転がるイシあたま

医療系の雑談ブログです

泡立つ点滴

 「界面活性剤」はおそらく日本のどこの家庭にも存在しています。台所用洗剤・石鹸・合成洗剤・シャンプー・クレンジングなどの成分表を見たらたぶんほとんどの製品に「界面活性剤」の文字列を発見できるはずです(たまに「界面活性剤不使用」の製品もあるようですが、それでどうやって洗浄作用を出しているのかは私には説明できません)。界面活性剤は体内にもあります。肺胞の中に存在していて表面張力を落として肺胞の虚脱を防いでいます(これがなくて困る病気が「新生児呼吸窮迫症候群」です)。そうそう、マヨネーズでは卵黄のレシチンが界面活性剤として働いて水(酢)と食用植物油を混ぜています。
 もちろん病院の中にも界面活性剤はあります。しかし……

点滴液“泡立っていた” 袋に穴はなし」(日本テレビ)
 「点滴に神面活性剤」は、明らかに「ミス」ではなくて「悪意に基づく犯罪行為」だと私は思います。いくら「体内」にも存在する、とは言っても、それが血管の中に入れられたら(水と油からできている、と言える)細胞膜が破壊されてしまいますから。で、犯行が一番やりやすいのは内部の人間でしょうし、動機としてはどうせまたとんでもないことを主張するに違いない、というのが私の予想です。
 ただ、この記事を読んだ人に注意を一つ。「点滴に界面活性剤を入れる」→「点滴が泡立つ」は正しい記述ですが、「点滴が泡立つ」→「点滴に界面活性剤が入っている」は必ずしも正しくありません。たとえば「強力ネオミノファーゲンC」や「アルブミン」「免疫グロブリン」も泡立ちやすいことで有名な薬剤です。だから点滴が泡立っているだけでは大騒ぎはしないように。

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