ハワイアンファブリックの花
悪友の愛娘は、茅ヶ崎の土地柄がそうさせたのか・波乗り好きの性か分かりませんが、ハワイが大好きで、最近はお気に入りのハワイアンファブリックを買って来てはママに習ったミシンを使い、あれこれと小物を作るのが趣味となっているようでした。
はじめの頃は、一枚のファブリックの裁断面のほつれを防ぐための四方のかがり縫いだけだったのが、気付けば裏地を付けて携帯用のポーチやカード入れなどまで作れるようになっていて、お相手の好みの色と柄を聞いてプレゼントに送るようにもなっているため、波が無い日には生地を買い求めに街に出掛け、時間があればミシンに向かっているのでした。
当初はハワイアンファブリックを使ったもの造りに興味があったお嬢は、次第にそこに描かれているデザインなどに興味を持つようになり、ある時、女の子らしいピンクの生地の草花を指し「ターさん・・・この草花の名前ってナヌ？」と尋ねてきたのでした。
と・突然聞かれても分らんがなと思いながらも、「ピカケ（多分）とオヒア・レフアじゃね？」と返すと「ふ～ん」とそっけない返事をしたかと思うと、自分の部屋に向かい、ママから奪って完全に自分の部屋に置くようになったミシンの音が響き始めたのでした。
波乗りのDVDを悪友と一緒に眺めながらも「花弁の数が多いからピカケは間違ってるかなぁ・・・でも、オヒア・レフアは正解だよなぁ」とフムフムのひとり旅に出ることになり、ハワイの「オヒア・レフアの伝説」を想い出していたのでした。
赤い花がオヒア・レフアです
オヒア・レフアの伝説
オヒア・レフア（ohia lehua）は、ハワイでレイにも良く使われる花ですが、火山近くの溶岩の土地にも自生している灌木とその花で、 鮮やかな赤い花を付けますが、それは花冠ではなく、多くの赤い雄蕊が集まったものなのだそうです。
そして、灌木は「オヒア」・花は「レフア」と別々の名前を持つ不思議があるのですが、それは「オヒア・レフアの伝説」にまつわるお話しに答えが秘められているのでした。
オヒア・レフアの伝説
その昔、とても愛し合っていた若い恋人がいました。
若い男の名前は「オヒア」といい、若い女の名前は「レフア」といいました。
ある時、キラウエア火山の女神ペレは、
とてもハンサムで魅力的な人間の男性に一目惚れをしました。
それが、オヒアだったのでした。
女神ペレは、自分と結婚するようにオヒアに求めましたが、
どんなに彼を振り向かせようとしても、
レフアを心の底から愛していたオヒアはそれを拒否しました。
女神ペレは、オヒアの答えに怒り狂い醜い木に変えてしまいました。
それを知ったレフアは毎日オヒア木の横で泣いて過ごしました。
哀しみに暮れるレフアの姿をずっと眺め続けていた女神ペレは、
初めて自分の犯した大きな過ちに気付きました。
そして、レフアがオヒアとずっと一緒にいられるように、
レフアをとても可愛い赤い花に変えて、オヒアの木に咲かせました。
こうして二人は永遠にひとつとなり結ばれることになりました。
この伝説により、木と花で呼び名が違う不思議はあっても「オヒア・レフア」という名前となったのだそうです。
※レフアの姿を美しい花に変えたのは、他の神々がレフアを憐れんでのことだとする説もありますが、ボク的には女神ペレがそうしたとの説の方に頷きたく思います。
どーせボキはスケベさんですよ～だ
「レフアの花を摘むと雨が降る」ともいわれ、それは、オヒアと離れたくないと悲しむレフアの涙だとの言い伝えもハワイにはあるそうです。
ハワイのサーフポイントでの波乗りの映像を見ながら、オヒア・レフアの伝説を想い出し、「ハワイ行て―！」といつものようになっていましたが、ひょっこりとお嬢が顔を出し「ターさん・・・オヒア・レフアなんて直ぐに言えるってことは、スケベなこと考えてない？」と訳の分からぬことを言い出したのでした。
人は隠している真実を不意に突かれると弱いもので「な・な・・・なにをチミはいってるのかな」と「ぼ・ボクはおにぎりが好きなんだな」の山下清画伯に擬態してしまい答えると、オヒア・レフアの学術名は、フトモモ科オガサワラフトモモ属に属する「ハワイフトモモ」とも呼ばれるのだと教えられたのでした。
オヒアとレフアと女神ペレの切ない恋の伝説・・・お前には絶対に教えてやんねー！と思いつつ「本当にフトモモ科ってあんの？」と尋ねる自分と出会うことになったのでした。
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