珍しく
母が国際電話をかけてきた。
第一声は
あのねぇ
滝本の…あんたのお父さんが
亡くなったって。
ピンとこなかった。
悲しいとか、驚くとか、何も感じなくて
ああ、そうなんだ。
としか言えなかった。
母も、その日に親戚から聞いたらしくて
今日が、葬式なんだって。
身内だけでやるらしい。
なおさら、聞いても困った。
そんなこと言われても、駆けつけることもできない
ここは、海外だ。
ふと気になり死因を聞いた。
母も知らなかったらしいが、数年前から持病を悪化させて
歩行も困難な状態で晩年は食事さえ困難だったと。
そんな前から具合が悪かったのに
その間に何度も里帰りしてたのに
兄の晃からさえなんの情報もなかった。
とうの昔に「身内」じゃない私。
今更聞かされても、困惑しかなくて
心によぎったのは
(結局話はできなかったなぁ)
母は、そのあとも独り言のように
親戚からの情報や思い出話が続き
私はそれに「うん、うん」と聞いてるそぶりをしていた。