クルドの星 上 (文春デジタル漫画館)
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安彦先生の漫画の中では『ヴィナス戦記』の後編よりもできの悪い漫画ですが、好きなんですよね。
安彦先生の、少数民族を娯楽のネタにする偽歴史シリーズ『クルドの星』。
家庭が崩壊した少年が、反体制派の屈強なおっさんに懐いて旗頭に祀られる安彦良和パターンが打ち切りコンパクトにまとまっています。
反抗的で我が強いけど何もできない少年が、状況に流されるまま戦いに身を投じて男として成長し挫折するいつものやつ。
全共闘ノスタルジア。
隙間から光が漏れる巨大ロボットは出てきません。
テレパシーを使うララアみたいな髪型の女の子が主人公の身代わりで死ぬ展開はあります。
人類の起源を根本から変えてしまうかもしれないアララト山の氷漬け原始人アダムの復活を巡って、トルコとソ連とクルド人ゲリラが争うという、さすがオカルトと陰謀論の学研。
そしてたびたび現れる超能力を持つ子供の正体は?
AKIRAとエヴァンゲリオンとダグラムを足して、SFメカの代わりに旧ソ連をブチ込んだような世界観。
富野氏のニュータイプ論にはついていけないとか言ってた割に、なんでこんな脂っこいの描いてるんですかね。
主人公ジローのお母さんが、アダムのクローン復活計画で代理母となったことで不治の病に侵され、医療の進歩を待つためソ連の研究所で冷凍保存されているのが個人的なツボです。
クライオニクス!
クルド人ゲリラのその後や、冷凍保存されたお母さん、アダムの遺伝子を持つジローの弟のその後は不明のまま、主人公は在トルコ大使館に保護されてウヤムヤになり、盗んだバイクで走り出して青春の1ページみたいにきれいに終わります。
これを読んでクルド人が好きになれ。
山根先生の『ジハード』も電子書籍化しろ!
ムスリムのくせに女の露出度高すぎるのが問題なのか?