬだろうことからも、改めて凄い世界だなぁと思うのでした。

そして、ここからが更に凄いのですが、落語界で師匠は、弟子について一切の生殺与奪権を持っており、弟子は師匠の所有物となるのだそうです。

そのため、弟子が真打になる前に師匠を欠いた場合(師匠が死亡した場合・師匠自身が破門された場合・師匠が協会から離脱した場合など)には、新たな師匠の元に移籍するが、それでも移籍先が見つからない場合は廃業となるのだそうです。

師匠が弟子に対して持っている「所有物として一切の生殺与奪権を持つ」ことは、師匠の一存で、いつでも弟子を破門することが出来ることになり、破門を言い渡された瞬間から弟子は、寄席の高座・各種メディアなどの予定が既に決まっていても全てキャンセルしなければならず、落語界から追放され、落語家でなくなるばかりでなく、芸能界全体から追放され、芸能人でもなくなるのだそうです。

前座時代の弟子は、公私の予定がどうであっても寄席で下働きを行うほかに、毎日、朝早く師匠の家に行き、掃除など家事全般を行わなくてはならず、家事も落語修行とみなされることは良く知られたことなのかと思います。

Today's Ponyo Ways.




師は教えることでまた学んでいる。



The teacher is also learning by teaching.



ナレッジシェアとお尻ポンポン


経営管理手法のひとつに「ナレッジマネジメント」がありますが、これは、企業において、従来は個人が持っていた暗黙知(ベテランの経験知識や熟練工のスキルなど)を組織内で共有することによって、新たなイノベーション(技術革新)を促し、全社的な生産性の向上をさせるための管理手法となります。

knowledge(ナレッジ:知識・知見・技)
+
share(シェア:分かつこと・共有すること)

ナレッジシェアによる人材育成を思う時、それがどれくらい難しいものなのかは、ナレッジマネジメントなどと言われる前から存在し続けていた落語業界の師弟制度の詳細を思う時、そこまでして初めて伝え切ることが出来るものなのだと感嘆のため息が出る程でもあります。

知識・技術を伝えることは出来ても、知恵と技を形ではなく、身に染み込ませて本物にするためには能書きのレベルでは出来ぬだろうと心底思います。

そして、師弟の技の受け継がれの循環とは、必ず受け継いだ者のアイデンティティが反映され新しい息吹を得ることを思うと、師匠側が100%教え切ることにより、自分自身の技がどれ程のものであったのかを知ることにもなり、比較素材をもってさらに新たな評価が生まれていくのだと思います。

師匠の役目とは、受け継ぐこと
弟子の役目とは、消さぬこと

レベルの問題はあったとしても、落語の世界だけではなく、人の世の常は変わらずここにあるように思います。

・・・そんなことを思いながら「な~そうだよなぁ~・・・」と愛息子を引き寄せてムギューッとすれば、「父ちゃんの世界・・・めんどくせー」てな迷惑顔の表情を浮かべながらお尻ポンポンを要求されてしまったのでした。










笑顔の行方を見つめて

all written by  Career wing  T.Yoshida@ponyo




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