動画投稿をしている人にとって、マイク選びは案外悩ましい問題だ。

かくいうわしも当然ながらそれなりにマイク遍歴がある。

その辺の細かい話は長くなるのでここでは割愛するが、ここでは動画投稿におけるマイクについて、わしの個人的な見解を勝手かつテキトーに述べてみようと思う。

 

ざっくり分けると、動画投稿者が使用するマイクはヘッドセット、USBマイク、通常のマイクの3種類に分かれると思う。

通常のマイクとは、みなさんご存知のマイクでカラオケ用の安価なものから、プロオーディオ用の目ん玉が飛び出るような価格のものがあるが、こうした違いを細かく言い出したらキリがないのでとりあえずここでは「普通のマイク」と呼称する。

また、USBタイプのヘッドセットもあるが、ここではUSBマイクではなくヘッドセットに分類する。ピンマイクもこちらに入れる。

 

さて、わしが最初に使用していたのはヘッドセットだった。USB接続にこだわらなければ500円程度で手に入るものを使っていた。

ヘッドセットの場合、ムービング・コイルというマイクが音を拾うためのパーツが小さい。

そのため、拾える音の帯域が狭く音量も小さめになる。

これは、ヘッドセットの基本設計が「聞こえて話さえできればよい」というものだからだ。

ゲーミングヘッドセットであれば各性能が多少は向上しているとは思うが、ムービング・コイルが小さいことに変わりはない。

そのため人の声の帯域、周波数帯で言えば400〜2.5kHzあたりが良く拾えるように作られているものが多い。

これは、音量が小さくても聞きやすい音になる反面、どうしても音抜けが悪い、こもった感じの音になってしまう。

 

次にUSBマイクだが、わしはこれを使って実況をしたことがない。

というのも、USBマイクには避けることができない欠点があり、これが個人的にはどうしても気に入らなかったのだ。

USBマイクは手軽に使える上、ムービング・コイルが通常のマイクと基本的に同じなため、使い勝手と音質をある程度担保してくれるとても良いアイテムだ。

USBポートに接続すれば、マイクへの給電も気にしなくて良い。実際に動画撮影で使用されている人も少なくはないと思う。

ただ、先の通り個人的にどうしても許容できない欠点がある。ノイズである。

これはUSBでマイクに給電している以上どうしても避けることができない。配信設定でノイズのフィルタリングを行えばある程度改善はするが、ノイズゲートのようなフィルタを音声全体にかけてしまうと、どうしても音痩せしてしまう。

また、ゲートの設定によっては発音の子音を拾い損ねてしまう。例えば「缶詰」と発音しても、録音したものを聞くと「あんづめ」としか聞こえないような事態が発生してしまう。

USBマイクのノイズの大きさは機種にもよるので一概に子音が消えてしまうほどのゲートをかける必要は無いのだが、個人的にはどうしても馴染めなかった。

歌ってみた動画を配信している人にとっても、これらは致命的な欠点であると言えるのではないだろうか。

 

そうなってくると、やはり音質的にも機能的にも通常のマイクを使って動画を撮影するようになっていくのは普通の流れだと思う。わしも現在はシュアというメーカーのSM57というマイクを使用している。

しかし、これは非常に使い勝手が悪い。まず、マイクとマイクケーブルをそれぞれ用意する必要がある。

SM57はハンドマイクなので別途マイクスタンドも用意しなければならない。

そして、マイクとPCを接続するためにはオーディオインターフェースが必要だ。それなりに費用がかかるし、使い勝手もヘッドセットやUSBマイクと比較すると格段に悪いのだ。

 

このように、ざっくり分けた分類ですら長所・短所は様々だ。各個別のマイクの特徴などを上げ始めると、まさにのべつ幕なしだ。

大前提として動画投稿サイトにアップロードした動画は、自分がローカル環境で動画を再生した場合と比較すると音質が下がるので、正直に言えばそこまでシビアに考えなくても良いと思っている。

現実的には、自分が目指すクオリティと懐具合と相談しながら、適切だと思えるものを選ぶしかないのである。

逆に言えば、ゲームをプレイできる環境があれば、500円程度のヘッドセットを入手すればゲーム実況を開始することは容易い。

ゲーム実況をできるのであれば、実写動画の編集も難しくない。実写動画のスタートはスマートフォンがあれば最近は十二分だ。

なので、あまり難しく考えずに手の出しやすい所から試してみるのが一番である。最後は自分の判断だ。