「別離」監督の新作。
否が応でも、期待値が!
映画「ある過去の行方」71点★★★★
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テヘランに住むアーマド(アリ・モッサファ)が
4年ぶりに雨のパリにやってくる。
彼は元妻のマリー=アンヌ(ベレニス・ベジョ)と
正式な離婚の手続きをするために来たのだ。
マリー=アンヌはいま付き合っている男(タハール・ラヒム)と
彼の息子、そして自分の連れ子の娘2人と暮らしていたが
家の中の雰囲気はどこか不穏。
そしてアーマドは、長女から
母と、父になるかもしれない男のある秘密を聞かされて――?!
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イラン映画界の超新星アスガー・ファルハディ監督が
初めて舞台を外国に移し、
「アーティスト」の主演女優ベレニス・ベジョや
「預言者」のタハール・ラヒムなどを演者に
よりグローバルな一歩を踏み出した作品です。
「彼女がいた浜辺」や「別離」のように
ハッキリとした面白さの感触は淡いかもしれませんが
でも
誰も悪人ではないのに、
どんどん悪い方に物事が転がるさまや
無意識も含めた「人の心」を
絵に写し取ろうという試みは一貫していて
注意深く観ると
意味と味が深くなる作品だなと。
例えばファーストシーンで
ガラス越しに
なかなか気づかない男女の様子、
いまの彼氏にマリー=アンヌが
さりげなく重ねた手を払われたりするシーンなどなど
よく見ると
さまざまな「深層」が映っていたことに気づくんですねえ。
我々が体験する日常のなかに潜む
男女の“あや”を
ミステリアスに織り上げる手腕は、さすがだなと思います。
実際、ネタとしては
浮気だったり、相手の妻の自殺未遂だったり、
出来事自体は小さいんだけど
それをどんどん、上手い具合に
加速させていくんだよね、ファルハディ監督は。
中盤、少々眠くなったけど
ラストはさすがピリッとしてました。
★4/19(土)からBunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほか全国順次公開。
「ある過去の行方」公式サイト