語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【料理】する自由 ~調理道具に凝るな~

2014年09月19日 | 生活
 男性が台所で料理する、という文化は、1970年代から80年代にかけて、男性作家の料理本が登場してきたあたりに始まった(推定)。
  ①檀一雄『檀流クッキング』
  ②丸元淑生『丸元淑生のシステム料理学 男と女のクッキング8章』
 もう少し遡れば、1950年代の名著もある。
  ③邸永漢『食は広州にあり』

 ①も②も凝っていて豪快な、典型的な「男の料理」。
 ②の最初の章は、「丸腰で立ち向かうな」と記されている。丸底鍋(プロ用の厨房器具店で買う)、巨大冷凍冷蔵庫(デンマークのエレクトロラックス社)、鰹節削り器(電動)など特殊な調理器具が勧められている。
 バブルのころまでの男の料理は、こういう「道具愛」に溢れていた。高級な和包丁、銅の鍋、ずっしり重い鋳鉄のフライパンを使うことで、気持ちだけでもプロの料理人もどきになってみたいといった志向が、確かにあった。

 これはしかし、家めしを趣味の延長におさめてしまっている。
 たまの週末の料理ならば、鋳鉄のフライパンは使いごたえがある。しかし、日常的に使うなら、テフロンのフライパンのほうが扱いも後片付けも簡単だ。
 鋼の和包丁は、きちんと研げば見事な切れ味になるが、片刃なのでちゃんと砥石で研ぐ必要がある。
 そこまで凝った道具を、日常的な家めしで使いこなす必要があるのか?
 
 和包丁を週に一度、時間をかけて研ぐのと比べれば、毎日の料理の直前にステンレスの包丁をシャープナーでさっと研ぐほうが楽だ。そのほうが、常に切れ味のよい状態を保てる。
 プロでない以上、その程度で十分。
 テフロンのフライパンを振り、ステンレスの安い三徳包丁を、1,500円くらいで売っているシャープナーで毎日研ぐ。これでちっとも不自由しない。

 道具に凝るのをやめると、料理も自由になる。
 友人の家、キッチン付きの宿泊施設、アウトドア。
 どんな場所でも、どんなチープな調理道具でも料理できるほうが、料理の楽しみを味わえる。
 友人から料理を依頼されたら、小型シャープナーだけ持参し、その家の台所にある調理器具、その冷蔵庫にある食材だけを使って、いろいろなものを作る。
 こういう自由な料理スタイルで十分に楽しめる。

□佐々木俊尚「家めしに必要なのは「道具愛」より「料理愛」 ~オヤジの家めし10~」(「週刊金曜日」2014年9月12日号)
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 【参考】
【料理】野菜料理のコツ ~美味な「ポテトサラダ」の作り方~
【料理】バブルが産んだのは外食だけ ~家庭料理のコツ(一例)~
【料理】基礎調味料だけでエコかつ経済的に ~回鍋肉で実践~
【料理】1日2食でも十分なワケ ~肥満防止~
【料理】2つのポイント ~片付けの技術~
【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~



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