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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第5章-7 なぜディベートの試合で勝てないんでしょう?

2018-06-22 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

「マウスピークス先生、わたしたちは、なぜショーンとジョーディに絶対勝てないんでしょう?」
「ナンシーと呼んで。『絶対』なんて、もう絶対言ってはダメよ(Never say “never” again.)。あなたは、昨年度にショーンとジョーディがシーズン中に何回優勝したか覚えている」
「さあ、十回くらいでしょうか」
「答えはゼロ。最高でも3位止まり。でも彼らは次の大会では、その前の大会で分かった穴をいつも塞いできた。さらに勝った議論に少しでもリスクがあれば、次までに完璧に仕上げてきた。『努力に勝る天才はなし』」
「努力!? 彼らほどの天才にも、努力という言葉があてはるのですか」
「彼らの試合巧者振りを見ていると、まるで才能のかたまりと感じるかもしれない。普通5分から、ディベーターによっては10分間すべてを使う第2反駁前の準備時間をショーンは使ったことがない。なぜだか分かる?」
 事前知識の無い人のために、どのようにディベートの試合が進むかを説明しておこう。すでに説明したように、政策決定型審査哲学に基づくディベートでは最初に行われるのが肯定側第1立論(First Affirmative Constructive)で、ここで提案から生み出される2つないしそれ以上の、現状では得られない利益が提示される。利益の数が2つ以上なのは、相手の攻撃を分散させるためと、通常、現状にも1つは利益が存在するためである。
 次に行われるのが否定側第1立論(First Negative Constructive)で、肯定側の利益達成過程と重要性を攻撃する議論が提示された後で、2つないしそれ以上の不利益が提示される。同時に、対案が否定側から提示されることも多い。
 ここで、試合中の比較の中心となる議論が出そろう。天秤秤の左側に利益が、右側に不利益が乗っかっているところをイメージしていただきたい。肯定側は左側の方が重いという議論を展開し、否定側は右側の方が重いという議論を展開し、最後にジャッジは天秤のどちら側がより重いかを判断するのである。

          

 肯定側第2立論(Second Affirmative Constructive)では、否定側から提示された不利益の発生過程と深刻さが攻撃される。同時に、さきほどの否定側のスピーチで攻撃された利益達成過程の議論が立て直される。
 その後、否定側の2つの連続したスピーチが行われる。まず否定側第2立論(Second Negative Constructive)で、肯定側に攻撃された不利益の立て直しが行われる。次に否定側第1反駁(First Negative Rebuttal)で、再度、肯定側の利益の達成過程と重要性を攻撃する。否定側が連続してスピーチをする理由は、ディベートを肯定側で始めて、肯定側で終わらせるためである。


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